一方的な正しさは許される物ではない
「ただそうする気持ちに考えは理解は出来ますが・・・新一君もそうですが、優作さんが君達の真実に辿り着く可能性は無いんですか?あの二人の推理力を考えれば決して有り得ない話ではないと思いますが・・・」
ただ安室はそこで不安要素とも言える新一と優作の能力についてを指摘する。二人・・・特に優作なら小五郎達の事実に辿り着くのではないかと。
「それは然程問題ではありません。まず嘘を嘘ではないと信じさせるには、真実を織り混ぜることが効果的です。全てが全てを嘘だけで塗り固めた物など、却って嘘だとばれやすくなりますからね・・・ですがそれくらいなら二人も見抜ける可能性はありますが、あの二人がわざわざ僕達の事を見抜こうとするとは思っていません」
「見抜こうとしない・・・それは、どういうことですか?」
ただ頼人も想定済みといった返答をする中で、見抜こうとしないとの意味深な言葉に安室は眉を寄せる。
「これ以上良心の呵責に苛まれるような事態になるのを避けたいと思うからですよ・・・今まで二人が出会い解決してきた事件と違い、今回は首を突っ込み事実が明らかになればなるほど僕達が工藤一家に対して控え目に言っても距離を取りたいという事が分かっていく事でしょう。現時点ですら麻酔薬を撃ち込んできた事からその対象を避けている、というように伝わっているのですからね」
「けれど当の本人達からすればその事実は黙っておきたい事であるからこそ、必要以上に毛利さん達の事を掘り下げたくない・・・と言うことですか」
それは二人からして見抜けないではなく、見抜きたくない・・・そういった気持ちになるだろうことを見越しての発言だと、頼人の言葉から安室は察する。自分達の責である事をより深く認めたくないからこそ、真実を知るのを避けたいという気持ちになるのだと。
「自分の目的の為に手段を問うつもりがない・・・そういった感情に考えを抱くこと自体は僕は否定はしません。実際にそういった姿勢でなければ出来ないことは存在します。ですが自分の行動によりどのような結果が出るかに周囲に影響を及ぼすか・・・それらを都合よく解釈して何も周りに迷惑をかけていないと思うどころか、父さんをあのような状態にまでしたというのに理由があるからということを前提にしても謝罪することも出来ない・・・少なくとも僕はそんな及び腰で都合のいい方々とこれ以上もう交流したくはありませんよ」
「辛辣だな、頼人君・・・」
「ですが事実です。新一君達は気持ち的には正義の味方であろうとはしても、汚名に泥を被るような事をして悪評を受け入れられるような心根は持ってはいません。本来探偵という存在は頼りにされる一方で、疎まれる事も有り得る職種である筈なのにです」
「っ!・・・言われてみて、確かにと思ったよ・・・そもそも探偵という職業は恨まれてなんぼとは言わずとも、良くない感情を向けられることは普通に有り得る上に大々的に活動するような物ではないとね・・・」
その上でキツい言葉を口にしていく頼人に安室は苦笑気味に返すのだが、新一は本来探偵という存在に向けられる物に慣れてないと返された時にハッとした表情になった上で納得した。頼人の言うことは間違いではないと。
.
ただ安室はそこで不安要素とも言える新一と優作の能力についてを指摘する。二人・・・特に優作なら小五郎達の事実に辿り着くのではないかと。
「それは然程問題ではありません。まず嘘を嘘ではないと信じさせるには、真実を織り混ぜることが効果的です。全てが全てを嘘だけで塗り固めた物など、却って嘘だとばれやすくなりますからね・・・ですがそれくらいなら二人も見抜ける可能性はありますが、あの二人がわざわざ僕達の事を見抜こうとするとは思っていません」
「見抜こうとしない・・・それは、どういうことですか?」
ただ頼人も想定済みといった返答をする中で、見抜こうとしないとの意味深な言葉に安室は眉を寄せる。
「これ以上良心の呵責に苛まれるような事態になるのを避けたいと思うからですよ・・・今まで二人が出会い解決してきた事件と違い、今回は首を突っ込み事実が明らかになればなるほど僕達が工藤一家に対して控え目に言っても距離を取りたいという事が分かっていく事でしょう。現時点ですら麻酔薬を撃ち込んできた事からその対象を避けている、というように伝わっているのですからね」
「けれど当の本人達からすればその事実は黙っておきたい事であるからこそ、必要以上に毛利さん達の事を掘り下げたくない・・・と言うことですか」
それは二人からして見抜けないではなく、見抜きたくない・・・そういった気持ちになるだろうことを見越しての発言だと、頼人の言葉から安室は察する。自分達の責である事をより深く認めたくないからこそ、真実を知るのを避けたいという気持ちになるのだと。
「自分の目的の為に手段を問うつもりがない・・・そういった感情に考えを抱くこと自体は僕は否定はしません。実際にそういった姿勢でなければ出来ないことは存在します。ですが自分の行動によりどのような結果が出るかに周囲に影響を及ぼすか・・・それらを都合よく解釈して何も周りに迷惑をかけていないと思うどころか、父さんをあのような状態にまでしたというのに理由があるからということを前提にしても謝罪することも出来ない・・・少なくとも僕はそんな及び腰で都合のいい方々とこれ以上もう交流したくはありませんよ」
「辛辣だな、頼人君・・・」
「ですが事実です。新一君達は気持ち的には正義の味方であろうとはしても、汚名に泥を被るような事をして悪評を受け入れられるような心根は持ってはいません。本来探偵という存在は頼りにされる一方で、疎まれる事も有り得る職種である筈なのにです」
「っ!・・・言われてみて、確かにと思ったよ・・・そもそも探偵という職業は恨まれてなんぼとは言わずとも、良くない感情を向けられることは普通に有り得る上に大々的に活動するような物ではないとね・・・」
その上でキツい言葉を口にしていく頼人に安室は苦笑気味に返すのだが、新一は本来探偵という存在に向けられる物に慣れてないと返された時にハッとした表情になった上で納得した。頼人の言うことは間違いではないと。
.