独りよがりの愛は二度終わる

「まぁまずは座れよ。話はそこからだ」
「っ・・・これでいいだろ。さぁ何でこんな風に俺と二人きりで飲みたいなんて言い出したか教えてくれよ」
ただ小五郎が話は座ってからだと言ってきたことに新一は仕方無いと腹をくくって椅子に座り、これでいいだろうというよう話すようにと切り出す。
「なら話すがその前に俺としても今日はマリーの門出を祝う日だから、流石にこんな日に話すんじゃなく後日にしようかと思ったんだよ。だが前々からお前に対して積み上がってきた物があった上で、さっきの店でのお前の様子やら発言でもうこれ以上我慢出来ねぇと思ったからこうしてここに呼んだんだよ」
「えっ・・・い、一体何を俺がしたって言うんだよ・・・?」
だが小五郎が本題に入る前の前置きとして今日の態度が今までの積み重ねの爆発のきっかけになったと言ったことに、途端に新一は不安げに表情と声を揺らす。
「何をしたか?ハッ、俺から言わせりゃ何もしてねぇからこそこうしてお前を呼び出したんだがな」
「えっ・・・?」
しかし苛立ちと嘲りを盛大に含ませて何もしていないことだとの事に、新一は戸惑いを浮かべるが小五郎は一層に苛立ったように表情を歪める。



「・・・お前、自分がマリーにとっていい父親だって信じて疑ってねぇだろ?だが俺から言わせりゃお前はマリーにいい父親だって思わせてもらってただけだ。マリーに本来向ける分の愛情までもを含めて蘭に対して愛を向けてるってのに、それを指摘してもお前がマリーの為に変えるように出来るなんて思わないとマリー自身が感じたことから、もうお前に父親としてを期待しなくなったからせめて揉め事を起こさないようにと、何かワガママを言うこともないいい子でいることをお前が勝手に自分がマリーを育てたというように思ったことでな」



「なっ・・・!?」
・・・そして小五郎が抑えた怒りを含ませながら口にしていった言葉に、たまらず新一は絶句せざるを得なかった。自分はマリーにいい父親だと思わせてもらっただけとのことに。
「そんなことねぇとお前からしたら言いてぇだろうが、マリーが小学校に入ろうって頃にお前が蘭に出来る限り仕事に一緒に行きたいって言って、蘭がマリーの面倒を見なきゃいけないって事から喧嘩になった時に、マリーがお前らが喧嘩するような事になるくらいなら俺の元に行くようにお願いするから、喧嘩しないでほしい・・・と言ったことからお前達は俺と話をしてマリーは基本的に俺の元で暮らすようになったが、その時お前はどう思った?」
「え・・・えっと、その時は流石にマリーに喧嘩をするような姿を見せたのは良くなかったと思ったけど、マリーの言った事を聞いた時は俺の気持ちを分かってくれるいい子に育ったなって・・・」
「いい子?ハッ、何を言ってやがる。マリーがいい子なのは間違いじゃねぇがお前の場合は頭に『都合の』って言葉がつくいい子にしかなってねぇんだよ。お前からしたら蘭と一緒にいたいって気持ちとそこで起きた喧嘩を同時に解決してくれたってことになるからだろうが、そもそもを言えば小学生にすらなってねぇマリーから蘭っていう母親といる時間を自分の為に奪おうとする行動だったってことを理解せず、自分がこうしたいからでそれを押し進めた結果としてお前はマリーの父親であることより、蘭という妻と共にいる時間を増やすことを喜んで選ぶ・・・これのどこに子どもの父親として正しい事をしたって言える要素があるってんだ?答えてみろよ、俺を納得させるだけの何かがあるならよ」
「っ・・・!」
だが続いた話から小五郎が怒涛の勢いで口にしていった新一の行動についての問い掛けに、新一は盛大に息を呑んで言葉を詰まらせるしかなかった。小五郎という端から見た者からすればいかな行動を自分がしていたのかを聞かされ、それは違うというように言いたいという気持ちはあれども・・・やってきたことに偽りなど一つも無かったことに、どう言えばいいかと分からないとなった為に。









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