イレギュラーは起こりうる物

「まず最初にある死者・・・本名はちゃんとあるが、その組織は酒の種類である程度の地位にいる組織の人物にコードネームをつけておる。だからその組織のコードネームに倣ってピスコと呼ばせてもらうが、ピスコがわしの元に来た時にその薬の事が発覚したのだ。コードネームにして言えばシェリーという人物が、その薬を作ったとな」
「・・・コードネームという辺りに裏社会に属する組織らしくは感じますが、そのピスコとやらは何故死んだのですか?裏社会の人間が簡単に死ぬとは思えませんが」
「死因はピスコの独断専行を重く見たトップから差し向けられた刺客である、ジンというコードネームを持つ者に殺された事だ。と言ってもピスコの独断専行での行動だということからその薬が正確にはどういう効果なのかは組織の中では伝わってはおらんが、その正確な意味を組織が知れば厄介な事になるのは目に見えておる・・・」
「だからそれが知られることもそうですが、薬が裏社会にでも広まるようなことを避けたいということなのだろうが・・・そのシェリーという人物は何故薬の効果を正確に調べようとしていないのですか?何らかの薬を作ろうとしているなら、その薬の効果なりなんなりを誉められた手段であるかどうかなど関係なく、裏社会の人間なら試すと思うのですが・・・」
そのままその死者からどのような情報を得たかと作成者についてを話すコエンマだが、話の中で出てきた薬の事を正確に知らない理由を蔵馬は聞く。
「・・・そこが厄介な所だが、そのシェリーという人物は組織を抜け出したのだ。自殺しようとその薬をやけになって口に含んだはいいものの、そうはならずに小さい体になったことからな」
「・・・薬の作成者が自殺しようとした?」
「後で調べて分かったことだが、そのシェリーという人物は姉が死んだことに強いショックを覚えたこともそうだが、元々組織に忠誠を誓って所属をしてはいなかった。他にも理由はあるがそういったことからシェリーを捕らえていたそうだが、薬を飲んで小さくなって人知れず逃げ出したことから薬の効果については詳しく知る者も少ないままにデータを放置されていたらしいが・・・その効能に目をつけた上でシェリーが小さくなった姿だと確信して独断で動いたのがピスコで、ジンはその効能についてをピスコから聞くことなく素早く始末したことから、薬の効果はまた組織の中では放っておかれる事態となったのだ」
「それはまた何とも・・・偶然に偶然が重なりすぎて、最早奇跡としか言いようがないレベルの都合の良さに思えますね。まるでその薬の存在がちゃんとした形で組織に知られることのないようにお膳立てされているかのように」
「わしも正直それは感じておる・・・だがこれは事実なのだ」
コエンマはそのシェリーという存在もそうだがピスコがいかにして殺されたのかということを話し、蔵馬がその話の中身にツッコミを入れると頭をかきながら同意する・・・一つ事態がズレて変わったなら、組織内でその薬の意味は変わりどのようになっていたか分からなかったと。
「・・・ピスコについてはもうともかくとして、そのシェリーという人物は生存しているのですか?貴方の話ではそのシェリーという人物の記憶を消すことも俺への頼みに入っていそうだから、生きているとは思いますが・・・」
「うむ、それは間違っておらん。実際にシェリーは生きているが、そのシェリーの近くにある存在がいることがまた厄介な事になっておる・・・工藤新一という人物は知っているか?」
「えぇ、知っていますよ。高校生探偵として有名で、最近は事件があっても姿を見せなくなったとは聞いてますが・・・まさかこの話の流れからして、その工藤新一もクスリを飲んだとでも言うのですか?」
「・・・話が早いな。その通りだ」
蔵馬はそこからシェリーの事をどうするのかと聞く中で肯定した後にコエンマが工藤新一と名を出したことに、まさかシェリーに関係してるのかと察すると重い肯定が返ってきた。









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