元世界最高の探偵が物語に加わ・・・らないだけの話

「かくいう私もLとしての経験が無ければ、新一があんな姿になっているなんて想像はそうそう簡単にはしていなかったでしょうね・・・デスノートに死神、それに記憶を持っての転生・・・どちらかと言えばオカルトだったりスピリチュアルな分野に近い物を前にしてしまえば、体が縮んでしまうのは科学が進めば解明出来る事象になると考えれば案外受け入れやすいですね」
ただそこで横に置いてあった大量のお菓子の袋の中からチョコを取り出し包みを開けながら、自身の経験が役に立ったと口にする。






・・・頼人には前世の記憶がある。世界最高の探偵と呼ばれたLという人物の前世の記憶が。そしてその記憶の最後辺りに出てくる物や存在達はそれまでの経験の中にはない、非科学的な物ばかりであった。

それらについては話が長くなるので省略するが、非科学的な出来事や存在に関してはいるものだと受け入れることが出来るくらいには頭は柔らかくなってそれらを受け入れる度量は広まったと頼人は考えている。そしてそういった経験に転生をしたということから、コナンが小さくなった新一ではないかとすんなりと考えることが出来たのだ。様々な観点から物事を見た結果・・・






「しかし普通に考えればおかしいと思うはずなんですけどね。親戚の子どもの一声で一度会っただけの人間を父さん達が家を使っていいなんて許可を出すなんて、まず有り得ませんよ」
そのまま頼人は甘味を食べつつパソコンを触りながら一人言を漏らしていく。これはおかしいだろうと思ったことについてを。






・・・まず頼人は工藤家に帰ってきて沖矢昴に扮した赤井が家の中に当然といったようにそこにいたことに、こういった経緯で工藤家を使わせてもらっているといった説明を聞いた時に率直に有り得ないと感じていた。こんなことが普通に起こり得る筈がないと。

なら何が有り得ないかと言えば、親戚の小学生低学年程度の子どもから実家に誰もいないから家を使わせてあげてなんて言われてそれをあっさりと両親が了承したことだ。特に優作がそんなことをするなどまず有り得る筈がないと。。

・・・今回自分を生んでくれた両親が善人であることは十七年という時間の中で十二分に頼人は知ってはいる。だが善人ではあっても、お人好しと言ったような性分ではないこともまた頼人は知っていた。子どもの頃に有希子からであったり優作自身から語られた昔話を聞く限りは新一と同等かはさておき、事件に会いやすく犯罪と向き合う機会が多かったことに加えて新一よりも様々な経験を送っている。

そんな人生経験豊富な優作が親戚の十にも満たない子どもが紹介した一度事件現場で会ったきりで住む所を失ったとは言え、身元不確かな人間を新一もいなくなって他に誰もいない自分の家に住まわせるなど優作が哀れみからでも許可を出すか・・・それは有り得ないと頼人は断言出来た。工藤家にある物は全て高額な品だけで構成されている訳ではないが、それでも売ればいい額だったり貴重と言えるような品は多々ある。そんな物がいっぱいあるというのに家を荒らされる可能性を考えないほど、ましてや荒らされてもいいなどと優作が思うほどお人好しな訳はない。

ならどうしてそんな人物に子どもから話を聞いただけで家を貸すことにしたのか・・・そう考えて頼人はある考えに行き着いた。それは『沖矢昴』という人物が信頼に値する人物だと元々知っていたか聞かされていたという可能性もそうだが、『江戸川コナン』の言葉を信頼出来ると判断したという可能性の方が高いという考えだ。









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