自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

「・・・ではコナン君に関してよろしくお願いします、毛利さん」
「はい・・・」
「ちょっと待ってください、竹中警視・・・」
「蘭・・・?」
それでコナンについて終わり、となりかけたと思った所で蘭が神妙な面持ちで制止をかけてきたことに小五郎は眉を寄せる。
「・・・コナン君の事は分かりました。そういった理由があることは。ただ新一についてはさっきの話を聞いて思ったんですが、警察の人達は新一の行動を邪魔だったみたいに思っていたんですか・・・?」
(・・・蘭・・・)
そんな蘭は新一に関する質問を半兵衛に向け、新一はそっと内心で名を呼ぶ・・・蘭の新一に対する想いはあらゆる面で強く、日常的な所ではともかくとして根本的な所では探偵としての新一を誰よりも好きだと思っている蘭からすれば、警察が新一を厄介者扱いのような目で見ているなど許せる物ではない・・・そんな蘭の気持ちに考えの全てを悟ったとは言わずとも、新一は少なからずは感じ取った為に。
「ん~・・・俺個人としては別に事件をちゃんと解決してくれるんなら誰が解決してくれていいとは思ってるし、工藤君に悪い気を持ってはいないんだけれど・・・工藤君も含めた上での探偵ってさ、警察と同じだけかそれ以上の権力だったりを持ってるって自信を持って蘭さんは言える?」
「えっ・・・?」
しかし半兵衛はその気持ちを気にした様子もなく頭をかきながら返すが、その中身に蘭は途端に戸惑いの声を漏らす。どうしてそんな権力だとかの話になるのかというよう。
「・・・警察が捜査権だとか逮捕権だとかを持っているのは、君達や俺達より昔の時代に生まれた人達が決めたことだ。そしてそれは探偵が持っていいと許可なんて出されてないし、誰かが出したことなんてない。例外があるなら行政や司法が許可を出した存在ってことになるんだろうけれど・・・工藤君も含めてそんなものを持っている人を知っているかい、蘭さん?」
「い、いえ・・・そんなもの新一もお父さんも、誰も持っているなんて聞いてません・・・」
「そうだろう?それなのに事件現場にそういった物を持ってないことを気にしないばかりか、自分っていう探偵が事件を解決するのは当然っていうように見える態度ってさ・・・工藤君の人となりを知っていたり彼を頼りにしていた目暮警部達のような人達からはともかくとしても、警察の上層部の人達から見るとおかしいじゃないかってなるんだよ。探偵が我が物顔で事件現場に踏み入って警察と同等かそれ以上の権限を平然と振りかざしてる・・・みたいな感じにさ」
「「「・・・っ!」」」
・・・半兵衛が気楽そうながらも口にした言葉に三人は一斉に息を呑んだ。今まで気にしたこともなかった事が端から見て考えたら、それも警察上の立場からしたらどのようなものなのか・・・どう考えてもいい方には見られてないという話口に。
「まぁここで目暮警部達が事あるごとに工藤君に頼りっぱなしだったり、マスコミの前で事件解決しましたって自信満々に顔を出してたから色々と考えて何も言わないししないってなってたらしいけど、そういったことから邪魔とかってよりは世間知らずな子どもみたいな認識を持ってるくらいに思えばいいよ」
「そんな・・・だったらそう言えば・・・」
「言ったろ?目暮警部達がそう言ったことを頼むことが普通だった事が問題視されてたって。ただそれだけならまだ言ってもよかったみたいに思うかもしれないけど、工藤君の親である優作氏からこの流れが続いていたから言いにくい空気が出来てたらしいんだよね~」
「えっ・・・!?」
(父さんの流れ!?一体どういうことなんだ!?)
それで新一についてどう思われているかを簡潔にまとめた半兵衛に対して蘭は何故直接言わなかったのかと聞くのだが、そこで出てきた優作という新一の親の名に蘭だけでなく新一も内心でどういうことかと驚いていた。何故父が関係するのかと。









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