イレギュラーによる解決と変遷
‘ブー・・・ブー・・・’
「・・・ごめんなさい、工藤君からの電話だから少し黙ってくれる?」
「あぁ、分かった」
そんな時にバイブの音が聞こえてきて灰原がポケットから自分の携帯を取り出し、液晶を見て少し眉を寄せながら蔵馬に黙ってもらうことを頷いてもらった後に通話に切り替え話す体勢に入る。
「・・・もしもし、何かしら工藤君?・・・・・・調べてほしいことがある?・・・・・・分かったわ、調べ終わったらメールするから」
「・・・事件かい?」
「えぇ、そうよ。話を聞く限りまた厄介な事件に出くわしたようだけれど、その事件に関しての調べものを頼まれたわ」
「・・・彼、君が自分に協力することは普通だと思っているよね。自分と君が立場を同じくしていて秘密を共有する仲間であると同時に、事件を共に解決するのは当然というように思う形で」
「彼の近くにいて慣れたつもりではあるけれど、貴方と付き合うようになってからはうんざりといった気持ちが付きまとってくるようになったわ・・・別に事件が起きたなら解決しないでいいとか言うわけではないけれど、だからって私は彼の言うことを何でも聞く便利屋ではないわ」
「はは・・・」
それで簡潔に会話を終えて電話を切った後に電話をポケットに戻して灰原はうんざりとしたと言ったように新一への気持ちを口にし、蔵馬は若干苦笑気味に笑う。
「・・・ねぇ、こうして協力してもらってまたこんなことを言うのは気が引けるんだけれど・・・もう一つ元の体に戻った後の事で協力してくれないかしら?」
「何をだい?」
「・・・元の体に戻って宮野志保と名乗れるようになっても、私にはもう頼れる身寄りがいないわ。両親は言わずもがな、お姉ちゃんもいない・・・それでも一応は元の体に戻ったならちゃんと生きていくつもりではあるけれど、今の私を受け入れてくれるのは今も私を住まわせてくれる阿笠博士しかいない・・・貴方と会うまでなら博士に恩を返す傍らで暮らすのもいいかと思っていたけれど、もうそんなことは思えない。だから・・・」
「元の体に戻ったなら、俺のツテで米花町を離れて暮らせるように出来ないか・・・ってところかい?君の願いは」
「っ・・・えぇ、そうよ・・・ただかなりの無理を言っているから、普通に断られても文句はないわ・・・」
そんな中で灰原は神妙な空気で願いがもう一つあると話をしていき、蔵馬が言いたいことを途中で察すると軽く驚いた後に頷き表情を重くしながら断られても仕方無いと口にする。
「結論から言うなら君が口裏を合わせてくれるなら、俺が元々住んでいる所の知り合いに話をして受け入れてもらうようにすることは可能だろう。コエンマに協力してもらえば偽装工作は請け負ってくれるだろうし、知り合いに頼めば君が一人立ち出来るまでは君の事を預かってくれる身元保証人となってくれるだろう。ただそうしてしまえば工藤君を始めとした人々との関係が薄くなるが、それでもいいのかい?」
「えぇ、構わないわ。貴方のやることがうまく行けば私は『灰原哀』ではなくなって、『宮野志保』に戻ることになる。歩美ちゃん達と離れることは寂しいという気持ちになるし、あの子達は『宮野志保』に戻っても仲良くしてくれるとは思う・・・けれど博士の元に『灰原哀』がいなくなった後に現れる『宮野志保』はあまりにも『灰原哀』に似すぎている。あの子達を誤魔化すにしても色々と面倒になる以上に、私自身も辛くなると思うの・・・」
「あの子達と同じ目線で友達として接することが出来なくなるから、か」
「えぇ・・・それに工藤君に博士は大丈夫だとか自分がフォローするとかって言うだろうけれど、もう私の中には彼と進んで関わりたいと思うような気はないし何かあれば今日のように彼に巻き込まれかねない。だから・・・」
「米花町から離れたい、か・・・分かった。君がそう言うなら俺もその為に動こう。居場所のある工藤君はともかく、そんな考えを持つ君を無配慮に放っておくのは俺としてもあまり気分が良くないしね」
「ありがとう、本当に・・・」
蔵馬はその声に出来るがいいのかと確認を向けると、意思は固まっていると自身の考えを口にしていく灰原の姿になら協力すると笑顔で答え、真剣に灰原は頭を下げた。様々な想いを込める形で。
