一方的な正しさは許される物ではない

(新一達が小五郎達のホテルに来る前の午前中)






小五郎「すまねぇな、安室。わざわざこんな時間に来てもらって」

安室「構いませんよ。明日まで休みですし、今回の件に関しては僕も関わっていますから。それに頼人君に聞いてみたいことがあったんです」

頼人「僕に・・・何を聞きたいのですか?」

安室「新一君は探偵になることは君も知っているだろうが・・・君の目から見て新一君は探偵として大成すると思うかい?」

頼人「・・・何故それを僕に聞くんですか?」

安室「君に会う前までの僕だったなら新一君は誰よりも立派な探偵になると、そう考えていただろう・・・しかし今となってはそうは思えないんだが、君の目から見たらどうなのか・・・と思ってね」

頼人「そういうことですか・・・」

英理「そう言うことなら私も興味があるわ。新一君なら探偵として稼いで蘭を楽にさせられると思ったのもあったから、結婚の許可を出したのだけれど・・・」

頼人「・・・稼げると言うより、稼ぐために新一君が探偵業を行うとは僕にはあまり想像が出来ませんね」

英理「え?どういうこと?」

頼人「色々とありますが、まず一つ言えるのが探偵業に殺人事件の解決に関する相場と言うものが無いことです。弁護士である母さんなら殺人事件ならこれだけの費用に依頼費が必要だとか、そう言うことは知っていますよね?」

英理「当然よ、それは。そういったことを仕事にしているもの」

頼人「えぇ、弁護士の事に関しては僕も聞いています。ですが探偵という職業の中にそういった殺人事件の解決の相場なんて物があるなんて聞いたことはありませんし、父さんも知らないでしょう」

小五郎「そりゃな・・・殺人事件の捜査なんて相場がありゃむしろ俺が聞きてぇくらいだ」

頼人「そうです。一般的な相場が存在しない・・・ならどういった風に決めるかとなって、新一君がやりそうなことは何かと言えば事件の解決が重要なのだと言わんばかりに移動費に滞在費といった必要経費に関してを除き、ほとんど利益の上がらないような金額を提示する可能性があると僕は見ています。それが本来の探偵の在り方として在るべき姿だなどと思う形でです」

安室「それは、その・・・確かに話に聞く分には立派ではあるとは言えるかもしれないが、社会人としてそれは・・・」

頼人「えぇ。言ってはなんですが、とても結婚して蘭という妻・・・それにいずれ子どもを持つことになり得る一家の稼ぎ柱が採算度外視をするなど、いい事だとは言えません。ですが今までの新一君の活動を考えると、自分の利益も考えた活動に出るとは思えないんですよ」

小五郎「利益、だと?」

頼人「この辺りは母さんや安室さんの方が今はよく知っているかと思いますが、この五年でまた新一君は探偵として活動してきたのでしょう?数多の事件を解決する形で」

英理「えぇ、時々蘭からはそう言った話を聞いたことはあるけれど・・・」

頼人「それでその事件を解決した時に何らかの報酬を得ただとかそういった話は聞いていないでしょう?」

英理「それはそうだけれど・・・」

安室「もしかして、新一君はそういった今までの活動と同じような感覚で探偵として活動するのではと見ているのかい?」

頼人「はい、そうです」









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