暴食がもたらす不幸

「はぁ・・・はぁ・・・!」
・・・都内のある場所を走るジャージを着たふっくら目の顔付きをした金髪の女性。その顔は走っている事にキツいというような苦痛の様相が浮かんでいて、荒く息を吐いていた。
(痩せなきゃ・・・痩せなきゃ・・・!)
そしてその心中は痩せたいという強迫観念に駆られていた。かなりどころではなく追い込まれているという形で。






・・・今走っている女性の名前は望月美琴。とある会社の営業事務として働いている存在であるが、彼女は今かつてないほどの危機感を抱いていた。それは心の声にあったよう痩せなければという物だった。

これは普段望月は体重計に乗るような生活をしておらず会社の健康診断を受ける時くらいしか体重を知る機会は無いのだが、そんな体重を見る機会も最近は無かったのに痩せたいと思ったのは・・・仕事で着る服が軒並み悲鳴を挙げてしまったからだ。

この仕事で着る服という限定的な表現はどういうことかと言えば、普段着る服に関しては大きめでいてゆったりとしたサイズの物だったり体型が隠れるような造りの物を好んで買って着ているからだ。だから家やプライベートな場で着る服に困ることはなかったが、仕事で着る服に関してはそんな造りの服であることはまずない。

それが故に前に一度正月太りで仕事の服のチャックやらボタンやらが壊れたり撥ね飛ばすような事になったから、余裕があるサイズの服にサイズアップをして仕事をしていたのだが・・・その服がキツくなったのを理解したのである。

その事に服のサイズアップをまた考えざるを得ないと共に見ようともしなかった体重を計ろうと、体重計に乗ったのだが・・・そこに現れた数値に望月は戦慄したのである。決して達して欲しくない大台の数値がそこにあったことに。

この数値に流石に望月は衝撃を受けたのだが、何故望月はそんなサイズアップを二度もしなければならないと思える程に体重を増やしたのかと言えば、普段運動を全くしないこともあるのだが・・・当人はほとんど省みるような事をしないが食事の仕方だったり、その量や食べる物の質だったりが関係していた。いわゆる世間一般で言われるようなドカ食いを好むという食事の仕方が。






(なんで・・・どうしてあんなに太ったの・・・!?)
望月は走りつつも虚ろな目を浮かばせながら何故と心底から分からないというような声を内心で漏らす。






・・・ドカ食いが理由というように言ったが、望月がそういったドカ食いをするのは腹一杯に食事をしたいという気持ちもそうだが、血糖値スパイクと言われる現象を起こす為だ。その際に起こる眠気を始めとした感覚を得る事を至ると望月は表現しているのだが、血糖値スパイクが起きる事に勝る娯楽に楽しみなんて他にないということから、他に趣味といった物を持つこともない上に何か趣味を持とうとしてもすぐに手放す事ばかりで、ドカ食い以外に趣味と呼べる物もなかった。だから働いて得た給料は家賃や光熱費など必要な物を除いてほとんど食費に費やすばかりか、それで金欠になっても至る為の材料になると考える始末である。

そういったようにドカ食いが生きる楽しみであって生きる意味と言っても過言ではない望月だが、そんな風な物だから毎日ドカ食いをしなければ我慢ならないくらいになっているのだから、太るという結果になるのは当然だが望月が考えられない理由がいくつかある。まず一つ理由を挙げると昔と比べて胃の許容量が広がったからである。









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