自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

・・・半兵衛は前世においては名軍師として名を馳せ、今孔明という異名で呼ばれていた程の人物だ。そんな半兵衛の知謀は生まれ変わった現世においても変わっていないどころか、価値観も違う時代に十二分に適応出来るだけの適応力により更に進化している。

そんな半兵衛は警察に長い間勤めている事から、盗聴器に小型の隠しカメラの効果的な設置の仕方も学んでいた。勿論これは警察の仕事の一環であるとは言え犯罪紛いな手段であると承知はしているが、江戸川コナンの行動を確実に確認する為には監視しているとバレないようにするのと多角的な角度から現場を見なければならないと考えてだ。ただ流石に官兵衛にはこうすると報告はしておいたが、この事に関してはあっさりと許可が降りた。誉められた手段でないのは確かだが、話に聞く限りでは江戸川コナンの虚を突くにはそういった手段は必要だろうということで。

そうして官兵衛の許可をもらった半兵衛は事件が起きて現場に入る度、レコーダーに繋げた盗聴器と小型の隠しカメラを誰にも分からない所にいくつか設置してきた。勿論無駄うちにならないように推理を行うだろう場所に重点的に置く形でだ。

そうしていくつかの事件についてを観察しつつ、事件が終われば盗聴器や隠しカメラを回収して後で成果を確認したのだが・・・そこで出てきたのがコナンが小五郎を眠らせ、蝶ネクタイ越しに喋って推理をしているという光景である。

その光景を見てすぐに半兵衛は官兵衛を呼び出した。江戸川コナンが何かをしていることはある程度は把握はしていたが、まさか小五郎を眠らせて操り人形のようにする形で事件を解決していたなどとまでは思っていなかった為にだ。そして半兵衛の元に来てその証拠を見た官兵衛もらしくなく、言葉を失った。見た目は完全に小学生の子どもがそんな事をさも当たり前のように行っていたことに絶句する形でだ。

・・・この自分達が生きていた戦国時代でもあり得ない事を前に言葉を失った二人だが、先にこの事実を前にして冷静でいた半兵衛は官兵衛に江戸川コナンについてをどうするべきかを話し合うべきだと切り出した。この情報を知った自分達が江戸川コナンに対してどうするべきかを。そして二人が最終的に出した結論は・・・






「正直こんな大事だって思わなかったよ・・・流石にこんなこと誰彼にと言える訳ないじゃん・・・」
「むしろ言えば混乱が起きる未来しか見えぬ・・・そうとあれば触らぬ神に祟りなしと選択する以外に無かったのがな・・・」
その上で更に二人は疲れたよう、人に言えるはずがないと漏らす。






・・・そう。話し合いの結果として出てきたのが、江戸川コナンに関しては人に言わずに二人の内で済ませるばかりか下手に触れないようにするというものだった。そしてそれは何故かと言えば、江戸川コナンの正体や行動を自分達以外の多数に知られた時のシミュレーションをするとリスクがあまりにも大きいと考えたからだ。

最初話し合った時は今まで集めた情報を更に煮詰める為に江戸川コナンについてを調べて集めていき、どういった存在なのかを解明した上でどうするか決めようと二人の間で話は決まった。戸籍のない子どもなどという存在であり、毛利小五郎という人物を名探偵に仕立て上げて影で動くこの江戸川コナンという存在がいかな人物なのか・・・その実態に正体は何なのか、ちゃんと調べた上で決めようと。

そうして半兵衛は引き続き主に事件現場で江戸川コナンについてを毛利家であったり知人達に聞いて回ったりし、官兵衛は半兵衛の指示の元で現場だけでは足りない情報を外から集めるような形で江戸川コナンについての情報を集めた。

・・・そういった形で情報を集めていった二人だが、情報が集まっていくにつれて共に二人は江戸川コナンという人物の異質さを知っていった。そして周りがその事をいかに把握していないかを。









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