元世界最高の探偵が物語に加わ・・・らないだけの話

ここで『沖矢昴』については先程の工藤家で一回会ったきりであるだけだが、何気な所作に振る舞いが誤魔化してはいるものの単なる大学院生と見るには明らかにおかしなレベルにあると頼人は自身の経験と観察眼から確信していた。自身もカポエラを身に付けているのもあるが、戦える人間の所作は素人のように振る舞おうとしても動きが玄人として無駄のないようにと変わってしまうことから、何も知らない素人レベルに動きを擬態させることがどれだけ難しいかは頼人もよく分かっている為に。

それだけでまず『沖矢昴』が単純な大学院生だというのは嘘だと見抜いた頼人は、ならどういった人物なのかと考えてみると身分を偽る必要があって隠れて仕事を行う所・・・言うなら公安だとかFBIのような表に顔を出すことはないが一応はちゃんとした組織に入っている人間だろうと考えた。そうでなければ優作がますます話を聞いただけで『沖矢昴』に家を貸して使わせるような事はしないだろうと。

ただ流石に頼人も何処に所属しているのかまではほんの少し会話をしてすぐに家から出たので把握は出来なかったが、そこで考えを切り替え次に『江戸川コナン』についてを考えることにした。

まずは『沖矢昴』にも聞いたが次に隣の家にいた阿笠と新たな顔としてそこに住んでいる灰原哀という少女に会い、土産を手渡した後に世間話のように話す形で『江戸川コナン』についてを聞いた。『沖矢昴』の話では『江戸川コナン』に紹介される形で工藤家を使うようになったとのことだが、あんな子どもに自分は会ったことはないと。

その言葉に阿笠があからさまにどもりながら取り繕うように話を始めた時に、即座に頼人は阿笠の話には確実に嘘が入り交じるだろうと確信した。突発的な事態に弱いことに加え、あまり演技力は無いことは昔から知っていたために。

その為に内心で話を疑りながら聞いた上で質問を重ねていった頼人は適当な所で話を切り上げ、小五郎の所に行くと家を出たのだが・・・『江戸川コナン』が『沖矢昴』を工藤家に行くようにと切り出したのがきっかけなのは間違いないと沖矢と阿笠、それと灰原からも確認を取った事から実際に『江戸川コナン』に会わなければならないと感じていた。鍵を握るのはその子どもであり、分かったことと新たに生まれた疑惑を確信に変えるためにと。

・・・そうして小五郎の元を訪れた頼人は歓迎してくれる小五郎と穏やかに会話をしていき、さりげに話を工藤家の現在と『江戸川コナン』へと移行させていった。家に帰ったら知らない人がいたこともあるが、親戚の子どもらしいがどういった子どもなのかは分からないから教えてほしいと。

そんな頼人に久し振りに会ったのだからと小五郎は聞きたいことに関してを主観的ながらちゃんと話していくのだが、その話の中身だけを聞いても既に頼人には『江戸川コナン』が単なる子どもではないどころか行動もそうだがむしろ存在そのものが怪しいとしか言いようがないというように考えていった。そしてどこが一番怪しいのかと言えば、小学生という年齢で事件に何度も会っているのに動揺も何もなく動いていると言ったことにやたらと事件現場でちょこまかと動いていることだ。

元々小五郎は探偵という立場で仕事をしているとは言え、様々な事件に会ったり解決をするような探偵ではない。むしろそんな事件とは関わりの薄い普通に仕事をする探偵と同じような仕事が主な仕事だった。しかし『江戸川コナン』が来てから事件とやたら縁深くなった上で眠りの小五郎と呼ばれる形で事件解決をすることから有名人になったとのことだが、その際に小五郎に話を聞けば滅多に会わない頼人が相手だからというのもあるのだろうがほとんど事件解決の際の記憶がないと聞いた。その時にはいつも『江戸川コナン』が側にいて、やたらと現場を動き回っている事も。









.
7/14ページ
スキ