自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

と言うよりそもそもは江戸川コナンについてを調べることが目的ではなく、小五郎達にも言ったような目暮班の度重なる警察としてはあまりにもずさんなやり方に心構えを糺すために半兵衛は動いていたのだ。その途中から江戸川コナンに関連することがあまりにも大きくなっていったが、その問題に対して目暮班の処分をぶつけることで江戸川コナンの活動に制限を設ける策を半兵衛は思い付いた。

確かに江戸川コナンの推理力は大人の視点から見ても大した物だと半兵衛は見てきたが、周りの大人だったりを介したり利用しなければ十全にその能力を発揮する以前に耳を貸してももらえない。ならばそういったように活動を出来ないようにするためには、目暮班の問題行動を告げて当人達に注意すると同時にその保護者達も含めて事件自体に関われないようにすれば、確実とは言わなくとも格段に動きの制御が出来ると半兵衛は目論んだ。

ただ何故それで完全に出来ないことを良しとするのかと言えば、言葉にしたよう江戸川コナンが簡単に諦めるようなタチではないと見たからだ。偽りない正義感からか何か別の目的があるかはともかくにしても、事件に首を突っ込んでくるのを止める気はないだろうと。

ただそれでもこれからの事を考えれば十分に役に立つだろうとは半兵衛は考えている。いくら知り合いで事件の解決に何役も買っているとは言え、外部の人間に頼ることに躊躇のない目暮班は何故か事件が日常レベルに発生する米花町近辺から外してちゃんと半兵衛が教育をしてある刑事達を配属するし、何より問題行動を起こしたなら存在しない親に接触すると何も知らない体で言っていることから江戸川コナンは迂闊な行動は出来ないだろう。

そしてそんな江戸川コナンがそれでも事件の解決者として動きたいと思うなら、何らかの外からの働きかけが無ければまず無理だがそんなことが出来そうなのは精々分かっている限りでは工藤夫妻くらいだ。

・・・と言っても実の所、半兵衛は工藤夫妻が警察に何かを言いに来る確率は極めて低いと見ている。何故かと言えば理由は至極単純に正論だけで構築した半兵衛の理論相手に、子どもを現場にいさせるばかりかあまつさえ普通に活動させるのを認めさせてそこに置けなどという、普通に見て有り得ない暴論をぶつけても勝ち目などないと工藤夫妻は見ると考えたからだ。

だがそれでも尚工藤夫妻が何かを言ってくるなら対峙する事は半兵衛からして望むべき事であるし、そこで存在しない江戸川コナンの親が現れるなら尚のこと望むところ・・・その時は遠慮なく捕まえてやると半兵衛は決めている。江戸川コナン共々、何故そんな事をしたのかと暴くためにもと・・・






「あ・・・そういえばちなみにって言い方しちゃいけないとは思うけど目暮班ってちゃんと話は聞いたの?その辺りのやり取りは官兵衛さんに任せてたから知らないんだけど」
「最初はどういうことかと戸惑い、中盤頃には今更ではないかという言葉が出たが、最終的にはうなだれてもらいながら納得してもらった」
「うなだれてもらいながらって、相当ベコベコに凹ませたんだね官兵衛さん」
「それこそ今更ではないかというように反論してきた上で、あまりにも警察官としてひよった姿を見せられた為だ。その姿に対して様々と言わせてもらった上での結果でしかない」
「ふふっ、官兵衛さんらしいね」
そんな会話からふと思い出したと言ったように目暮班の事についてを聞く半兵衛に対し、平然と相当な事を言ってきただろうと予測が出来るように返す官兵衛に対して軽く笑う。えげつない事を言っただろう事以上に、確かな倫理を持って話をして目暮班を圧倒しただろう官兵衛らしさが感じられた為に。









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