イレギュラーによる解決と変遷

「まぁ長が日本人であることはさておき、公安に任せるのは日本にある組織である以上は日本の組織に任せた方がいいと見たからだ。FBIにCIAなども組織の壊滅が出来るなら手を尽くすために人員を動かしはするだろうが、そこで公安とぶつかられるような事態になれば何らかのトラブルから完全な組織の壊滅に繋がらないと言うことも有り得るからね」
「・・・確かに日本の組織である公安と外国の組織は相性は悪そうね」
「あぁ。それに組織の中に入り込んでいる公安のスパイは前に組織にいたFBIのスパイに対し、個人的な遺恨があるという。そのスパイ達が遺恨を忘れて仲良くなどというのは簡単な話ではないだろうし、それこそそこから何かあってなどという事態になるのは望ましいことじゃない。だから別に俺は日本で育ったからという訳じゃないが、公安に任せると言ったんだ」
「そういうことなのね」
そして続けて何故公安なのかという理由についてを蔵馬は話していき、その中身に灰原も特に反対といったような空気もなく納得する。
「ただ貴方は公安のスパイと話をしたというようにすると言っていたけれど、その人のコードネームを教えてくれないかしら?所属に本名はまだ誤魔化せはするだろうけれど、コードネームくらい知らないと工藤君への誤魔化しは面倒になるわ」
「あぁ済まない、そうだったね」
しかしそれなら公安のコードネームは何なのかと疑問を向ける灰原に、蔵馬は笑顔で携帯を取り出し操作をすると灰原の前に画面を向ける。
「この人物が公安のスパイであり、コードネームはバーボン。偽名として安室透と名乗っていることもあるが、本名は降谷零というそうだ。と言っても向こうは君と接触しないようにはするから、バーボンとだけ覚えておけばいいだろう」
「バーボン・・・聞いたことはあるわね・・・組織の中でもかなり切れ者だと・・・」
そのまま蔵馬は画面の人物についてを簡潔に説明していき、灰原も思い出すようにしながらバーボンの事を聞いたことがあると漏らす。
「あぁ。現に単純な彼の能力は工藤君にも匹敵するし、今のところは組織にも尻尾を見せるようなことはしていない。まぁ今言ったようにそのFBIのスパイに対して思うところがあるという点はいただけなくはあるが、この人物の主導に加えてジンを始めとした厄介な幹部にコードネーム持ち達は俺が抑えて内密に引き渡す予定でいる。まず失敗することはないから安心してくれていい」
「・・・ジンや他の人達も含めてそんなことが簡単に出来るなんて・・・流石と言った方がいいのかしら?」
「自惚れるつもりはないが、特に異能を持たない人間に今の俺が負けるような要素はないからね」
「・・・フフ・・・貴方が善意だけで行動している訳ではないのは聞いてはいるけれど、それでもそんな貴方だからこそ安心出来るわ」
蔵馬はそんなバーボンを利用した上で自分が行動するのだから大丈夫だと笑顔を浮かべ、灰原もまた苦笑気味に笑顔で返す。蔵馬なら大丈夫だと今なら思えると心から口にする形で。









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