「・・・ねぇ、工藤君。今の話は貴方にとって不本意かどうかは置いておいても、理解したはずよ。バーボンに対して恨み言だとか正体を知りたいなんて言う権利はないどころか、そうしてしまえば貴方は犠牲になるかもしれなかった人々の事を全く考えていない愚かな人に成り下がってしまうことは」
『そ・・・それ、は・・・』
そして改めて志保が新一に今の話を理解したかを確認を取ると、新一は何とか返そうと言い分を探したそうな声をか細く漏らすしか出来ていない。
「納得しきれていないといった声しか聞こえてこないけれど、元々バーボンの事もそうだけれど組織内でスパイが見付かることはザラではないにしても、たまに見付かったという報告を受けたことはあった・・・その事から私が何を言いたいかと言うと、元々組織はその行動の在り方から敵は多くいて壊滅を願う機関もまたそれだけ存在していたということなの。そう考えれば切っ掛けがあればその中のどこの機関がスパイを通じて組織を潰そうと動いていてもおかしくなかったし、何だったら彼以外が行動してたら私は薬のデータを得ることも出来ないまま、貴方共々今の体に戻ることなく終わっていたかもしれないのよ」
『っ！？』
「・・・私が彼と会って薬のデータを持ってきてくれると約束して行動してくれたのは、運がいいとか軽く言えるレベルではないほどに相当な出来事だったの。それなのに貴方は自分でやらなきゃ気が済まなかったって、未だに苛立ってる・・・貴方からすればおこぼれをもらったみたいな気持ちになるのが嫌だという考えになるかもしれないけれど、彼が行動していなければ別の機関が動いて今の私達がいなかった可能性がすごく高かった・・・そうさっきの話も併せて聞いて、まだ貴方はそう言った気持ちを抱いてそれを彼に向けたいというのかしら？」
『ぅっ・・・！』
更に続けてバーボン以外にもスパイを出していた機関について述べた上で他が行動していた場合についてを志保は述べ上げ、まださっきまでのように言えるかを聞くと新一は一層声を小さくして呻くような音を発するしか出来なかった。バーボン以外が行動していたなら、自分が戻れなくなっていた可能性があったと聞かされては流石に一概に批難出来ないというよう。
「・・・ここまで聞いてもまだ考えを改めることが出来ていないといった様子のようね。ならもう一つ私から言わせてもらいたいことを言わせてもらうけれど、これで貴方が理解しないならもうどうしようもないわ」
『ま、まだ何かあるってのかよ・・・！？』
「えぇ・・・そもそも貴方、『江戸川コナン』の状態でどうやって組織を潰そうとしたの？」
『えっ・・・！？』
「だってそうじゃない。『江戸川コナン』の頃の貴方がはキック力増強シューズにボール射出ベルトに麻酔銃を用いるくらいしか戦う手段は持ってなかったじゃない。なのに組織を相手にどうやって団体戦で戦おうとしたの？ボールは銃の一発を撃ち込まれれば破裂するし、麻酔銃では一人一人くらいしか眠らせることしか出来ない・・・そんな武器しか持っていない貴方が、ジンやウォッカ以外にも何人もいるコードネーム持ちや組織の複数の人間達相手にどうやって戦いに参加するつもりだったの？」
『っ！？』
・・・そして新一にとってある意味では最もな核と言える問題であった組織との対峙の時の事を志保は口にし、新一は絶句せざるを得なかった。『江戸川コナン』としての肉体に、持っていた武器で組織の人間全てを相手取るなど無理だろうと言われたことにそれを理解してしまっただろう様子で。









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