イレギュラーによる解決と変遷

・・・蔵馬自身、負けず嫌いであったり逆境に燃えるというような人物達が身近にいるためにそういった性格の者達を批難するつもりは一切ない。しかし新一の行動に精神状態は様々な視点から見た上で言ってしまうなら、コエンマの言うように様々な気持ちに考えが入り乱れてしまっている上で負けず嫌いや逆境に燃えるという性質が発揮されている。それも当人が聞いたら確実にそんなことはないと、都合の悪いというか耳障りの良くない言葉を否定するようにだ。

そんな性質を新一の姿から確かに感じた蔵馬はまず、早々に新一と協力して組織を潰すという行動を取ることを選択肢から排除した。何故ならそれこそコエンマが言ったように新一は自分のやりたいようにやった上で、自分自身の手で事態を解決することを望んでいて正体を明かしても明かさなくても都合のいいようにしか自分の手を借りようとしないと蔵馬は考えたからだ。コエンマには時間制限の事を聞いたが、蔵馬は慎重に時間をかけるのはともかく悠長に時間を使う気は無かったために。

ただそうすると決めたのはいいが、新一の近くには灰原がいる・・・コエンマよりの依頼で最重要人物扱いになっていて、最低一度は記憶を改竄する為に接触しなくてはならない存在が。

故に蔵馬は新一との接触はさておきとして灰原の事を観察することにしたのだが、こちらに関しては資料を見た時からすんなりと灰原を蔵馬は受け入れるというか断然に協力しがいがあると考えていた。母親の件からフェミニストになっていったこともそうだが、基本的に灰原は組織にいたくていた訳ではなくて頼れる存在が新一と阿笠の他にいないことから一緒にいる部分が大きいのだと。そしてそう考えたからこそ蔵馬は行動を開始した・・・


















「・・・けれど本当にいいの?私が出来ることなんてそうはないけれど、何もお礼が無くていいなんて」
「構わないさ。前にも話をしたが俺は別の人物からかなりの解決料をもらうから君からお礼をもらうようなつもりはないし、何なら君の薬に関することとはいえ記憶を奪うような事を俺はする。精々やってほしいことを頼むとするなら、俺の事を決して他の誰にも言わないように秘密にするくらいで十分さ」
「っ・・・ずるいわ、そういう笑顔でそんなことを言うの・・・」
・・・それで少しして休憩がてらにパソコンから離れてテーブル越しにソファーに座り会話をする二人だが、蔵馬の穏やかでいて見惚れるような微笑に灰原はたまらず顔を赤くしながら少し視線を背ける。



















・・・まず差し当たり、灰原に接触しようと決めた蔵馬が取った行動は一直線に灰原当人に声をかけるのではなく徐々に関係性を築くと言うものだった。灰原は今までの経緯から警戒心が強くなっていて、とても初対面の人間を無条件に信じるような考え方をしていないことを考慮してだ。

そしてその為に蔵馬はまず新一が現在暮らしている毛利小五郎の住みかであるビルの一階にある喫茶店のポアロという店の常連になることにした。新一と顔を合わせるという可能性は増えるが、小学生として共に学校に通っている灰原と帰る道は途中まで一緒になっている事から交流出来るきっかけにしようと。

そうしてポアロに通い始めた蔵馬は新一を始めとした目的の人物以外とも交流することになったが(代表的なのはイケメン大好きな園子。ポアロによく来るようにしたと聞いて、蘭をダシによく来るようになった)、少し時間をかけて灰原と接触することに蔵馬は成功した。









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