元世界最高の探偵が物語に加わ・・・らないだけの話

・・・工藤家において頼人は異端児であった。だがそれは悪い意味ではなく、広く顔を売ってアクティブに活動する三人と違って勉強だったり家の中でゆっくり本を読んだりと三人に比べたら明らかに大人しい人物という意味でだ。その様子からどちらの遺伝子が現れたのかと優作に有希子は疑問を抱いたが、それでも別に悪い子ではないのだから問題はないと新一も含めて考えることにした。

そうして改めて頼人の事を受け入れる事にした三人だが、頼人が中学生になる時にアメリカの大学への飛び級の留学がしたいと切り出してきた時は三人は驚いた。だが頼人の頭の良さは普通ではなく、日本トップクラスの大学レベルのテストでも満点を取れる物だった為に試しにやってみるのもいいのではと優作達は頼人に試験を受けさせてみたが、そこであっさりと試験に合格出来たことにより頼人の飛び級での大学入りは果たされることになった。子どもが一人でアメリカ行きは心配ではあるが、これだけ頭のいい頼人なら大丈夫だろうと見込まれる形でだ。

そうして準備を進めて頼人はアメリカに行ったのだが、その四年間で頼人側から新一達に電話がかかってきたことなどほとんどなかった。まぁこれは頼人の性格的に話がしたくなっただけだとかノスタルジックな気持ちを持つことが無いことから、便りがないのは元気で何もない証だと考え新一や優作達が時折電話だったり来訪をしたりすることで親子や兄弟の交流のバランスを取ってきた。

・・・しかし新一が小さくされた時から時々とは言え交流してきた流れを三人は絶やしていた。それは度々自分達の事を話題にしてきたのに今の新一の事を話題に出来るはずがないと思ってだ。

新一と違って優作達はまだ自由に動ける立場の上に行こうと思えばいつでも行ける位置にいるが、それは裏を返せば遠くはなくとも近くもない距離とも言える位置とも言える・・・そんな場所にいるのに事件や謎に向かい合う事を望むのではなく、勉学に集中して打ち込む頼人をわざわざ裏の世界に巻き込む理由もない上に大人しい頼人を危険なことに巻き込まない方がいいと思い、新一の事は伝えないと共に何か察される事を案じてしばらく頼人の元に行かないようにしようと決めていたのだ。と言ってもそういった配慮から頼人が帰る際の連絡が無かったことに繋がり、少々面倒になったのである・・・






『・・・まぁどちらにせよ、一時帰国と言うからにはそう長い時間は滞在しないのだろう。積もる話はあるだろうが、今の新一の事を明かす訳にはいかないというのはお前も分かっている筈だ。だから頼人が会いに来るならともかく、そちらから会いに行くようなことはしない方がいいだろう』
「あぁ、分かってる・・・話をしに行くならそれは俺の体が元に戻ってからにするさ・・・大学卒業の祝いもしてやりたいしな・・・!」
そんな頼人のことで優作はちゃんと距離を取るべきだと言うと、新一も不敵な笑みを浮かべながら頷いて返す。大切な弟ではあるが自分達のやることに巻き込みたくないからこそ、兄として向き合うのは元の体に戻ってから・・・そう決意する形で。


















「・・・全く、何をしているんですかね新一は・・・久しぶりに日本に帰ってきてみれば、あんな体になってるなんて・・・」
・・・そんな新一が優作と電話をしている同時刻。
とあるホテルの一室で机に置いたノートパソコンを見ながら頼人は呆れたと言った声を漏らしていた・・・コナンを新一と誰からも聞かされてないのに、それも今日初めてコナンとしての新一と会ったのにその正体を新一だと確信する形で。









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