イレギュラーによる解決と変遷
・・・蔵馬は新一を灰原と共に引き込まないと元々決めてはいたが、そうすると強く決めた最大のきっかけは学園祭の件から薬が出来たなら確実に我慢することなく薬を飲み、きっかけがあれば躊躇などすることなく人前に姿を現すだろうという確信を得たからだ。
確かに子どもの姿から元に戻れるというなら戻りたいという気持ちは蔵馬も分からなくはない。今は妖狐としての力を取り戻しかつての姿に戻れるようになったが、力を失ったきっかけからしばらくするまでは元の力に姿を手にしたいという気持ちが強かった。故に気持ちは分かるつもりではあるが、だからと言って冷静さを欠いて感情のままに行動していいとは思ってはいない。
と言うよりは頭がいい割には理屈で動こうとしないで、感情の赴くままに動きすぎている比率が大きいのだ。その結果は運回りが良すぎた事が幸いして大事に到らなかったが、そんな結果が良ければ推理の時とはうって変わって頭を全くと言っていいほど働かせないで大丈夫と楽観的に物事を見るような新一を、元々は冷徹で二手も三手も読んで先の先まで見据えて頭を働かせて策を用いる蔵馬が信用出来るはずがなかった。頭がいいのに自分勝手で言うことを聞こうとしないまま感情を優先して動く新一のことを。
そしてそんな新一が薬を手にしたならと想像した場合のシチュエーションが、そのままの勢いで薬を飲んで自分はここにいると普通に復活したようにしながらの行動・・・というのが蔵馬の予想であり、灰原としても最も避けたい展開だった。
・・・何せ新一はジン達に薬を飲まされ、死んだと見られている身だ。そんな新一が何事もなく復活したと見られれば、ジン達も何事かと探りに来るのは避けられないだろう。当人であるジンは殺した奴の名前と顔は忘れるようにしているなどと言っているが、そんな性分とは程遠いウォッカがいる上に流石に工藤新一の復活・・・などと聞けばジンもそうだが、他の組織の人間も出張ってくる事態は避けられないだろう。
その上で新一は人の前に立つことを嫌わないどころか、マスコミ相手にドヤ顔まで決めて堂々としていられる程の強い心臓を持っている。と言うか本質的には目立ちたがり屋であるし、探偵として何ら恥じ入る所などないと自信を揺るがせる事などないから、高校生探偵などというように取り沙汰されることに全く気後れしていないのだ。
しかしそんな人やマスコミの前に立つことに躊躇いを持たない新一がもし組織が潰れていない状況で元の姿に戻った上で、学園祭のように閉鎖的な環境ではなく大多数の人々がいる拓けた環境で事件が起こったなら・・・ストッパーがいても無理矢理気絶させるくらいしなければ新一は止まらず事件の解決に向かうだろうが、そこで人々の目に新一の存在を認識されればそれでもうおしまいだ。いくら箝口令を敷いた所で人の口を塞ぐのは新一に関係無い者達からすれば是が非でも口を閉じなければならない理由などないし、マスコミの人間がいたならそれこそ報道の自由だと新一の名前に顔写真を撮って新聞や雑誌の記事なりにして強行的に行動するだろう。
そしてそうなれば瞬く間にジン達を始めとして組織は動くだろうが、その行動を新一が止められるかと言えば極めて無理に近い確率だと蔵馬に灰原は見ていた。何せ組織の連中は殺しを厭わないどころか、常套手段として使うような輩ばかりが揃っているのだ・・・最悪なシチュエーションとしては新一が自分の元に直接来るなら来いと意気込んでいるところを、捕まえるなどと回りくどいことをせずに今度は確実に殺すと遠距離からライフルなどで有無を言わさず頭を撃ち抜かれて呆気ない終わりを告げる・・・といった事になる可能性は有り得ない訳ではない。
ただそれでも新一の思うように近付いてきた組織の人間を捕らえられるような状況になってトントン拍子に事が進んでいき、犠牲も出ずに組織を壊滅させることが出来たなどということも絶対に無いわけではないだろうが・・・それは新一の運がいいを通り越して、最早都合がいい展開にならなければ到底有り得ない事だ。そして今までそれが続いてきたからといって今後も続くとは蔵馬は思えなかった為、新一と距離を取ると決めたのだ。
