「・・・皆！済まないが、ちょっと席に着いてくれないか？」
「は？・・・いきなり何を言い出すんだよ、白馬？」
そんな時に教室に現れた白馬が教壇の前に立ち集合をかけてきたことに、快斗は怪訝そうな表情を浮かべるが白馬はその快斗に複雑そうな表情を向ける。
「・・・中森警部もそうだが、青子さんにも関わることだ」
「何・・・何で二人の事をお前が・・・」
「・・・それは今から説明する。だから皆、席について欲しい・・・」
「・・・分かった」
そこから出た二人の人物についてで快斗は不審そうな目を向けるが、他も聞く体勢になってからと譲らない様子で語る白馬に仕方無いと頷く。






・・・そして来ている人間全員が席に着いた所で、白馬は一つ頷いた。
「・・・皆、こういう形で集まったことには感謝する。だがこれから話すことに関して心して聞いて欲しい・・・」
「おい、白馬。勿体ぶらずに早く言ってくれよ・・・一体二人に何があったんだ？」
「・・・結論から言おう。青子さんの父親である中森警部が怪盗キッドの担当から外された。おそらく青子さんはそのショックで精神的に参っているんだろうと思われる」
「「「「！？」」」」
「お、おい！どういうことだ白馬！？どうしておっちゃんがキッドの担当から外れるなんて事になったんだよ！？」
そして前置きをした上で白馬が意を決して口にした言葉にクラス全体が驚きに満ち、快斗が何故とたまらず叫んだ・・・快斗からすれば怪盗キッドの時は敵という立場になるが、だからと言って普段から敵視してる訳ではないどころかむしろ親愛的な感情を抱いている為に。
「・・・昨日怪盗キッドが宝石を盗んだ後の事だ。僕もその現場に行きたかったが、他に用事があって予告の時間に間に合わなかった。しかしそれでも現場に行ってみたんだが、そこで僕が目にしたのは中森警部が涙ながらに怪盗キッドの担当を外されると他の警察官の人達に謝る姿だった」
「な、なんで中森警部がそんなことに・・・」
「僕が聞いた話では、度々起こる怪盗キッドの犯行を止められなかった事と昨日の事件でもし怪盗キッドを捕らえられなかったなら担当を外すとのことで、昨日は事に挑んでいたそうなんだ。けれどそれでダメだったから最後にと皆さんに謝っていたとのことで・・・」
(っ！だからあの時、おっちゃんはあんな顔をしてたのか・・・俺を捕まえられなかったら、もう怪盗キッドに関われなくなるからって事で・・・！)
白馬は続けてその時の状況を話していき、快斗はその中身に合点がいった上で戦慄した。今までの付き合いからしてキッドとの関係がそんな終わりかたをしたなら、中森にとってあまりにも辛いことになると。
「・・・それでだが、今日中森警部の子どもである青子さんがこの学校に来ていないのはそんな中森警部の事が心配でもあるのだろうが・・・怪盗キッドを持て囃すような事を茶化して言われることもそうですが、下手な慰めを言われるようなことを避けてというのもあるのだろう。今の青子さんからすればどちらの態度であっても、精神的にキツいと思いますから・・・だから僕が皆さんに言いたいことは腫れ物を触るような言い方に聞こえるかもしれませんが、その事を青子さんが学校に来ても言わないようにしてほしいんです」
「「「「っ・・・」」」」
そして白馬はこれが本題だといったように青子に何も言わないようにと真剣に切り出し、クラス全体が緊迫した空気になる。白馬の雰囲気もそうだが、その話の中身が決して茶化せるような代物ではないと感じて。









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