自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

「どうしてって思ってるかもしれないけど、以前日本にいた時に優作氏は子どもの工藤君のように目暮警部達に頼まれるだったりの形で事件を解決していた事があるのは聞いているかな?」
「あ・・・は、はいそれは・・・」
「どういうきっかけだったり事件で目暮警部達との関係が出来たのかはともかくとして、昔から工藤家と目暮警部達には関わりがあった。いや、優作氏の時はまだ警察も工藤家と関わるような事をそこまで問題視はしていなかっただろう。何でかって言うのはあまり誉められた事じゃないだろうけど、捜査権に逮捕権の問題は理解していたかはともかくとしても優作氏はマスコミに顔を見せて自分が事件を解決したなんて言わなかったからさ」
「そ、それって・・・」
「俺の立場で言っていいことじゃないのは承知であくまでこの場だから言わせてもらうけど、警察から言わせればこの人がこの事件をこう解決しましたなんて報道機関に向けて報告する義務はないからね・・・けれどそうして優作氏の活動を暗黙の了解のような形で認めていたら、新一君が現れて報道機関に当然のような顔を見せて自分が事件を解決したんだって姿を見せるようになった。この事に関しては警察の上層部はどうかって思うようにはなったけど、そこで優作氏の息子だってことから言いにくいみたいな空気にもなったんだよ。だから新一君にそのことを言うか言わないかに関しては保留っていうような形で終わったって訳さ。変な波風を立てるのもあまり好ましくないってね」
「・・・そんな、ことが・・・」
半兵衛は優作の行動の影響に新一が警察にはばかられることなく活動を出来ていた理由はあると話していくと、蘭は呆然といったようになりながらその話を受け止める。
(父さんがいたから俺は何も言われないで済んだって・・・そもそも俺は、そんな風に思われていたのか・・・!?)
その中で誰よりも呆然としたかったが、同時に話の中身を否定したい衝動に強く新一は駆られていた。自分がそんな認識不足の子どものようなものと警察の上の方からは見られていたのかという衝撃に。






・・・この辺りの勘違いを引き起こした一因は新一の知識が足りなかった事ではなく、優作が警察と関わったり事件を解決することが当然だと思うようになっていったことだ。そして自分が事件を解決しても何も言われない事から、自分も関わるのが当然だといったように繋げてしまったことにある。

勿論警察側にも優作や新一を頼っていたという非はあるが、警察全体が優作達を頼ったというよりは目暮警部達が依頼をかけたことにある。警察でもない優作達が事件を解決する能力があるからということでだ。

ただまだ優作はただ事件を解決してそれを自分がやったことだと宣伝しなかったが、新一はそれをマスコミの前に出て自分が事件を解決したことだと事件が起こる度にやってきた。それがマスコミが嗅ぎ付けたからか自分からそう言い出したからかはどうでもいいが、常に自信満々な様子を見せていく形でだ。

そしてそういった姿勢で誰にも諫言だったり助言を送られなかったことから、新一は全くそんな事を考えなかったのだ。自分が警察に頼られ、事件を解決するのは当然であると思ったが為に。









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