イレギュラーによる解決と変遷

「話は以上かい?だったらまた何かあったら連絡してくれ。それと戻ったら薬に関する記憶を消す事にするから、その時になったらこちらから連絡するようにしよう」
『分かったわ。それじゃあまた』
そして話はこれで終わりと後の事を口にした蔵馬に、志保は言葉少なく了承して電話を切る。
「・・・さて、次は・・・」
そこから蔵馬は電話をまた操作し、次の会話相手に電話をする。
『・・・もしもし』
「あぁ、コエンマ。米花町でやるべきことはもう終わりました。このマンションの引き払いはお願いします」
『あぁ、そうか。では結果は成功ということか?』
「取り敢えずは。まぁ工藤君に関しては色々と問題はありますが、何かあれば俺が対処しますよ」
『対処か・・・やはり組織関連で諦めきれてないといった様子だったか・・・』
そうして蔵馬の電話に出たのはコエンマで、報告と共に出てきた名前に疲れたような声を漏らす。
「彼に関して何か思うところがあるんですか?」
『正直、将来工藤新一をどう裁くかが面倒なんだ・・・確かに数多の事件の解決に尽力してきた功績は認めるが、江戸川コナンであった時の事も含めての違法捜査や正体を明かさないために毛利小五郎を始めとした人々への麻酔銃の使用と推理の為の操り人形としたこと・・・罪を全く犯さぬまま生を終える者など存在しないが、工藤新一は善行を積みつつ同時に悪行も積んでいるも同義だ』
「成程・・・確かに貴方の立場からすれば工藤新一をどう裁けばいいか、悩みどころですね」
『あぁ・・・根が善人なら行動が悪でも、結果が善となればそれでいいのか・・・規模が小さければ同じような者なら何度も裁いたことがあるが、工藤新一に関しては面倒でしかない・・・地獄に送るにしては功績を挙げすぎてはいるが、だからといって天国というにも面倒な事をしている・・・本当に厄介極まりないわい・・・』
「まぁそこから先は彼が死んでから考えてください。俺はもう役割を終えたから、さっさと荷物をまとめて戻らせてもらいますよ。後今回の報酬の俺の給料分についてはともかく、別に払うと言っていた金に関しては前に報告した時に言ったよう志保に渡してください。貴方の言葉ではありませんが、人間に金はあって困るものではありませんし色々と入り用でしょうからね」
『分かっておる。ではな』
そこから新一を死者として裁く際の事を溜まっているといったように口にしていくコエンマをなだめつつ蔵馬は話を進め、もう戻ることと共に志保に気遣うような言葉を告げるとすんなりと頷き電話を切る。
「さて、片付けの続きに戻るか」
そうして蔵馬は何事もなかったかのように荷物のある方へと向かう。もうこの件に関しては何もないと心残りなど何一つないといったように・・・



















・・・それで蔵馬が元の居場所に戻り志保の薬の作り方に関する記憶を消した後、特に米花町関連の人物が来るといったような変わったことはなかった。そのことから蔵馬と志保は新一は『南野秀一』をまだ怪しいとは思いつつも、決定的な証拠が見付からないからこそ蔵馬の元に来ないのだと確信していた。

現に阿笠から一度志保に連絡が入って本当にバーボンではないのかといった確認の電話が入ったが、それは志保がさっさと否定をした上でどうせ工藤君の指示か工藤君の為にと電話してきたんでしょうけどそういうことなら二度と電話をしてこないでと言ったことで、阿笠とも関係が切れることとなった。

・・・これからも新一は自分以外の謎の存在に組織が潰された事に、もやもやした上で誰がそうしたのかを探し続けることだろう。だがいかに新一の能力が高いとは言ってもどうしようもない・・・ヘマをしていない蔵馬を相手にしては、証拠など掴みようが無いために。故に諦めれば早いことなのに、これからも無駄な時間を使うことだろう。結局は自分がやりたいことをやれなかった事を一言言いたいという、心残しを解決したいだけの気持ちをどうにかするためだけに・・・









end









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