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確かに子どもの姿から元に戻れるというなら戻りたいという気持ちは蔵馬も分からなくはない。今は妖狐としての力を取り戻しかつての姿に戻れるようになったが、力を失ったきっかけからしばらくするまでは元の力に姿を手にしたいという気持ちが強かった。故に気持ちは分かるつもりではあるが、だからと言って冷静さを欠いて感情のままに行動していいとは思ってはいない。
と言うよりは頭がいい割には理屈で動こうとしないで、感情の赴くままに動きすぎている比率が大きいのだ。その結果は運回りが良すぎた事が幸いして大事に到らなかったが、そんな結果が良ければ推理の時とはうって変わって頭を全くと言っていいほど働かせないで大丈夫と楽観的に物事を見るような新一を、元々は冷徹で二手も三手も読んで先の先まで見据えて頭を働かせて策を用いる蔵馬が信用出来るはずがなかった。頭がいいのに自分勝手で言うことを聞こうとしないまま感情を優先して動く新一のことを。
そしてそんな新一が薬を手にしたならと想像した場合のシチュエーションが、そのままの勢いで薬を飲んで自分はここにいると普通に復活したようにしながらの行動・・・というのが蔵馬の予想であり、灰原としても最も避けたい展開だった。
・・・何せ新一はジン達に薬を飲まされ、死んだと見られている身だ。そんな新一が何事もなく復活したと見られれば、ジン達も何事かと探りに来るのは避けられないだろう。当人であるジンは殺した奴の名前と顔は忘れるようにしているなどと言っているが、そんな性分とは程遠いウォッカがいる上に流石に工藤新一の復活・・・などと聞けばジンもそうだが、他の組織の人間も出張ってくる事態は避けられないだろう。
その上で新一は人の前に立つことを嫌わないどころか、マスコミ相手にドヤ顔まで決めて堂々としていられる程の強い心臓を持っている。と言うか本質的には目立ちたがり屋であるし、探偵として何ら恥じ入る所などないと自信を揺るがせる事などないから、高校生探偵などというように取り沙汰されることに全く気後れしていないのだ。
しかしそんな人やマスコミの前に立つことに躊躇いを持たない新一がもし組織が潰れていない状況で元の姿に戻った上で、学園祭のように閉鎖的な環境ではなく大多数の人々がいる拓けた環境で事件が起こったなら・・・ストッパーがいても無理矢理気絶させるくらいしなければ新一は止まらず事件の解決に向かうだろうが、そこで人々の目に新一の存在を認識されればそれでもうおしまいだ。いくら箝口令を敷いた所で人の口を塞ぐのは新一に関係無い者達からすれば是が非でも口を閉じなければならない理由などないし、マスコミの人間がいたならそれこそ報道の自由だと新一の名前に顔写真を撮って新聞や雑誌の記事なりにして強行的に行動するだろう。
そしてそうなれば瞬く間にジン達を始めとして組織は動くだろうが、その行動を新一が止められるかと言えば極めて無理に近い確率だと蔵馬に灰原は見ていた。何せ組織の連中は殺しを厭わないどころか、常套手段として使うような輩ばかりが揃っているのだ・・・最悪なシチュエーションとしては新一が自分の元に直接来るなら来いと意気込んでいるところを、捕まえるなどと回りくどいことをせずに今度は確実に殺すと遠距離からライフルなどで有無を言わさず頭を撃ち抜かれて呆気ない終わりを告げる・・・といった事になる可能性は有り得ない訳ではない。
ただそれでも新一の思うように近付いてきた組織の人間を捕らえられるような状況になってトントン拍子に事が進んでいき、犠牲も出ずに組織を壊滅させることが出来たなどということも絶対に無いわけではないだろうが・・・それは新一の運がいいを通り越して、最早都合がいい展開にならなければ到底有り得ない事だ。そして今までそれが続いてきたからといって今後も続くとは蔵馬は思えなかった為、新一と距離を取ると決めたのだ。
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