イレギュラーによる解決と変遷
「行ったか・・・」
蔵馬はマンションのベランダから新一がトボトボと離れていって姿が自身の目から見えなくなった所で携帯を取り出し、ある番号にコールして耳に当てる。
『・・・もしもし』
「あぁ、もしもし。済まないね、さっきは協力をしてもらって」
『別にこれくらいはお安いご用よ。それで工藤君は餌に食い付いたの?』
「あぁ、物の見事にね」
『はぁ・・・貴方の予想通りとはいえ、随分とあっさり引っ掛かったわね。貴方の言ったように敵の懐に何度も飛び込んで無事に何事もなく帰ってこれたという運を過大評価したというところなのだろうけれど、運はあくまで運でしかない・・・それを工藤君は分かっていなかったようね』
「ある意味では俺が何もせずに無傷で生きて帰れた事が運がいいとも言えるが、彼はそうだとは思わないだろうね」
『そもそもジンの車に盗聴機を仕掛けると躊躇いなく出来て、その上で生き残れていたことがおかしいのよ・・・』
然程時間を置かずに電話に出たのは志保で蔵馬は先程の空気とうって変わって機嫌よく話をしていくが、電話越しの志保の声は新一に対する盛大な呆れに満ちていた。
・・・先程の蔵馬と新一のやり取り。あれはあらかじめ蔵馬が新一ならこうするだろうと見て仕掛けた、実際は罠とも言えない罠であった。そしてその為に電話をしてきたのは、打ち合わせを事前にしてこの時間に電話をするように言っておいた志保からの電話だ。勿論偽名で登録しておいた上で、阿笠よりの厚意で使うようにと渡された携帯ではなく桑原家の厚意で購入した新たな携帯でだ。阿笠より渡された携帯に関しては灰原であった時の物を残すわけにはいかないということで、既に解約して何かあればこっちに連絡してと新たな番号を渡してはある・・・ただ志保からは基本的に新一側にかけるつもりなど一切ないし、手伝ってほしいことがあると言われたら今の生活があるからと断るつもりでいる。
そんな志保の携帯事情についてはさておき、それで敢えて場を離れるフリをしてすぐに新一の様子を探るために気配を殺していたのだが、ここであっさりと新一は蔵馬の予想した通りに迷うことなくその証拠集めに取りかかりに入ったのだ。そうさせることが狙いであった蔵馬の思惑など全く考えることなく、あっさりと引っ掛かる形でだ。
勿論蔵馬もそういったことをされるのを承知の上だったが、そもそも蔵馬はこのマンションをあくまで米花町での拠点として貸し出された事もあるが正体である妖怪に繋がるような証拠に公安などどこかの組織に所属してないからそんな物など持っていないし、志保の使ったパソコンに関しても中身は既に薬関係のデータは完全に漂白済みでデータの復活も出来たとしてもまず一朝一夕には出来ないレベルになっている。そんな状態の為に痛くない腹を探られるのは嫌だとは思いはしても、あらかじめ探られると覚悟してるなら別に問題は何もないし、何か自分の正体にやったことに繋がる証拠など出てきようもない。
・・・そうして見事に何も見付かることもないまま、新一は探し物をしてる場面を蔵馬は言い訳のしようのない状況で見付けた上で厳しい態度と言葉で制限を設けたのだ。敢えて厳しい中で妥協点を見付けたようにしたが、あれはあくまでも諦めの悪い新一がいっそ犯罪者の汚名を着せられたなら行くまで行くなどというような捨て鉢になるように蔵馬に突撃をさせないようにするため、ギリギリもう会わなければ嫌われはしてはいるものの警察沙汰にはならない程度になる・・・と言ったようにして、新一が証拠が無いなら見付けるまでという考えにならないようにする形でだ。
『・・・でも大丈夫なの?脅しはかけるとは言っていたけれど、工藤君がそれで諦めるようなタマではないのは貴方も分かっている筈だけれど』
「俺の方は心配はないさ。むしろ君の方に追求が来るのがどちらかと言えば問題だ・・・君に俺がバーボンなんだろうとしつこく言ってくることもそうだが、今住んでいる桑原君の元にまで来て色々探ろうとしてくることがね」
『そうね・・・もう終わったことだからそれで済ませればいいはずなのに、分からないままの謎を放っておくのは嫌だと言うのは目に見えているわ』
志保は一旦そこで気を取り直し改めて大丈夫かの確認を向けるが、むしろ心配なのはそちらだと返す蔵馬に確かにと漏らす。新一が自身の中で解決しないままの疑問を放っておく筈もなく、それを解決するためにも改めて志保の元に来るだろうと。
