自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

「まぁそういうことなら後はしばらく待つだけだね~。目暮班はもう処分を下したし、江戸川コナンの動きは封じた・・・後はこれで江戸川コナンの周りが動いてくれれば本当の目的がどうあれ、一網打尽にするんだけどね~」
「起こした事が事だ。例え良からぬ目的ではなかったとしても裁きは受けてもらわねばならぬし、良からぬ事であれば尚更だからな」
そして話をまとめるように二人は待つだけだと口にする。慎重策からあまり積極的には動きはしないが、自分達の元に来るなら容赦するつもりはないと。






「・・・くそっ、これからどうすればいいんだ・・・」
「まさかそんなことになるなんてのぅ・・・」
(・・・まさかと博士は言っているし工藤君は事件に関われないのはキツいというように言っているけれど、本来これが正しいことなのよね・・・でも言っても理解出来ないでしょうね。事件に関わるのに慣れすぎた二人は)
・・・所変わり、阿笠博士の家。
そこで真剣に事態を危惧したように話をする新一と阿笠博士の姿に、横でそのやり取りを見ていた灰原は内心呆れたような言葉を漏らしていた・・・今までの自分達の平常が平常だと思っていた二人だが、それが目的があるとは言え異常だと言われて感情では納得しきれていない様子に。
(・・・もう潮時ね。工藤君は諦めるつもりは一切無いようだけれど、これだけ活動が制限されるなら今までのように行動出来るとは思えないし、竹中警視とは関係無い所で活動出来たとしても警察のネットワークから情報が伝われば江戸川コナンとしての活動もしにくくなる・・・でも工藤君はそれで我慢出来ると思えないし、そこから限界になってやけになりかねない・・・ならもう博士に後で秘密で頼んで工藤君の親を呼んで、私も含めてここを離れるべきね・・・歩美ちゃん達の為にも・・・)
その上で灰原はここから離れるべきだと考え、辛い気持ちを抱えながらも動こうと思っていた。もう今まで通りに行かなくなることもそうだが何より、話の中で出てきた自分達二人以外の少年探偵団の為に自分達が関わるのは良くないと考えて・・・


















・・・そして少しして、江戸川コナンが事件に関わることが無くなってきた(と言うより事件そのものが米花町近辺で少なくなってきた)事を疑問に思った半兵衛が調べてみると、既に江戸川コナンは親に連れられ毛利家から離れた後だとの事だった。

この事から江戸川コナンでの活動はもう無理だと判断した親は江戸川コナンの回収に来たのだと半兵衛は推察した。そして少なくともこれ以上目をつけられるのを避けるためにも、毛利家にもう関わることは無いだろうと。

しかしだからと言って半兵衛はどこか別の場所に移っても、何か江戸川コナンが行動を起こせば自分が行動を起こすつもりでいた。江戸川コナンの気性を考えれば場所を変えてもやりたいことはやるとなるのは目に見えている上で、親共々捕まえるつもりで。

・・・そしてそんな風に思われている江戸川コナンこと工藤新一はやり場のない怒りを感じていた。自分を売った灰原にもそうだし連れて帰るといきなり現れた両親に、何より自分が活動出来ない原因を作った半兵衛への怒りを。だが感情では理解はしたくないとは思いつつも、理屈ではそうせねばならないと理解は出来る・・・それが故に新一の怒りにはやり場がなく、諦めるしかないと思うからこそ・・・









END









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