イレギュラーによる解決と変遷
「まぁ霊界側があの薬が存在し続けるような事態になることを懸念して動くと決めたのは事実だからね。将来的に自分達の都合が良くないから動いただけだろうと言われたら、まぁそれはそれで仕方無いさ」
『・・・随分とドライなのね、貴方』
「俺はあくまで霊界から頼まれたと言うだけで、コエンマに一部の者はともかく他の霊界の上層部とはさして親しくもないどころか顔もろくに知らないからね。それに俺という妖怪とは言え、自分達で解決するのではなく現世に存在する者に頼ると決めたのだからこれくらいはまぁ言ってもいいだろう・・・ただ工藤君に関しては始めは警戒していたとは言え、君みたいに物分かりが良ければ話をしてさっさと組織を壊滅させるで終わらせるで良かったんだけれどね」
『・・・それは同意するわ。そもそもこうなったのは彼の頑迷さが理由だもの』
しかし霊界側にも一因はあると蔵馬は言うが、それを素直に受け止められないだろう新一が面倒だったとの言葉に志保も疲れたように返す。新一がもう少しも妥協なり考え方を変えるなどしていたなら、こんなに苦労はしていなかったと。
「まぁそれはさておき、これでもう流石に工藤君も手詰まりに陥っただろう。今言ったように俺が霊界の依頼からそうしたなんて証拠もないし、繋がりも見付からないだろうからね。ただ一応彼が君に会わないならいいだろうと桑原君やその家族に会いに行けばいいという結論に至るかもしれないし、俺が桑原家から比較的すぐ行ける場所に住んでることをリサーチして、どういうことだと言ってくるかもしれないからそれは桑原君の姉さんの方に話題を振ってくれ。桑原君はそういった駆け引きは苦手だから、彼女に任せた方がもしもの時に色々とうまくやってくれるだろう」
『・・・彼らとの関係を誤魔化したりはしないの?』
蔵馬はその流れから今後新一がまた来た場合の時についてをこうするよう伝えるが、志保は誤魔化すようなことはしないのかと疑問を向ける。
「下手に誤魔化すような事をすれば彼は俺やその周囲を疑ってかかるだろうから、それはしないさ。それにあくまで今の君は『灰原哀』にそっくりな『宮野志保』という一個人で、俺との関係性も何もない友人の家の同居人というだけの事だ・・・桑原君との付き合いの中でたまたま君と顔を合わせたということにした上で工藤君が関わりを持たないならそのままの君と交流すればそれで済む話だし、関わりを持ってきたなら今度は遠慮なく記憶を弄らせてもらうさ・・・彼の厄介さは身に染みて理解出来たからね。今度はもう遠慮はしない」
『っ・・・貴方のそういう声もそうだけど、私に言ったのは別としてもナチュラルに人の記憶を弄るなんていう言葉を聞くとは思わなかったわ・・・』
「フフ・・・昔よりは他者に対して優しくなれたとは思ってはいるが、俺は自分が善人になったなんては思ってはいない。勿論取るべき手段はどのような規模が的確かを選ぶだけの考えくらいは持っていると自認しているが、俺は敵対する相手に対して容赦するような妖怪じゃないのさ」
『っ・・・何となく貴方が端から見たら人が悪い笑顔を浮かべてるのが見えた気がするわ・・・』
・・・その声に何かの予感を感じた志保が言った通り、蔵馬は普段の柔らかい笑みとは一線を画する美しくも冷たいサディズムに満ちた笑みを浮かべていた。この辺りは蔵馬自身が言っているよう自分に近かったり無害だったり無関係な相手に対しては無条件に優しくなるくらいには穏やかになったが、自らの敵に対してはいくらでも冷酷でいて残忍にでもなれ、どんな手段でも用いることが出来る・・・そういった性分は『南野秀一』となって母親に向けられた想いがあってからも、変わることはなかった為に。
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『・・・随分とドライなのね、貴方』
「俺はあくまで霊界から頼まれたと言うだけで、コエンマに一部の者はともかく他の霊界の上層部とはさして親しくもないどころか顔もろくに知らないからね。それに俺という妖怪とは言え、自分達で解決するのではなく現世に存在する者に頼ると決めたのだからこれくらいはまぁ言ってもいいだろう・・・ただ工藤君に関しては始めは警戒していたとは言え、君みたいに物分かりが良ければ話をしてさっさと組織を壊滅させるで終わらせるで良かったんだけれどね」
『・・・それは同意するわ。そもそもこうなったのは彼の頑迷さが理由だもの』
しかし霊界側にも一因はあると蔵馬は言うが、それを素直に受け止められないだろう新一が面倒だったとの言葉に志保も疲れたように返す。新一がもう少しも妥協なり考え方を変えるなどしていたなら、こんなに苦労はしていなかったと。
「まぁそれはさておき、これでもう流石に工藤君も手詰まりに陥っただろう。今言ったように俺が霊界の依頼からそうしたなんて証拠もないし、繋がりも見付からないだろうからね。ただ一応彼が君に会わないならいいだろうと桑原君やその家族に会いに行けばいいという結論に至るかもしれないし、俺が桑原家から比較的すぐ行ける場所に住んでることをリサーチして、どういうことだと言ってくるかもしれないからそれは桑原君の姉さんの方に話題を振ってくれ。桑原君はそういった駆け引きは苦手だから、彼女に任せた方がもしもの時に色々とうまくやってくれるだろう」
『・・・彼らとの関係を誤魔化したりはしないの?』
蔵馬はその流れから今後新一がまた来た場合の時についてをこうするよう伝えるが、志保は誤魔化すようなことはしないのかと疑問を向ける。
「下手に誤魔化すような事をすれば彼は俺やその周囲を疑ってかかるだろうから、それはしないさ。それにあくまで今の君は『灰原哀』にそっくりな『宮野志保』という一個人で、俺との関係性も何もない友人の家の同居人というだけの事だ・・・桑原君との付き合いの中でたまたま君と顔を合わせたということにした上で工藤君が関わりを持たないならそのままの君と交流すればそれで済む話だし、関わりを持ってきたなら今度は遠慮なく記憶を弄らせてもらうさ・・・彼の厄介さは身に染みて理解出来たからね。今度はもう遠慮はしない」
『っ・・・貴方のそういう声もそうだけど、私に言ったのは別としてもナチュラルに人の記憶を弄るなんていう言葉を聞くとは思わなかったわ・・・』
「フフ・・・昔よりは他者に対して優しくなれたとは思ってはいるが、俺は自分が善人になったなんては思ってはいない。勿論取るべき手段はどのような規模が的確かを選ぶだけの考えくらいは持っていると自認しているが、俺は敵対する相手に対して容赦するような妖怪じゃないのさ」
『っ・・・何となく貴方が端から見たら人が悪い笑顔を浮かべてるのが見えた気がするわ・・・』
・・・その声に何かの予感を感じた志保が言った通り、蔵馬は普段の柔らかい笑みとは一線を画する美しくも冷たいサディズムに満ちた笑みを浮かべていた。この辺りは蔵馬自身が言っているよう自分に近かったり無害だったり無関係な相手に対しては無条件に優しくなるくらいには穏やかになったが、自らの敵に対してはいくらでも冷酷でいて残忍にでもなれ、どんな手段でも用いることが出来る・・・そういった性分は『南野秀一』となって母親に向けられた想いがあってからも、変わることはなかった為に。
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