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蔵馬はマンションのベランダから新一がトボトボと離れていって姿が自身の目から見えなくなった所で携帯を取り出し、ある番号にコールして耳に当てる。
『・・・もしもし』
「あぁ、もしもし。済まないね、さっきは協力をしてもらって」
『別にこれくらいはお安いご用よ。それで工藤君は餌に食い付いたの?』
「あぁ、物の見事にね」
『はぁ・・・貴方の予想通りとはいえ、随分とあっさり引っ掛かったわね。貴方の言ったように敵の懐に何度も飛び込んで無事に何事もなく帰ってこれたという運を過大評価したというところなのだろうけれど、運はあくまで運でしかない・・・それを工藤君は分かっていなかったようね』
「ある意味では俺が何もせずに無傷で生きて帰れた事が運がいいとも言えるが、彼はそうだとは思わないだろうね」
『そもそもジンの車に盗聴機を仕掛けると躊躇いなく出来て、その上で生き残れていたことがおかしいのよ・・・』
然程時間を置かずに電話に出たのは志保で蔵馬は先程の空気とうって変わって機嫌よく話をしていくが、電話越しの志保の声は新一に対する盛大な呆れに満ちていた。
・・・先程の蔵馬と新一のやり取り。あれはあらかじめ蔵馬が新一ならこうするだろうと見て仕掛けた、実際は罠とも言えない罠であった。そしてその為に電話をしてきたのは、打ち合わせを事前にしてこの時間に電話をするように言っておいた志保からの電話だ。勿論偽名で登録しておいた上で、阿笠よりの厚意で使うようにと渡された携帯ではなく桑原家の厚意で購入した新たな携帯でだ。阿笠より渡された携帯に関しては灰原であった時の物を残すわけにはいかないということで、既に解約して何かあればこっちに連絡してと新たな番号を渡してはある・・・ただ志保からは基本的に新一側にかけるつもりなど一切ないし、手伝ってほしいことがあると言われたら今の生活があるからと断るつもりでいる。
そんな志保の携帯事情についてはさておき、それで敢えて場を離れるフリをしてすぐに新一の様子を探るために気配を殺していたのだが、ここであっさりと新一は蔵馬の予想した通りに迷うことなくその証拠集めに取りかかりに入ったのだ。そうさせることが狙いであった蔵馬の思惑など全く考えることなく、あっさりと引っ掛かる形でだ。
勿論蔵馬もそういったことをされるのを承知の上だったが、そもそも蔵馬はこのマンションをあくまで米花町での拠点として貸し出された事もあるが正体である妖怪に繋がるような証拠に公安などどこかの組織に所属してないからそんな物など持っていないし、志保の使ったパソコンに関しても中身は既に薬関係のデータは完全に漂白済みでデータの復活も出来たとしてもまず一朝一夕には出来ないレベルになっている。そんな状態の為に痛くない腹を探られるのは嫌だとは思いはしても、あらかじめ探られると覚悟してるなら別に問題は何もないし、何か自分の正体にやったことに繋がる証拠など出てきようもない。
・・・そうして見事に何も見付かることもないまま、新一は探し物をしてる場面を蔵馬は言い訳のしようのない状況で見付けた上で厳しい態度と言葉で制限を設けたのだ。敢えて厳しい中で妥協点を見付けたようにしたが、あれはあくまでも諦めの悪い新一がいっそ犯罪者の汚名を着せられたなら行くまで行くなどというような捨て鉢になるように蔵馬に突撃をさせないようにするため、ギリギリもう会わなければ嫌われはしてはいるものの警察沙汰にはならない程度になる・・・と言ったようにして、新一が証拠が無いなら見付けるまでという考えにならないようにする形でだ。
『・・・でも大丈夫なの?脅しはかけるとは言っていたけれど、工藤君がそれで諦めるようなタマではないのは貴方も分かっている筈だけれど』
「俺の方は心配はないさ。むしろ君の方に追求が来るのがどちらかと言えば問題だ・・・君に俺がバーボンなんだろうとしつこく言ってくることもそうだが、今住んでいる桑原君の元にまで来て色々探ろうとしてくることがね」
『そうね・・・もう終わったことだからそれで済ませればいいはずなのに、分からないままの謎を放っておくのは嫌だと言うのは目に見えているわ』
志保は一旦そこで気を取り直し改めて大丈夫かの確認を向けるが、むしろ心配なのはそちらだと返す蔵馬に確かにと漏らす。新一が自身の中で解決しないままの疑問を放っておく筈もなく、それを解決するためにも改めて志保の元に来るだろうと。
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