一方的な正しさは許される物ではない

英理「・・・そういった問題から新一君と警察との関係がいずれ崩れるだろうというのは分かったわ、頼人。そして警察との関わりが薄くなれば、必然的に事件が起きても警察からいい目をされることはない上にその情報ももらえなくなることも」

頼人「えぇ。それらを考えれば警察関連からの依頼は無くなるでしょう。と言っても利益を出すと言う点で見るなら、警察からは依頼料は取らない上で取れないでしょうね。それこそ警察や政府公認の探偵といったような肩書きでなければ報酬もなく、ただの難解な事件を解いたと自己満足で終わるだけです」

小五郎「普通の探偵からすりゃ生活がかかってんのに、それで満足しそうだって考えるとあんまり気持ちよくはねぇな・・・謎が解けりゃそれでいいってんなら、金持ちの遊びみてぇなもんじゃねぇかよ」

頼人「金銭目的でないからこそ、理想の探偵像に邁進していると思うんですよ。それに警察とも良好な関係を結べてこそ探偵だというように」

安室「それこそホームズのように頼られ愛される探偵として、か・・・」

英理「でもそうでなくなるというならもう関係の無いことだと言いたいけれど・・・まだ他に仕事上で新一君がこうするかもしれないみたいな懸念はあるの、頼人?」

頼人「えぇ、ある意味ではこれが最もな問題になります。それは新一君の性格上もありますが、仕事にのめり込み過ぎることです」

小五郎「は?のめり込み過ぎることに何か問題でもあるのか?」

頼人「仕事にばかり取り掛かりすぎて、蘭や家庭の事を振り返らないという可能性が高いんですよ。新一君なら事件があればすぐに現場に飛んでいくのは間違いないでしょうし、地方の僻地に何日も泊まり込みで向かう事も苦ではないでしょう。そうなれば蘭がそんな状態を我慢出来るかと言うのもありますし、新一君の留守中の応対に関してを委ねられることになると想像するとあまりいい結果になるとは思えません」

英理「それは・・・確かに新一君ならやりそうではあるけれど、それが問題になるの・・・?」

頼人「はい。母さんは蘭はそんな時に黙って待てるんじゃないかと思うかもしれませんが、僕に父さんから言わせるなら蘭はそんな黙って待てるようなタイプではないと思ってます」

英理「・・・そうなの、貴方?」

小五郎「まぁな・・・蘭はそんな時に不満を言わないで待てるわけねぇ。文句を言えるなら文句を言うのは目に見えてるし、仕事だろうが何だろうが自分が不満なら不満だって言える。それに色々とめんどくせぇ考え方にもなるだろうな・・・例を挙げるなら、新一が家に帰ってこねぇのは浮気なんじゃねぇかとかそんな感じによ」

英理「あ~・・・確かに蘭なら考えそうだし、言いそうではあるわね・・・」

安室「でも新一君がそんなことをするようには思えないが・・・」

頼人「浮気をしているしていないではなく、自分の為の時間を取らないのが蘭からすれば気に入らないんですよ。でも新一君からすれば仕事が大事と言うでしょうが・・・趣味を仕事にした典型的なタイプですし、蘭もその辺りを分かっているからこそ怒るんですよ。勿論ある程度なら蘭も理解してるから耐えはするでしょうが、だからと言ってその我慢もそうそう長くは持たないでしょうね」

英理「・・・二人の結婚を認めたのはやっぱり駄目だったのかしら、そう聞くと・・・」

頼人「認めなければ認めさせるまでという気持ちで来るだろうし、蘭ならもうお母さんなんて知らないとでも言って許可を無視する展開は有り得たでしょう。ですから反対してもしなくても、どっちでも大して変わらなかったでしょうが・・・重要なのはこれからです」

英理「重要なのは、これから・・・?」









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