イレギュラーによる解決と変遷
「・・・聞こえなかったならもう一度言うよ、工藤君。君は今何をしているんだい?」
「っ・・・それは、その・・・」
そこで更に冷たさと威圧感が増された蔵馬からの再度の問い掛けの声に、新一は冷や汗を浮かべながら口ごもるしかなかった・・・蔵馬がバーボンだと証拠と確信を掴むためにここに来たが、そうでなかった場合の事を考えると組織の事を信じる信じないに関わらず一般人に話してしまう事になるリスクを考え。
「・・・答えにくいようなら質問の仕方を変えよう。君は俺の部屋に泥棒をしに来たのかな?」
「そっ、それは違います!俺は、ただその・・・貴方が、何者なのかを知りたくて・・・」
「何者なのか?何回か会う内に話しただろう。義理の父親となった親父の会社からの命令で、この米花町に仕事で来た会社員だと」
「た、確かにそうは聞きましたが・・・本当に貴方がそうなのか、嘘をついてるかどうかを確かめないとと思って・・・」
「その言い方だと、まるで俺が犯罪者か何かだと疑っているとしか思えないな」
「っ・・・!」
だが更に続いた蔵馬からの追求の言葉と犯罪者と見ているのか言わん言葉に、新一は口ごもってしまう。見ていると言うか、疑っているというのは確かであった為に。
「・・・その態度でそうだと自供したも同然のようなものだが、その中身について俺に言う気がないのも伝わってきた。となればこの事について警察に電話をさせてもらおうか」
「ま、待ってください!そんな・・・貴方に被害を与えるだとか、そんなつもりでやったことじゃないんです!」
「つもりじゃない?ならつもりじゃなかったと言えば泥棒もプライバシーの侵害も、ましてや事情の一つも説明されないというこの俺の怒りも許されるとでも言うのか?」
「っ!」
蔵馬は呆れたようにそこで警察の単語を出し新一はすぐに止めてほしいと止めに入るが、ここに来て更に冷たく吐き捨てるように怒りがあると言い切られた事に息を詰まらせた。それだけ蔵馬が本気であるのだと感じて。
「では警察に連絡を・・・と言いたいところだが、俺としてはこの問題がおおっぴらになって米花町から離れるのが遅れるのを避けたいし、何より君とさっさと無関係になりたい。だから君が俺の何を探っているのかは知らないが、あのパソコンも含めて何かを探そうとしていたのだろうからパソコンを気の済むまで徹底的に調べてここから出ていってくれ」
「えっ・・・」
「勘違いするな。君の様子からして例え警察を呼んだ後でも、君の中での俺への疑いが晴れるまで君は俺に付きまとってくるんじゃないかということを懸念した上での判断だ。だがそのパソコンの中には会社から送られてきたメールだとか、会社の業務に関わることが多々存在している・・・今日ここで起こしたことにパソコンの中身を利用しようとしたり口外しないこと、そして疑いが晴れたなら二度と俺に近付くな。完全な偶然ならまだしも、偶然を装ったりされてまた周りを探られても不快なだけだからな」
「っ!・・・わか、りました・・・」
だがここで警察を呼ばない代わりに交換条件を切り出した蔵馬に、新一に反論を返す事が出来ずに力なく頷くしかなかった。警察が来ないのは新一にとっても願うところではあるが、それ以上に蔵馬の静かな怒りの凄まじさがどれだけの物かを否が応でも感じてしまってしまった為に。
・・・それで新一は蔵馬の監視の元、極めて気まずい空気を感じながらパソコンを調べていったのだが隅々まで調べても何か目ぼしいものなど見付かる事はなかった。それこそ穴が空くほどにじっくりと何か暗号だったり隠されてる物がないかと全神経を集中してパソコンの中身を洗いざらい見てみたが、全く怪しい物が出てくることなど欠片一つもない形でだ。
そしてパソコンの中を調べていく内に調べる部分が少なくなっていくにつれ、元々冷や汗気味に汗をかいて顔色の悪かった新一は更に蒼白の様相に変わっていった。情報がないこともそうだったが、蔵馬がバーボンではなくて関係のない人物であり疑ったばかりか相当に不興を買うような事をしてしまったことを理解してしまったが為にだ。
だがいつまでもパソコンの前でジッとしていてもどうにもならないと思った新一はパソコンを調べ終わったと立ち上がった後に疑ってすみませんでしたと言って蔵馬に頭を下げたが、「そうか。なら帰ってくれ、もう君の顔は二度と見たくない」と絶対零度の眼差しでキッパリと取り付くシマなど見せぬように言い切られた為に衝撃にうなだれた状態のままマンションを後にしていった。
