自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

・・・しかし二人も伊達に歴史に名を刻むような軍師をしていたわけではない。一応は江戸川コナンに関するキーパーソンが誰かは分かってはいた。そしてそれは誰かと言えば・・・






「せめて工藤夫妻に話を聞ければまた話は変わったんだけれどね~・・・明らかに江戸川コナンについてを知っていて誤魔化してるっていうのは分かるんだけどさ~・・・」
「精々が今までの働きは裏の社会に属するような物であったり目的を持っていないであろうことくらいしか分からぬが、だからと言って今現在工藤一家が完全に白と決まった訳ではないからな・・・」
それで半兵衛が工藤夫妻についてを口にすると、官兵衛もまた同意するように答える。






・・・そう、工藤新一の親である工藤夫妻である。半兵衛が話に聞けばやたらと遠いと強調されたように言われたが、それでも江戸川家は工藤家の遠い親戚であり顔見知りであるとのことだと蘭はたまたま日本に帰ってきていた有希子から聞いたという。

しかし戸籍がない江戸川家と親戚である事はおかしいし、何なら念のためにと工藤家もそうだが有希子の嫁入り前である藤峰家の家系も徹底的に洗ってはみたが、結局江戸川家の存在は遠くまで確認しても家系図の中には存在してはいなかった。一応は蘭の言葉をちゃんと参考にしてその通りの人物はいるかと調べる形まで取ってだ。

そしてそれはつまり、江戸川コナンに関して工藤夫妻二人共かは確定はしていないにしても妻である有希子の関連は確定している・・・そう半兵衛達は確信した。

だがそう確信出来たのはいいものの、そこで問題があった・・・それは工藤夫妻に関して、どういった行動を起こすかと言うものだった。

今までの活動を見る限りでは優作に関しては決して悪人といった活動は取っていないどころか、むしろ新一よりは思慮深い面があることは二人も感じてはいる。だがその江戸川コナンが取っている行動を黙認している事もそうだが、何か良からぬ目的を持っていたならどうなるかと考えると二人も慎重にならざるを得なかった。毛利小五郎という昔から知っている知人を子どもが操って推理を行い解決することを黙認するなど、並大抵な理由がなければ出来ることではないと考えた為にだ。

ただだからと言って、決して悪どいことを考えて行動をしていると二人は決めつけている訳ではない。今までの活動から何かやむにやまれず行動しているだけであると言った可能性もあると考えてはいるが・・・様々な食わせものだったり切れ者だったりを散々見て接してきた彼らからすれば、そんな無条件で人を信じるほどにお人好しな行動を取れる筈もなかった。人には裏がある事など、よくあることだと二人も知っていた為に。

ただそれなら工藤夫妻に関して探ることは出来ないかと二人は考えたが、夫婦共に海外暮らしをしていてたまに帰ってきてもすぐに海外に戻るという暮らしをしているという話から、直接会うということはまず望めないとなった上で電話などで話をするのは向こうが悪意を持っていて自分達の目的を悟られた場合が面倒になる・・・そういった危険性を考え、工藤夫妻への接触は諦めることにした。

だがそこで何も出来ないからはい終了と言うわけではないのが二人である・・・そうして工藤夫妻に対して接触が出来ないなら考え方を変えようと、別の方向から物事を考えることにした。そしてその別の方向とはどういった物であるかと言うと、このまま工藤夫妻についてもだが江戸川コナンについてを誰かに言うのか・・・と言うものである。









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