もし新一が高校から公に探偵稼業を開始させたら 前編

「これについてはちょっと話の順番が前後するような事を聞きますけれど、優作さん達から厚意でたまにお金を渡される事くらいはまぁ許容範囲としますけど、自分の稼ぎで家族が出来たら家族を養いたいって風に思っていますか?」
「え・・・それは当、然・・・!?」
「気付きましたか・・・さっきまでの話の流れからお金を取らない探偵でいたいって考えでいたのなら、センパイの稼ぎはどうなるのかってことに」
「っ・・・!」
しかしそこで佐木弟が投げ掛けてきた質問に新一はどういうことかと答えようとしたが、途端に何かに気付いて盛大に声を詰まらせ佐木がその気付きはこうだろうと言葉にすれば、極めて苦そうに表情を歪めた。
「この辺りでセンパイがそういったことを考えられなかったのは今の環境っていうか、ちゃんと仕事としてお金をもらうことだとか手続きしなくてもいい状況が心地良かったっていうのが大きかったと思います。そんな面倒な事だとか考えず探偵として動く事だけを考えれる環境に」
「っ・・・!」
「この事についてセンパイが複雑だってのは分かります。けどさっきの十億についてに関連するような事を言うと、センパイがやりたいような探偵稼業をしたいって言うならスポンサーなりパトロンといった、お金をセンパイの為に出してくれるような誰かがいないと成り立たない事なんですよ。でないとセンパイが今からそんなお金を稼ぐだなんて事が出来ないのはさっきの話で言ったように分かると思います」
「ぐぅっ・・・!?」
更に佐木弟が何故新一がそれらを考えられなかったのかというのかもだが、そもそもの話として誰かが金を出さなければさっきの話すら成立しない・・・というように言っていくと、新一は全く反論出来ずに声を詰まらせる以外になかった。それこそ佐木弟が言ったよう自分で金を稼ぐだとかといった気持ちや考えが一切なかった事を否定出来ず。
「理解出来たようですがそういったことについて一先ず置いておいてまたさっきのとこまで話を戻しますけど、もし将来的にセンパイが家族を持たず一人で過ごすというならさっきの計算の残り金額で生きていくことは、出来なくはないかもしれません。けれど誰かと結婚することになって子どもが出来たとなったらそれは一気に無理な方に傾く可能性は極めて高いと思います」
「・・・それは家族を養う為の金がかかるからってことか・・・」
「それは確かなんですけどセンパイの性格もそうですけど、育った環境もあって倹約的な生活が出来るとは思えない事もあります」
「え・・・?」
ただそこで話を元の流れに戻すと佐木弟が言いつつ家族が出来たならと言うと、新一も流石に家族が出来て出費が多くなることについては理解出来ているとショックを引きずりつつ漏らすが、続いた新一自身の問題になりかねないといった返しに困惑の声を漏らした。性格もだが育った環境との言葉に。
「これに関してはセンパイの家がおかしいとかそんなんじゃなく、単純な話として普通の家と比べてお金持ちだっていうのは流石にセンパイも自覚してますよね?」
「・・・そこについては俺も流石に自覚はあるよ。いくらなんでも父さんのような存在がそこら辺にポンポンいる訳ないのは分かってるし、他の家とかと比べるとどれだけ凄いのかってのは・・・」
「それが分かってるならいいと言いたいんですけど、問題なのはセンパイの考え方として自分が育てられていったように奥さんや子どもを養おうとするでしょうが、そうしたらまず四十年持つとは思えませんよ」
「っ・・・さっきの計算だとまだ三億はあったはずなのに、そんなに俺はダメにしそうだって言うのかよ・・・」
そこから工藤家がいかに恵まれているかについての自覚を聞いた後でだからこそ持たないだろうといったように言う佐木弟に、新一は先程までと違い弱々しくそこまで言うことかという声と視線を向ける。









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