身勝手に付き合うばかりが優しさではないし、付き合いたいと思うモノばかりではない 前編

「そして更に言うなら探偵として活動するにあたり、依頼を達成した際の依頼料は全部俺がもらうことは勿論だが、そこで別途として一月いくらという形で俺への契約料に給料といった金を払ってもらう。これは俺が新一から頼まれたからというのもあるが、探偵としての活動で全く依頼が入ってこないといった事態も無いとは言い切れない場合の保険という意味合いも含めてだ」
「そ、そこまで金を取るっていうのかよ・・・」
「人に頼み事をする、それも危険と分かっている相手に近付く為の物に対しての対価としては妥当だが、加えて言える事としてこれが一人の人間の時間を預かる事の責任というものだ。新一からすれば事件なんだから困ったなら解決の為に無償で協力だとか行動するのが普通だとか常識だろうと思うかもしれないが、俺はある程度同年代の男性よりは蓄えはあるとは思うがそれでも新一の為に何ヶ月か使う事を考えれば、俺にその分の金が入らない事もだが本来働くだとか出来た時間が失われることになる・・・その結果として俺が貧困に喘ぐようなことになっても、お前は自分の事が解決したから知ったことではないだとか別にいいだろうというように言えるのか?」
「うっ・・・」
その上で更にの金の上乗せ分があるという事をアムロが言っていくと新一は強欲だと批難するかのような声を向けるが、新一に使う時間の分の自身の損失についてを軽く見るつもりかといったように返されて言葉を詰まらせるしかなかった。成人男性であり阿笠の元にいる経緯を知っている事もあるから、アムロが親を頼ることが出来ないとは言わないにしても難しいというのは分かるからこそ、働けないことでアムロを貧乏にさせてしまうというように言われては流石にそれくらいなんだと言えないと感じて。
「っ・・・」
ただそんな新一とアムロの姿に阿笠は何とも言い難そうな表情になっていた。何か言いたそうにしながらもそれを耐えるように。






・・・阿笠がそんな風になる理由だが、実のところとしてアムロの懐はニュアンスとしてそこまで暖かい訳ではないといったように言ったが、実際はかなり暖かい事を知っているからであった。アムロが機械関連でいくつか特許を取るような事をしていた・・・それも陳腐な物ではなくそれなりに有用な特許を取った事により、その分の金がアムロの懐に結構入る形でだ。

なら何故隣の家に住んでいて関係も悪くない筈の新一がその事を知らないのかと言えば、新一が他人の懐事情だとか機械関連の話題について興味がなかった事もそうだが、アムロ当人がそういった話題をすることをあまり良しとしなかったからだ。稼いでいるだなんてわざわざ言うのはみっともないだとか、こういう功績を打ち立てただなんてひけらかす気にはなれないと。

だから阿笠はそんなアムロの気持ちや考えを汲んでそういった話題を科学者仲間の中で話したことはあっても、新一達とは話をしなかったのである。そして特許を取ったからと言って一々テレビだとかメディアがニュースに取り上げることなど、余程の成果でなければそうそうないのも相まってであった。

ただそれでも阿笠が何か言いたげになっていたのはアムロの懐についての事実を言いたいという気持ちと、新一にそれを言っては良くないと場の空気もあって思う気持ちがせめぎ合った結果なのである・・・








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