イレギュラーは起こりうる物

「簡単に経緯を説明するなら工藤新一はとある事件を解決した時にジンとウォッカというコードネーム持ちがいて、事件解決後に怪しい取引を行う現場を見ていた工藤新一は不意打ちを受け、件の薬を新種の毒性の全く出ない薬として殺されるために飲まされ・・・体が小さくなってしまったとのことだ」
「・・・それはなんというか、不幸なのか不幸中の幸いと言うべきなのか・・・」
「どちらかなのはわしも判断がつかんが、薬の実験結果と工藤新一が行方不明ということからシェリーは工藤新一が小さくなって生きていることを疑い、小さくなった後に工藤家に向かった。そこで隣の家に住んでいて工藤新一の事情を聞かされていた阿笠という人物の元に今は身を寄せている。工藤新一共々名前を変えて、阿笠の家にいて小学校に通う形で今生活しながらな。ただそこで更に厄介なのが工藤新一が独力でその組織を調べて追い、捕まえようとしていることだ」
「・・・自分をそんな目に合わせた組織を捕まえ、元の体に戻る為になのだろうが・・・そのシェリーが薬を元に戻す薬を開発することは難しいのか?」
「元の薬の正確なデータがなければまず無理らしいが、そのデータを取るには組織のコンピューターでなければウィルスが作動してデータが全部消えるようにと、データを保管するフロッピーディスクを始めとした保存用の媒体にはことごとく仕掛けが施してあるらしい。そしてそれは工藤新一達も知ってる」
「・・・だからこそよりその組織に近付かねば元の体に戻れる可能性は低い為、より工藤新一は躍起になっているということか」
「そういうことだ・・・」
それで工藤新一にシェリー、それにその他の重要な話にまつわること・・・それらを語られ蔵馬は納得した声を漏らし、コエンマはそっと頭に手を当てる。
「・・・確かに工藤新一がそうなる気持ちは分からんでもない。だがシェリーの作ったその薬は霊界側からして存在を許してはならん物になる・・・だから解決を蔵馬、お前に任せたいのだ。工藤新一は自分の手で捕まえたいという気持ちを持ってはいるが、それが成功する保証はない上に最悪な可能性としては壊滅に成功して元の体に戻ったとしても、自分はこうなってこうなったから組織を壊滅に追い込んだなんてマスコミに言い出しかねん危険性がある。自分が何故姿を消していたのかに、どうしてその組織と関わっていたのかと不在の期間についての説明をする形でだ」
「もしそうなればその薬の事が露見して薬を求める者達が溢れかえるばかりか、その薬で実際に若返る者が出てきたなら生死の在り方がおかしなことになるから・・・ですか」
「あぁ・・・若返った肉体に影響なく本来の肉体の年齢に従って死ぬならまだいいだろうが、そうでないなら同じことを繰り返せば死なない人間が出てしまうことになる。そんなことは許される物ではないし、またそれ以上の薬か何かが作られることも全く有り得ない訳ではない・・・だから頼む、蔵馬。その組織の壊滅及びその薬を始めとした表に出てはならないと判断された物のデータを抹消してほしい・・・!」
そうしていかにコエンマは組織や工藤新一達の事についてを危惧した上で蔵馬に頼みたいのかを口にし、そっと頭を下げる。前からの関係もあるが、事態の解決を真剣に願うからこそ蔵馬という頼れる存在に本当に行動してほしいと願い。









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