自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

「まぁその工藤君もしばらく姿を見なくなってから長くなったけど、入れ替わりのような形で来たコナン君を始めとして事件現場をあまりにも自由にさせ過ぎたことは流石に見過ごすわけにはいかないってことから、目暮警部達とちょっと話をした上で米花町近辺の担当から離したって訳だよ。そしてそのついでに言うならもし工藤君が帰ってきたとしても、以降に事件に関わらせるようなことにはしないようにって風にも決めてるよ~」
「っ!?」
そして新一がいなくなってコナンが来てからの行動の責任を目暮達に向けた上で、新一が返ってきても事件に関わらせないと緩く言い切る半兵衛に新一は愕然としたような表情を浮かべた。体が戻っても事件と向き合えないということに。
「それって・・・今言ったような事があるからですか・・・?」
「そういうこと。まぁそんなもんだから工藤君に限らず緊急事態でもない限りはあまり事件を解決したいと言っても、積極的に関わるような事はないように約束してほしいんだけど、さっき言ったことも併せて蘭さんもだけど毛利さんも大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です・・・目暮警部達に関しては思うところはありましたが、それでも元警察官としては言いたいことは分からない訳ではありませんので・・・蘭、お前は?」
「・・・はい、そうします。私もそうしてはいけないと思いましたし、新一にも伝えるべきだと思いました・・・」
「そうか・・・なら工藤君への伝言は君に任せるけど、もし工藤君に会って同じような事が起きればそれはこっちで対応させてもらうからね~」
「・・・はい、分かりました・・・」
そんな新一の状態に気付けず真剣に話を進める蘭に半兵衛は二人にもあまり動いてほしくないと言い、二人ともに了承は返ってはくるが新一の事を更に言われて蘭は表情を重くしながら頷いた。
(まずい・・・本当にまずいぞ・・・これからどうすればいいんだ、本当に・・・俺がコナンとして動けなくなることもそうだし、元の体に戻っても俺が探偵としての活動をすることをこの人が許してくれるとはとても思えない・・・どうすれば、どうすればいいんだ・・・!?)
そうして話がまとまった中、新一は今までの流れから自分の活動の制限がこれまでになくかかることを感じた上でどうにか打開策はないかと焦りながら考えていた。自分を構成している自分が探偵であるという自負が、事件に関われなくなるという状況など望んでいない為に・・・






・・・だが新一が焦ってどうにかしようと考えても打開策など出てくるはずもなく、その後すぐに話は終わったから帰っていいと半兵衛から言われた小五郎達に連れられ警視庁を後にすることになった。
「・・・ふぅ~、疲れた~。あんまり慣れないことはするもんじゃないな~」
‘ガチャッ’
「・・・話は終わったな、半兵衛」
「あれ、わざわざこっちに来たの官兵衛さん?」
「時間を空けてきたのもあるが、どのようになったかが気になってな。それに報告だけを待つのもあまり良くないと思っての事だ」
「成程ね~」
そうして体を伸ばすように伸びをしていた半兵衛だが、部屋に入ってきた官兵衛の姿にどうしたのかを聞くとらしい答えが返ってきた事にヘニャリと笑みを浮かべる。官兵衛らしく仕事をおろそかにもせず、かといって偉ぶりもしないその様子に。









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