イレギュラーによる解決と変遷

「別に貴方がそうだとかそうじゃないとか答える中身には興味はないわ。ただ貴方からそう言った気持ちが感じられたからそう言ったのだけれど、貴方自身の手で組織の壊滅をするというストーリーでなければ認められないというワガママな脚本にしていたらどうなっていたか、全く理解どころか考えてもいなかったでしょう?」
『ど、どういうことだよその言葉は・・・!?』
志保はすかさずその反応に言葉を続け、新一は戸惑いながらもその先を聞こうとする・・・志保が蔵馬より託された、新一の心を折る為の話を。
「私からこう言うことを言われたくないでしょうけれど、元々貴方は自分の手で組織を捕まえるって両親が保護をするといった手を振り払った上で自分に協力してほしいといったような事も言わなかったのでしょう?そしてバーボンの手により組織が壊滅した後の貴方は、ずっと正体が知りたい正体が知りたいと言い続けて南野さんの住居で家捜しをして辛うじて警察沙汰にならずに済んだのに、それでもとまだバーボンのことを諦めずにいる・・・その事から組織を潰すという気持ちを横取りされたことに苛立ちに近い気持ちを覚えたのは分かったけれど、そもそも貴方は早く組織を潰して元に戻りたいといった気持ちはあったとしてもそれを実現させるにはどれだけの労力に時間がかかるのかに、今の自分でそれが可能なのかとかそう言った事を考えたことはあったのかしら?」
『っ・・・それは、その・・・』
「考えたことはないでしょう、そんなこと?なのに貴方は獲物を盗られたとばかりに憤っていることを飾った言葉で誤魔化そうとした上でバーボンに会いたいと言っているけれど、彼が行動していなかったら貴方に私は元の体に戻っていないという以上に・・・今も尚、組織の手による犠牲者が現在進行形で出ているだろうことはまず間違いないわ」
『・・・え・・・?』
志保はそんな新一の取った行動に心理状態についてを口にした上で様々な考え事をしたかと聞いた後、組織の犠牲者と口にすると新一はキョトンとしたような声を漏らした。何故そんな言葉が出てくるのかというよう。
「・・・呆れたわ。貴方もジン達の手で危うく死にそうになっていたのに、忘れたの?彼らは敵対する者や殺すと決めた者達は躊躇に容赦なく殺してきたわ。流石に万の桁は行かないにしても、百の桁は確実に人を殺してきてる組織が自分が小さくされてからは誰も殺してもないし、もし今も存在していたならこれからも誰も殺すはずがないなんて断言出来るの?」
『っ!!』
だが言葉通り呆れながら続いた志保の言葉に、新一もここに来てハッと気付いた。組織が人を殺さずにずっといることなど有り得ないどころか、実際にピスコを始めとして組織の内外問わず、何人もが殺されていて誰も殺さないなどあるはずがないと。
「・・・貴方は自分が組織を潰して元の体に戻りたいという気持ちを抱いていた。その気持ちを間違っているとは言わないわ・・・でもそうした事情を知って阿笠博士よりコネがあって事態の解決に協力してくれただろう両親の手を都合のいいようにしか借りなかった。貴方の両親のコネがどこの誰との繋がりかは分からないけれど、貴方がジン達に襲われた時の経緯をその人達に話せばいち早い組織の壊滅に進んだ可能性もあったのにそうしない形を取った・・・あくまで自分の気持ちの問題だからとね。でも工藤君・・・そうして自分だけの都合に気持ちでやりたいようにやっていたなら、今のこの時点で彼が動いていなかったらどれだけの犠牲が出ていたか分からないままに文句やら抗議やらを言いたいなんていう為に会いたいなんて言うのは、その時に犠牲になっていたかもしれない人々がいるということを全く考えていない視野狭窄でいて独善的な考えよ」
『っ!?』
・・・新一の最大の問題点であった自分で解決したいという気持ちと考えについてを状況と併せて口にした志保に、新一からたまらず息をひきつらせたような音が聞こえてきた。組織による犠牲者の事など一切考えていないという事実をハッキリと突き付けられ、全く考えていなかった事に恐々とした気持ちを抱いたのだろう。









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