自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

まず半兵衛の目に入ったのは事件の現場にいた鑑識や高木刑事だったりに小五郎から聞きに行ってこいと言われたからとやたらと情報を聞いて回る姿だった。勿論というか半兵衛もコナンからこう言ったこと聞いてないだとかを聞かれた訳だが、そこは俺は担当じゃないから知らないよで誤魔化して済ませておいた。いくら事件を解決する立場にないからとはいえ、そこで情報をあっさり子どもに言うほど半兵衛は甘くない。

それにその小五郎をダシに使った行動に関してだが、それは嘘である可能性の方が高いと半兵衛は見ていた。何故なら半兵衛はそういったコナンの言葉を疑い、いくつかの事件の際に小五郎を中心に事件を観察していたのだ。小五郎から指示を受けて話を聞いてくるようにと言われた割に、小五郎と現場で共に仲良くとまでは言わずとも事件解決の為に行動してる素振りなど全く見えてこなかった為に。

そうして小五郎の方を観察してきた半兵衛だが、その予想が正しかったことを確信した。何故なら半兵衛が確認する中で小五郎にコナンが接触などすることがないまま、それでいてコナンがおじさんに聞いてこいって言われたから聞きに来たと鑑識が言っていたことを確認していたからだ。それも勿論携帯などで情報を交換しているような素振りなど全く見ることもないままにだ。

そういった姿を観察してきた半兵衛だが、更に問題の行動を確認していた。それは・・・






「・・・と言うか、どう報告していいか分からなくなるんだよね~・・・戸籍の事もそうだけど、毛利さんや鈴木財閥のご令嬢だったりをあの江戸川コナンが眠らせて事件を解決してるなんてさ~・・・」
「いくらなんでも流石にそのようなことを簡単に上に報告出来るはずもない・・・慎重論というつもりで言ったのではないのだろうが、卿が上に言わずに調べると言ったのは正解だったな・・・」
それで話を続ける二人だが、中身が中身なだけにどうするべきかと頭を悩ませるしかなかった。半兵衛が知った事実はあまりにも意外であり、重い事実でもあったために。






・・・そう、事件の現場で半兵衛が見てしまったからだ。コナンが小五郎に腕時計に仕込ませた麻酔銃を撃ち込み、蝶ネクタイの変声機を使って事件を解決する姿を。

半兵衛は事件現場に入るにあたり、小五郎の呼び名という物も聞いていた。眠りの小五郎といった呼び名で呼ばれていて、事件を解決する際は眠ったような姿勢で推理を行っているとも。

半兵衛としては何故そんな風な事をして推理を行うのかと疑問に思ったが、実際に推理現場に立ち会った上で注意深くコナンを観察していった事によりその謎は解けた。と言うよりは見たのだ・・・コナンが小五郎を眠らせる瞬間を。

最初は唐突にフラフラとしてどこかに座って目を閉じ微動だにしない姿から出てきた声に違和感を覚えた。何故ならうつむいて口元が見えにくいとは言え、全く口が動いているように見えなかったからだ。ただそれなら口を動かさずに喋っているだけではという風にも言えるかもしれないが、会って少しの時間であるが小五郎がそんな眠ったような姿勢から腹話術のように喋る理由がない事もだがそんな性格ではないことは理解していた。調子に乗りやすい部分はあるものの、真面目な場で唐突に腹話術紛いなしゃべり方をするようなキテレツな事をする人物ではないことは。

そんな小五郎を見て違和感を覚えた上で、次に疑問を感じたのがあれだけチョロチョロ動いていたコナンが推理になった瞬間に大人しくなったこともだが、突然小五郎の指示で物陰から姿を現して推理の手伝いを始めた事だ。そしてその手伝いを終えた瞬間にまた物陰に隠れ、事件が終わるまで姿を見せなかった。

この事に半兵衛は即座にコナンが怪しいと当たりをつけたが、まだ目暮班の観察という名目の初回の事件に来たこととこういうことになると思っていなかったことから、ろくに証拠も取れておらず今は怪しいというだけ・・・故に半兵衛は次の事件から証拠集めに取り掛かることにした。江戸川コナンが何をしているのかという証拠集めに。









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