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「っ・・・それは、その・・・」
そこで更に冷たさと威圧感が増された蔵馬からの再度の問い掛けの声に、新一は冷や汗を浮かべながら口ごもるしかなかった・・・蔵馬がバーボンだと証拠と確信を掴むためにここに来たが、そうでなかった場合の事を考えると組織の事を信じる信じないに関わらず一般人に話してしまう事になるリスクを考え。
「・・・答えにくいようなら質問の仕方を変えよう。君は俺の部屋に泥棒をしに来たのかな?」
「そっ、それは違います!俺は、ただその・・・貴方が、何者なのかを知りたくて・・・」
「何者なのか?何回か会う内に話しただろう。義理の父親となった親父の会社からの命令で、この米花町に仕事で来た会社員だと」
「た、確かにそうは聞きましたが・・・本当に貴方がそうなのか、嘘をついてるかどうかを確かめないとと思って・・・」
「その言い方だと、まるで俺が犯罪者か何かだと疑っているとしか思えないな」
「っ・・・!」
だが更に続いた蔵馬からの追求の言葉と犯罪者と見ているのか言わん言葉に、新一は口ごもってしまう。見ていると言うか、疑っているというのは確かであった為に。
「・・・その態度でそうだと自供したも同然のようなものだが、その中身について俺に言う気がないのも伝わってきた。となればこの事について警察に電話をさせてもらおうか」
「ま、待ってください!そんな・・・貴方に被害を与えるだとか、そんなつもりでやったことじゃないんです!」
「つもりじゃない?ならつもりじゃなかったと言えば泥棒もプライバシーの侵害も、ましてや事情の一つも説明されないというこの俺の怒りも許されるとでも言うのか?」
「っ!」
蔵馬は呆れたようにそこで警察の単語を出し新一はすぐに止めてほしいと止めに入るが、ここに来て更に冷たく吐き捨てるように怒りがあると言い切られた事に息を詰まらせた。それだけ蔵馬が本気であるのだと感じて。
「では警察に連絡を・・・と言いたいところだが、俺としてはこの問題がおおっぴらになって米花町から離れるのが遅れるのを避けたいし、何より君とさっさと無関係になりたい。だから君が俺の何を探っているのかは知らないが、あのパソコンも含めて何かを探そうとしていたのだろうからパソコンを気の済むまで徹底的に調べてここから出ていってくれ」
「えっ・・・」
「勘違いするな。君の様子からして例え警察を呼んだ後でも、君の中での俺への疑いが晴れるまで君は俺に付きまとってくるんじゃないかということを懸念した上での判断だ。だがそのパソコンの中には会社から送られてきたメールだとか、会社の業務に関わることが多々存在している・・・今日ここで起こしたことにパソコンの中身を利用しようとしたり口外しないこと、そして疑いが晴れたなら二度と俺に近付くな。完全な偶然ならまだしも、偶然を装ったりされてまた周りを探られても不快なだけだからな」
「っ!・・・わか、りました・・・」
だがここで警察を呼ばない代わりに交換条件を切り出した蔵馬に、新一に反論を返す事が出来ずに力なく頷くしかなかった。警察が来ないのは新一にとっても願うところではあるが、それ以上に蔵馬の静かな怒りの凄まじさがどれだけの物かを否が応でも感じてしまってしまった為に。
・・・それで新一は蔵馬の監視の元、極めて気まずい空気を感じながらパソコンを調べていったのだが隅々まで調べても何か目ぼしいものなど見付かる事はなかった。それこそ穴が空くほどにじっくりと何か暗号だったり隠されてる物がないかと全神経を集中してパソコンの中身を洗いざらい見てみたが、全く怪しい物が出てくることなど欠片一つもない形でだ。
そしてパソコンの中を調べていく内に調べる部分が少なくなっていくにつれ、元々冷や汗気味に汗をかいて顔色の悪かった新一は更に蒼白の様相に変わっていった。情報がないこともそうだったが、蔵馬がバーボンではなくて関係のない人物であり疑ったばかりか相当に不興を買うような事をしてしまったことを理解してしまったが為にだ。
だがいつまでもパソコンの前でジッとしていてもどうにもならないと思った新一はパソコンを調べ終わったと立ち上がった後に疑ってすみませんでしたと言って蔵馬に頭を下げたが、「そうか。なら帰ってくれ、もう君の顔は二度と見たくない」と絶対零度の眼差しでキッパリと取り付くシマなど見せぬように言い切られた為に衝撃にうなだれた状態のままマンションを後にしていった。
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