自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

この事に関しては二人はどうするべきかを真剣に話し合った。話した場合と話さない場合のメリットとデメリットを見合わせた結論を出すために・・・そうして出した結論が、リスクの方が大きいから黙ると言うものであった。

勿論二人も多少のリスクがあるくらいならそれらをどうにか排除するなりするだけの知恵に力はあるが、この問題は他者が余計な事をする可能性がある。二人がフォローをしたり独断で行動しないようにと気を張ろうとしても、事が事なだけに自分がどうにかしようと思う形でだ。

なら何故そうなるのかと言えば、基本的にこの問題に関してを報告するのは警察の上層部になるがその上層部が例え将来的にトップの立ち位置に立てる可能性があるとは言え、今はまだ警視に監察官というトップには程遠い身だ。そんな二人の言葉を素直に受け止め、自分達に全ての指揮を託すと言った展開になることはまずないと見ていた。

そしてそんな上層部がどういった行動を取るかという予測がつきにくいが、考えうるリスクの中で最も危険な事態は江戸川コナンに関する人物達が裏社会に属する人間だった場合で、そんなことを考えずに戸籍やら行動やらをぶちまけるようなことをした時だ。

・・・こういった時に起き得る事は今も昔も変わらない。それは不都合な事をされた側は噂もそうだが、そんな事をしでかした当人達の抹消という報復行動だ。そしてそういった行動は決まって闇の中で行われ、血の臭いの避けられぬ結果を生むことになる。

もしそんなことが起きれば事は警察の中だけで収まるような事ではなく、日本を揺るがす事態になる。もし江戸川コナンに関連する人物達に裏がなかったと仮定しても、戸籍がない子どもが大人を眠らせて数々の事件を解決してきたなどといったニュースはそれこそ日本を揺るがす物となるだろうが・・・そんな混乱が起きることなど二人は望んでいない。

・・・そういったリスクがあることに加えて、証拠が完全に揃いきれていない事から江戸川コナン達の事は二人の中で納めておこうとなったのだ。だがそれはあくまで証拠が揃いきれていないからというだけの事からである・・・






「・・・ま、一応は江戸川コナンには釘を刺したんだ。それに目暮班や工藤新一に関しても配置替えをしたり、以降戻ってきたとしても活動出来ないようにと制限をかけた・・・これで工藤夫妻がこっちに来てくれればいいんだけどね~。不満やら何やら本音を隠してかどうかはともかく言いに来るために」
「そうすれば卿が全てを暴くために動く、か・・・相変わらず見た目にそぐわず豪胆な物よ」
ただそうして重かった空気を一転させて気楽そうに笑顔を浮かべる半兵衛に、官兵衛もまた微笑を浮かべる。工藤夫妻に対する対策は取ってはいるために。






・・・二人は色々考えはしたものの、江戸川コナンの行動で何らかの被害があったという事はない。精々が小五郎や麻酔銃を撃ち込まれた人物の体調が不安になるといったくらいで、現時点ではそこまで何か起こすような事はないと見ていた。

しかしそれでもここまで調べたからには、江戸川コナン達に不穏な行動がないからと放っておくわけにはいかないとも二人は考えた。故にここで半兵衛は最早江戸川コナン達に比べれば副題程度にもなっていなかった目暮班の事を利用することにしたのである・・・その処遇を持って、江戸川コナンへの牽制と共に工藤夫妻を誘い出せるなら誘い出そうと。









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