目標と刺激のない平たい生は幸せか?

「そう。普通に考えるなら『江戸川コナン』としての在り方なんか有り得る物じゃない。けれど工藤君は『江戸川コナン』という存在を作り上げ、半年以上もの時間を過ごしてきた・・・この半年以上という時間を短いと思う人もいるでしょうけど、私はその時間の濃密さもあって工藤君は慣れきってしまったんだと思ったの。『江戸川コナン』という自分で作り上げてきた有り得ない存在になった非日常に」
「ま、待てよ・・・確かに『江戸川コナン』って存在が普通に見ればおかしな物だってのは、俺も否定出来る物じゃないのは確かだとは感じた・・・けどだからって自分で言うのは微妙な気持ちにはなるけど、それが俺の気が抜けるみたいな事に繋がるのか・・・?」
「そこで私が聞いたこの漫画のセリフに繋がるのだけれど、そういった日常のそもそものきっかけが何なのかと言えばジン達に襲われた事及び、自分の手で元の体に戻りたいという気持ちから動きたいという物だったでしょう?そんな気持ちでいた工藤君は日常の中で組織に繋がる何かが起きるかについてをいつもアンテナを最大に集中させていたわけではないにしても、何かあれば捉えようと気を張っていた。そしてそんな中で時折組織の事に繋がる事柄や物に出会ってきて最終的には組織を壊滅させ、元の体に戻るまでになったんだけれど・・・」
「っ、成程・・・志保さんが言いたいことは組織を壊滅させたことや元の体に戻れた事が嬉しい事には変わりはないんだろうが、そんな日々に慣れていったことから新一君はそういった事件が起こらなければ気を張らなくてもいい生活という物が、いつしか新一君からすれば物足りないというようになってしまったんじゃないかということか・・・」
「えぇ、大まかに言えばね」
「「「「っ!」」」」
そしてだからこそというように話を進めていく志保に新一は動揺しつつそれがどうしてそうなるのかというように言うと、先程のセリフに繋がるというように話を続ける中で安室がハッとしたというように理解したと漏らした声に頷くと、新一達は一斉にハッとなってしまった。新一は一人顔を青ざめさせる形でだ。
「これに関しては工藤君の性格も理由としては大きいと感じているの。元々からして何事に対しても負けん気が強くて勝負事となると熱くなりやすい部分があるのは見て取れていたから、自分が負けたままでいるというような事なんか工藤君からしたら認められないだとか望まれないというように思う事は・・・ただそれと同時に工藤君が受け入れられるかどうかは別にしても工藤君は探偵として難事件に立ち向かうということについて、心の結構な部分で次第に気持ちが沸き立っていったんだろうとも私は感じたの。いつも身近で起こるような事件を解決すればそれで終わりというような単純な物ではなく、時間をかけて慎重に一歩一歩動いていく事が求められる難事に向かい合う事に」
「・・・そう聞きゃ否定出来ねーっつーか、むしろ納得出来るな。新一からすりゃ自分をあんな風にした奴らを許せねぇって怒りは確かにあっただろうが、それと同時に自分でもいつもの事件のように簡単に解決出来ねぇって事に向き合う事に、俺が組織の事を探偵としてどうにかしてやるって風に燃えてた部分もあっただろうとな」
「「「「っ・・・」」」」
更にそこから新一の性格やら考え方やらにも言及していく志保に小五郎も呆れたように納得するが、新一以外の黙っていた面々は複雑さを隠せない表情を浮かべつつも口ごもるしかなかった。新一を擁護しようにも今言われたような新一の性質について、そんなことないと言えるような物ではないと比較的に付き合いの浅い世良や安室でも感じてしまった為に。









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