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「・・・ごめんなさい、工藤君からの電話だから少し黙ってくれる?」
「あぁ、分かった」
そんな時にバイブの音が聞こえてきて灰原がポケットから自分の携帯を取り出し、液晶を見て少し眉を寄せながら蔵馬に黙ってもらうことを頷いてもらった後に通話に切り替え話す体勢に入る。
「・・・もしもし、何かしら工藤君?・・・・・・調べてほしいことがある?・・・・・・分かったわ、調べ終わったらメールするから」
「・・・事件かい?」
「えぇ、そうよ。話を聞く限りまた厄介な事件に出くわしたようだけれど、その事件に関しての調べものを頼まれたわ」
「・・・彼、君が自分に協力することは普通だと思っているよね。自分と君が立場を同じくしていて秘密を共有する仲間であると同時に、事件を共に解決するのは当然というように思う形で」
「彼の近くにいて慣れたつもりではあるけれど、貴方と付き合うようになってからはうんざりといった気持ちが付きまとってくるようになったわ・・・別に事件が起きたなら解決しないでいいとか言うわけではないけれど、だからって私は彼の言うことを何でも聞く便利屋ではないわ」
「はは・・・」
それで簡潔に会話を終えて電話を切った後に電話をポケットに戻して灰原はうんざりとしたと言ったように新一への気持ちを口にし、蔵馬は若干苦笑気味に笑う。
「・・・ねぇ、こうして協力してもらってまたこんなことを言うのは気が引けるんだけれど・・・もう一つ元の体に戻った後の事で協力してくれないかしら?」
「何をだい?」
「・・・元の体に戻って宮野志保と名乗れるようになっても、私にはもう頼れる身寄りがいないわ。両親は言わずもがな、お姉ちゃんもいない・・・それでも一応は元の体に戻ったならちゃんと生きていくつもりではあるけれど、今の私を受け入れてくれるのは今も私を住まわせてくれる阿笠博士しかいない・・・貴方と会うまでなら博士に恩を返す傍らで暮らすのもいいかと思っていたけれど、もうそんなことは思えない。だから・・・」
「元の体に戻ったなら、俺のツテで米花町を離れて暮らせるように出来ないか・・・ってところかい?君の願いは」
「っ・・・えぇ、そうよ・・・ただかなりの無理を言っているから、普通に断られても文句はないわ・・・」
そんな中で灰原は神妙な空気で願いがもう一つあると話をしていき、蔵馬が言いたいことを途中で察すると軽く驚いた後に頷き表情を重くしながら断られても仕方無いと口にする。
「結論から言うなら君が口裏を合わせてくれるなら、俺が元々住んでいる所の知り合いに話をして受け入れてもらうようにすることは可能だろう。コエンマに協力してもらえば偽装工作は請け負ってくれるだろうし、知り合いに頼めば君が一人立ち出来るまでは君の事を預かってくれる身元保証人となってくれるだろう。ただそうしてしまえば工藤君を始めとした人々との関係が薄くなるが、それでもいいのかい?」
「えぇ、構わないわ。貴方のやることがうまく行けば私は『灰原哀』ではなくなって、『宮野志保』に戻ることになる。歩美ちゃん達と離れることは寂しいという気持ちになるし、あの子達は『宮野志保』に戻っても仲良くしてくれるとは思う・・・けれど博士の元に『灰原哀』がいなくなった後に現れる『宮野志保』はあまりにも『灰原哀』に似すぎている。あの子達を誤魔化すにしても色々と面倒になる以上に、私自身も辛くなると思うの・・・」
「あの子達と同じ目線で友達として接することが出来なくなるから、か」
「えぇ・・・それに工藤君に博士は大丈夫だとか自分がフォローするとかって言うだろうけれど、もう私の中には彼と進んで関わりたいと思うような気はないし何かあれば今日のように彼に巻き込まれかねない。だから・・・」
「米花町から離れたい、か・・・分かった。君がそう言うなら俺もその為に動こう。居場所のある工藤君はともかく、そんな考えを持つ君を無配慮に放っておくのは俺としてもあまり気分が良くないしね」
「ありがとう、本当に・・・」
蔵馬はその声に出来るがいいのかと確認を向けると、意思は固まっていると自身の考えを口にしていく灰原の姿になら協力すると笑顔で答え、真剣に灰原は頭を下げた。様々な想いを込める形で。
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