光が強まれば強まる程に影も濃さを増す

「まぁそういったように申し訳無いみたいな雰囲気を出せば引くみたいな素直な部分はともかくとしても、依頼が来ないことがおかしいっていうか落ち着かないみたいな事になるのはちょっとって感じちゃいますよ。それもこれも花宮さんが言ったようにもう探偵として在ることもそうですけど、事件が自分の周りで起きないことは工藤さんにとっては有り得ないってことなんですよね?」
「だろうな。そしてそこに追加して言うとそれをいかにも英雄然としたように解決したって風にしてぇって欲求も加わるが、そういった姿勢がより他の探偵やら興信所やらに不快に思われるかなんか考えねぇってのがな。特にいかにも自分は正しいながらも清貧な風に動いてるって感じにしてることについてな」
「あぁ・・・工藤さんのあの態度というか色々な物は、確かに清貧って言うにはちょっとどころじゃなく違いますもんね・・・」
高尾もそのやり取りに続くように話をしていく中で、花宮が返していった言葉の中で清貧という単語に何とも言い難いといった様子を浮かばせる。あれは清貧ではないというよう。






・・・高尾が新一の事を清貧と言えないといったような様子になったのは何故かと言えば、とても新一が貧困に喘いででも依頼人の為になるならといったような様子を見せていない姿にあった。

これは新一が事件が起きた時元々の依頼が殺人が起きることなんか予想していなかっただとか、依頼人が事件で死んでしまうといったような場合にお金はいいというように固辞する事が多々あった。こんな状況になったんだから金はいらないというよう。

そういった新一の姿勢は確かに一見するなら良心的だったり人としてあるべき姿だというように思う者もいるだろう。お金の事より人の事を気遣って済ませるその姿にこれこそが探偵という英雄の在るべき姿だというよう。

しかしそういったことをされた事により度々他の探偵や興信所といった所に、新一のように相手の事情を鑑みてタダ働きしてくれないのかといった、図々しいどころではない要求をぶつけてくるような存在を生み出すという結果を生んでいた。それくらいやってくれというよう。

だが探偵も興信所も慈善事業で仕事をしている訳ではない。あくまで依頼人という客から依頼料という金を受け取り、依頼を果たすことで自身らの生活を成り立たせる事が出来ているのだ。だからそういった依頼料が無ければ生きていく飯の種にならないというのに、新一がそういった事を度々やっていることは同業者達を一層苛立たせる要因となった。

ただそんな普通なら自身にとっても貧困を招くだろう決断を容易に新一が選んだのは、新一自身がそうしたかったというのも勿論あるのだがそこに加わる理由として、新一の親であり今も世界的な推理小説家として有名である優作が新一の生活資金を度々援助していることにあった。

これは新一の為というよりは新一と結婚した蘭の為といったような理由から、生活資金を援助していったのである。新一が度々事件が起きた時に依頼料を取らずに終わらせる事があるから、それで蘭が生活苦に陥らないようにというような物からだ。

しかしその資金援助の額は成人した夫婦に一度援助する額とは到底言えないような額であり、一律でこれだけの額という事はなかったがそれでも数十万といった金額は確実に振り込まれる事が常であって、場合によっては百万の桁に乗ることもあった・・・新一が依頼料を取ることを選ばなかったことが連続して続いたことから、その分を補填するというようにだ。

これに関しては優作や有希子もだが蘭も色々と言いはするが最終的には新一らしいというように笑って、新一もまた優作達が解ってくれるという状態に笑って返すことが常だったのだが・・・そういったように優作が金を出すということから探偵として資金繰りに苦労した様子を見せないどころか、普通の探偵や興信所の人間では身に着けないような高級なスーツを始めとした高級品に身を包んでいる上で、困窮した様子など一切見せたことがないのである。

この辺りは武士は食わねど高楊枝という言葉があって見栄を張る人物は探偵や興信所の者でもいないとは言わないが、優作というスポンサーなりパトロンといった立場の人物がいることが、そんな見栄やら清貧といった物とは縁遠い状態に新一はいると高尾だとか他の興信所や探偵の人間達は確信している上で、一層新一の事を気に入らないとなる訳である。金の心配をしなくていい立場にいるからそんな清貧ぶった立ち居振る舞いをして、自分達にも間接的に迷惑をかけてきた事に。









.
20/24ページ
スキ