「そう考えると組織が潰れてから彼に完全な薬を渡すのが一番いいのは分かるのだけれど、彼に対してどう説明すればいいのかしら・・・薬の正確なデータの出所に、組織が何故いきなり潰れたのかについてを・・・」
「その事に関しては問題ない。組織を潰す際には組織の中に入り込んでいる公安の人間に接触し、君と偶然出会い昔から関わりがあってデータを手に入れたと説明すればいいように設定するし、公安に組織を主だって潰す為に動いてもらうからね」
「公安？」
ただそんな新一に対してどう色々と誤魔化すのかと聞く灰原だが、公安を利用するとの返しに眉を寄せる。
「・・・どうしてそこで出てくるのが公安なのかしら？ＦＢＩにＣＩＡでは駄目な理由はあるの？」
「簡単に言うならここが日本であり、組織の長が日本人で日本にいるからさ」
「なんですって・・・トップは日本人なの・・・！？」
そこで出たのは公安にした理由は何なのかとの疑問だが、蔵馬が普通に出した答えの中の長が日本人という部分にたまらず灰原は驚愕に声と顔を揺らした・・・組織の中でもトップの顔に名前を知る存在はかなり限られていて、シェリーとして組織にいた時でもトップの正体どころか国籍すら聞いたことが無かったために。
「そこについてを詳しく言うと長くなるが、それは確かなことだ。ただそもそもを言うなら、何故組織が他の発展国ではなく日本での活動が主なのかを考えれば割と筋は通っているんだよ」
「筋は通っているって、どういうこと？」
「俺は探偵じゃないし事実を知ったからこその後付けのような形で言う形になるが、やけにこの日本・・・それも米花町の近隣で君達が組織のコードネーム持ちの者達との接点が出来やすいことに、そのコードネーム持ちの中に日本人が多いことさ。別に日本人が優秀ではないとかそう言うことじゃないが、組織の上にいるのは日本人の割合が多い。勿論組織の手は外国にもあるが、多国籍企業にしては日本以外の国籍の人物がコードネーム持ちである事は少ない。それにジンという人物に関しての組織の中での位置付けを考えれば、然程重要でもない土地に滞在を何度もさせるようなことはしないだろう。現にこの米花町近隣で彼やウォッカの姿を何度も偶然とはいえ君達が確認した事に、彼の性格的に別に意味もない所に滞在などという余計な行動を好まないと言うのは君の方がよく理解している筈だ」
「それは、確かにそうだけれど・・・ってそれって貴方の話の通りなら、もしかして組織のトップは米花町とは言わなくても結構近い位置に存在しているの・・・！？」
「そこから先は君が妙な警戒から行動を起こさないためにもどこに長がいるのかは言わないでおくが、組織が大きくなるにはそれだけの人の手もそうだが時間に生活や居場所などの基盤が必要なのは分かるだろう。そして時間は誰にでも必要なものだからともかくとしても、自分の生まれ育った国を捨てて外国にて裸一貫の身で立身出世を図ることがどれだけ難しいかもね」
「・・・そうね・・・組織がいつ頃から設立されていたかなんて詳しい時間は知らないけれど、そういった話を聞けば組織のトップが日本人であることに日本が活動場所のメインになってることも頷けるわ・・・組織を作ったのは得体の知れない怪物なんかではなく、結局は人間であったことを考えるとね」
蔵馬はそんなリアクションにそれほど珍しい事ではないとそう思った理由と根拠を語り、灰原もその中身を受けて驚いた後に確かにといったように頷いた・・・別にいい思い出があるわけではないが、蔵馬の話から組織も色々とある上で今の形があるのだということを感じた為に。









.