自分の当たり前が人の当たり前には確実には当たらない

「・・・コナン君は驚いているようだが、君は毛利さんと一緒の現場以外でも俺と顔を合わせていただろう?その時の行動も俺は見てたんだよ。現場を動き回るその姿をね」
「っ・・・!」
半兵衛はそんな新一に笑顔を浮かべながら語りかけるが、その中身に新一はハッとしてしまった・・・新一が事件に出会う時は小五郎達と一緒の時だけではなく、それ以外の時でも事件に出会っていて同時に半兵衛とも顔を合わせていたことを思い出し。
「毛利さんがいない事件現場でもそうだったけど君と同級生の子ども達で結成している少年探偵団がいる場では特に君の行動は顕著で、その少年達の行動もまた顕著だった・・・事件をどうにか解決しようとするその心意気は誉めてあげたいって言いたいけれど、それとこれとは話は別どころの問題じゃない。君もそうだがその少年探偵団の行動を認めてしまえば、警察云々の前に大人が何の為に存在するのかそれすらおかしなことになるんだ。子どもを頼りにして大人が、それも警察なんて存在がそれでいいのかって事にね」
「ぁっ・・・!」
そんな話の流れから少年探偵団の話に移る半兵衛のその話に、新一は何か言いたげに声を上げたそうにしたが何とか口内に留めた。






・・・ここで新一が何かを言おうとして止めたのは自分ならともかくと思いつつも、他の少年探偵団が活動することを肯定したくはなかったからだ。

これが本当の意味での七歳の頃の新一だったなら探偵団の面々とは自分は違うと思いつつ、探偵団と共に俺達は大人同様・・・いや大人以上にやれると強気に言っていただろうが、元々が高校生であり少年探偵団を事件に関わらせるのはあまり乗り気ではない新一からしても子どもに頼るという気にはなれないのだ。

しかし今の自分の体は精神はともかくとしても見た目は完全に子どもで、自分はあいつらと違うから見逃せなどといくら言ったところでどうにもならないのは明白だ。そして半兵衛がそんなことを許すはずもないと考えてもいた。





(・・・この人、こんな顔を隠してたのか・・・最初見た時からあまりにもやる気がなかったから本当に警視なのかって思ったけど、今はもうそんな風には思えねぇ・・・!)
そうして言葉を失いつつも新一は目の前の半兵衛の笑顔に底知れなさを感じていた。警視に相応しくないと思っていた人物だが、今は全くそのようなことなど思えないと。
「毛利さん・・・コナン君の正義感が悪いと言っている訳ではありません。ですがこれからはコナン君にやっていいことと悪いことを見極めるよう教えることもですが、その行動をあまり自由にし過ぎるようなことにはならないように教育をお願いします」
「そ、それは分かりましたが・・・私が現場にいない時は・・・」
「しばらくは俺が目暮班の代わりに現場に入りますし、代わりに入る刑事達にもコナン君や少年探偵団の事は注意するようにとは通達はさせていただきます。ただそれでも失礼ながらコナン君が自重しないということは今までの現場での様子から有り得ると見ていますので、そうなった場合はコナン君の親に連絡をさせてもらいます」
「っ!?」
そんな半兵衛はコナンの教育を頼むと言い小五郎は戸惑いつついない場合について聞くのだが、そこで親に電話との言葉が出たことに新一は驚愕に静止してしまった・・・『工藤新一』としての親はいるが、『江戸川コナン』としての親は新一の親が変装した偽の親しかいない・・・つまりは架空の人物であると同時に、現実にはそんな人物などいないために。









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