そう在れと造られた割れ鍋に綴じ蓋はもう他には合わない

・・・割れ鍋に綴じ蓋という言葉があるが、壊れた鍋でもふさわしい蓋があることをいう言葉であると共にどんな人にもふさわしい伴侶があることの例え・・・もしくは両者が似通った者同士であることの例えとして用いられる言葉である。

そしてこの割れ鍋に綴じ蓋で使われている『綴る』が『閉じる』という漢字ではないのは、『綴る』に重ね縫い合わせるという意味があると共に割れた鍋に合わせるという意味もあるから、『閉じる』という漢字では誤りなのである。

そんな割れ鍋に綴じ蓋という言葉であるが、一般的にふさわしい伴侶と出会う事が出来るかどうかは保証されていないモノであり仮に出会えたとしても、それが本当の意味でのふさわしい伴侶であると分かるモノではないが・・・もし小さい頃から自身にふさわしい伴侶と出会い時間を共に過ごしてきたなら、それは幸せ以外に有り得ないのか?これはそんな考えについての一例の話である・・・


















・・・東都の米花町にある帝丹高校は、帝丹小学校に帝丹中学校と系列校がある私立の学校であると共に大半の生徒達は帝丹小学校から通しで通っている生徒である。この辺りは地元の人間としてスポーツやら進学やら引っ越しやら、何か事情がないなら帝丹系列の高校に通うのが普通といった認識があったからであった。

ただそんな帝丹系列の学校は別に転校だとか中学や高校での入学を受け入れてない訳では無い為、少ないながらも生徒の出入りはある学校であり・・・高校から帝丹に通う事にした胡蝶しのぶという女生徒もその出入りする中の一人であった。

そしてそんな風に新しい人物が入って来たことは、元々から帝丹に通っていた生徒達からしてみれば望外の楽しみに繋がるイベントであった。周りの面々は昔から見知った顔ばかりで高校に入っても新鮮さも新しい生活への高揚感もほとんどない中、実質的な転校生が来たということからだ。

その上で更に言うとしのぶの見た目がかなりの美人だった事も拍車をかけていた・・・前述の通りに前からの知り合いが多く恋仲になるには気安さが勝ってそうそう恋愛感情が芽生えにくい事や、目ぼしい存在は既に相手がいるといったような状態な事ばかりだから、胡蝶しのぶという美人の存在に浮足立つ者がいる形でだ。

だがそんな浮足立つ空気はすぐに終わる事になった・・・入学式も終わりクラスでの顔合わせの際にしのぶがクラスの面々と話す中で同じクラスになった新一が、しのぶの手にある剣ダコから剣道をしているだろうといったようお得意の観察眼からしのぶの事を推理をしていったのだが・・・ここで大抵の女子なら自身を探偵だと常から口にしている新一に対し、顔の良さも相まってすごいというように言ったりする形で好印象な反応を返したことだろう。

しかししのぶの反応は満面の笑顔でこそはあったが、新一に対してこのように告げたのである・・・「観察眼があることは確かだと思いますが、賢しら顔で私の事を見抜いてやったみたいに言われても不愉快ですよ」と。

そんなしのぶの言葉に新一もそうだが蘭や園子を含めた周りの面々も驚くことになるのだが、「聞かれれば答えてもいいことは答えますが、聞かれたくないし言われたくない事というものを大抵の人は持ち合わせています。幸い今工藤君が言った事は別に聞かれれば話をしても構わない事でしたが、それが私からしたら言いたくない事だった可能性もあるのにさもそれを言ったことが正しい事だと、全く何も疑ってない自信満々な顔を見せる・・・率直に言って不愉快だと感じたから不愉快だと言ったんですよ」と笑顔を崩さずしのぶが続けたことに新一がたまらず引きつったように息を呑み、こんな時に新一を擁護するだろう蘭もたまらず視線を背けてしまった。そういうように言われてしまえばしのぶが不愉快に思う可能性を全く考えていなかった事もそうだが、今までそういった事でずっといい会話の取っ掛かりが出来ていたからこそしのぶの言った事について考える事すらないのが続いていたのを、その言葉を受けて感じてしまったが為に。









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