一方的な正しさは許される物ではない
・・・そして数時間後、また場面は小五郎達のホテルへと移る。
「・・・と言うわけで、優作さん以外は不満そうではありましたが毛利さんを元に戻さないようにすると共に、考えなしに毛利さんの元に行かないようにするとも約束をしていただきました。完全に納得はしきれてはいないのはどうしようもないでしょうがね」
「えぇ、それくらいは想定済みです。わざわざありがとうございました、安室さん。また僕達に協力していただいて」
「いや、気にしないでくれ。実際に僕も工藤一家と話して良かったと思っている。特に蘭さんの反応はあまりいい兆候だとは言えないと確認したからね」
「それは仕方無いでしょう。蘭の性格からすれば0か100かのどちらかのハッキリとした結果を望むのは目に見えていますし、中途半端に自分達が悪者扱いのような状況になり自分の要求が通らないのを耐えるような状態など、望むべくも無いですからね。とは言え安室さんのおかげで簡単には暴走はしないでしょうけれどね」
「中々に手厳しいことを言うね・・・」
・・・小五郎ではなく頼人が取っている部屋の中、再び来訪した安室は頼人に経緯を説明していくのだが妹に向けるには中々に辛辣な言葉を受けて苦笑いを浮かべる。
「ですが事実です。蘭は工藤一家と違い、毛利家の一員だった身ですからね。それがさも自分が仲間はずれのような形を取られているといったように感じれば、蘭からすれば面白くないのは目に見えていました」
「・・・蘭さんは毛利さんの体の事で、自分も当事者になりたかったと?」
「蘭基準でという意味で、良くも悪くも明け透けにいたいという気持ちが蘭にはあるんですよ。隠し事はしたくないし、されたくないと言った気持ちが。ですが蘭はそれを自分の言いたくないことに関しては線引きをきっちりと行うのに対し、僕や父さん相手では隠し事は全てを話せといったスタンスになるんです。女である自分は言うべきことは言っているのだから、男である僕達はそれ以上をと求める形で」
「あぁ、それが良くも悪くもの悪くもという部分になるのか・・・」
「えぇ。ですがその基準はあくまで自分が納得出来るかが主であり、時にはその対象に求める物を得られるまで躍起になることも僕は度々見てきましたし経験もしてきました・・・そんな蘭だからこそ、僕達が全てを知っているとなれば蘭は僕達の事を許せないでしょう。それこそ父さんの病状に立場と言った全てを始めとして、何も言わなかったのはお父さんの方じゃない・・・と」
「・・・新一君や僕達に内緒で協力していたことは自分の事だから、別に気にすることもなくそのような事を言うと・・・」
「えぇ・・・ですがそれを認めてしまうということは蘭と新一君達にとっては良くても、僕達からすればとても気持ちの良いことではありません。蘭にとって都合が良すぎる事もそうですし、自分や工藤一家の方が上だ・・・そう言っているのと同じような物になりますからね。だからこそ僕は多少の事実こそは明らかにしはするものの、決して核心は明らかにはしないようにと父さんと母さんと話したのです・・・もう工藤一家と深く関わるつもりもないからというのも含めて、本心を明らかにして気まずくなるよりはいいだろうと」
「・・・君達の立場を考えれば工藤一家ともう関わりたくはないだろうね、それは・・・」
そのまま蘭に対しての様々な言葉を発していった上で新一達と今後も深く関わるつもりはないと言い切る頼人に、安室も否定を返せず同意するしかなかった。これまでの頼人達の考えに話を聞いてしまっているのもあるが、安室自身も頼人達に寄った考えになっているために。
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「・・・と言うわけで、優作さん以外は不満そうではありましたが毛利さんを元に戻さないようにすると共に、考えなしに毛利さんの元に行かないようにするとも約束をしていただきました。完全に納得はしきれてはいないのはどうしようもないでしょうがね」
「えぇ、それくらいは想定済みです。わざわざありがとうございました、安室さん。また僕達に協力していただいて」
「いや、気にしないでくれ。実際に僕も工藤一家と話して良かったと思っている。特に蘭さんの反応はあまりいい兆候だとは言えないと確認したからね」
「それは仕方無いでしょう。蘭の性格からすれば0か100かのどちらかのハッキリとした結果を望むのは目に見えていますし、中途半端に自分達が悪者扱いのような状況になり自分の要求が通らないのを耐えるような状態など、望むべくも無いですからね。とは言え安室さんのおかげで簡単には暴走はしないでしょうけれどね」
「中々に手厳しいことを言うね・・・」
・・・小五郎ではなく頼人が取っている部屋の中、再び来訪した安室は頼人に経緯を説明していくのだが妹に向けるには中々に辛辣な言葉を受けて苦笑いを浮かべる。
「ですが事実です。蘭は工藤一家と違い、毛利家の一員だった身ですからね。それがさも自分が仲間はずれのような形を取られているといったように感じれば、蘭からすれば面白くないのは目に見えていました」
「・・・蘭さんは毛利さんの体の事で、自分も当事者になりたかったと?」
「蘭基準でという意味で、良くも悪くも明け透けにいたいという気持ちが蘭にはあるんですよ。隠し事はしたくないし、されたくないと言った気持ちが。ですが蘭はそれを自分の言いたくないことに関しては線引きをきっちりと行うのに対し、僕や父さん相手では隠し事は全てを話せといったスタンスになるんです。女である自分は言うべきことは言っているのだから、男である僕達はそれ以上をと求める形で」
「あぁ、それが良くも悪くもの悪くもという部分になるのか・・・」
「えぇ。ですがその基準はあくまで自分が納得出来るかが主であり、時にはその対象に求める物を得られるまで躍起になることも僕は度々見てきましたし経験もしてきました・・・そんな蘭だからこそ、僕達が全てを知っているとなれば蘭は僕達の事を許せないでしょう。それこそ父さんの病状に立場と言った全てを始めとして、何も言わなかったのはお父さんの方じゃない・・・と」
「・・・新一君や僕達に内緒で協力していたことは自分の事だから、別に気にすることもなくそのような事を言うと・・・」
「えぇ・・・ですがそれを認めてしまうということは蘭と新一君達にとっては良くても、僕達からすればとても気持ちの良いことではありません。蘭にとって都合が良すぎる事もそうですし、自分や工藤一家の方が上だ・・・そう言っているのと同じような物になりますからね。だからこそ僕は多少の事実こそは明らかにしはするものの、決して核心は明らかにはしないようにと父さんと母さんと話したのです・・・もう工藤一家と深く関わるつもりもないからというのも含めて、本心を明らかにして気まずくなるよりはいいだろうと」
「・・・君達の立場を考えれば工藤一家ともう関わりたくはないだろうね、それは・・・」
そのまま蘭に対しての様々な言葉を発していった上で新一達と今後も深く関わるつもりはないと言い切る頼人に、安室も否定を返せず同意するしかなかった。これまでの頼人達の考えに話を聞いてしまっているのもあるが、安室自身も頼人達に寄った考えになっているために。
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