暴食がもたらす不幸

・・・頭隠して尻隠さずと言うが正に望月の事を表すのにはこの言葉がピッタリと当てはまった。自分自身では完璧に食べることに関しての執着なりなんなりを隠せてきたと思っているが、周りから見たらそうではなかったと。

特に普段から世話になっていた先輩の女性社員はそういったことを目の当たりにしていたが、そういった事についてを言うことはしなかった。それはその社員も自身が酒カスであることを承知して公言しているような身の上で、望月自身からも腹に肉が付いたと言われる事があったから望月は自分が太ってることやよく食べるのが好きだというのは、半ば公言しているという態度だというように思っていたからだ。

現にダイエットの為に共に走ろうというようになった際に休憩で疲れている望月がラーメンを食べたいだとか、塩分が欲しいと口にしていたのだが・・・こんな言葉が走った後にすぐに出て来るなんて男女どちらかに限らずまず有り得ないのだ。だが望月は疲れ切ってフラフラであることに気を緩ませていたからとは言え口にしていたことから、その女性社員は望月はその事を隠していないと思ったのである。

そして更に言うなら大人になり花粉症に初めてかかった際に望月が気にしたのは鼻水やらの症状が辛いということではなく、食事の味が分からないという事に絶望したという顔だったこともまた拍車をかけていた。あの顔はとてもそんな大したことじゃないと言えるような物ではなかったことが。

その上でまたよく食べる事に関してを認識していたのがそんな花粉症の時だったりもだが、時たま望月を誘っていた食事の際にその女性社員は基本的に酒カスと言ったようツマミを食べて腹を満たすより酒を頼むというクセを持っているが、そんなに酒を飲む割には酒に弱く潰れやすいという性質も併せ持っているのだが・・・望月は女性社員が酔って潰れたのを見計らって普通なら頼まないであろう量の食事を頼んでいたのである。

ただ酔って潰れていたからその時に気付かないのは当然と言えば当然なのだが、いくら酔っていても会計をしなければならないことからその時には目覚めて会計をして店を出て行くのだが・・・酔いが残っている内はそんな些細な事に目をやるなんて気力も考えもなかった。だが酔いが覚めた後にレシートを見てみると明らかに自分が頼んでいないし食べてもいない料理の名前と値段が陳列しているのだ。

これに関しては前述のようツマミを食うくらいなら全部酒を胃に流し込みたいという気持ちがあるから、会社の用事でもないなら酒を飲む場で食べ物を頼む事はないのはよく分かっている・・・だからこそ望月がよく食べる事を知っているから望月が頼んだのだなと考えたのである。

と言ってもそれを望月に指摘しなかったのはわざわざ言うような事じゃないと思ったのもそうだが、自分が誘ったからだとか望月の分も最初から払うつもりだったから別にいいという気持ちがあったからだ。ツマミは食べないが酒の肴として愚痴を言うだったりだる絡みすることが最高に酒が進むという考えがあり、それに基本的にノッてくれる望月の事をそれなりに気に入っていた面もあった為に。

だがそこで問題になるというか望月が盛大に抜けている部分になるのだが・・・自分が食べてる姿を見られていないから近しい人達にその事はバレてないと、自信満々にいたのである。多少注意して見ればバレるような事ばかり望月はしているのに、それを言われなかったからバレてないのだと考える形で。

そしてそういったような事を言われた事によって、ただでさえ会社に迷惑をかけたという意識で気が重くなっていた中での自身にとって、最大のアイデンティティの崩壊となる追撃を受けることになったのである。自分が太っているということもだが食いしん坊だと見られていたのだと・・・









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