一方的な正しさは許される物ではない

「それは立場の違いからです。貴殿方は組織と少なからず対峙して協力をしてきたからこそ立場的には味方であり便宜は図れますが、毛利さん達はあくまでも部外者・・・そんな部外者に対して放っておいて大丈夫だとどこの上層部も判断はしないでしょう。特に妃弁護士は社会的な地位の高さに加えて、下手をすれば我々や貴殿方に対して訴訟を起こすという可能性もあると考えるでしょう」
「訴訟って・・・」
「毛利さんの体調を理由に切り出せば有り得ないことではないですよ。何しろ麻酔薬を無許可で何度も体に撃ち込まれる形で利用され、長期間入院する事になったのですからね。ですが事を明るみに出したくない我々からすれば一連の流れを口にされるだけでも避けたいことですので、それこそ妃弁護士が引かない限りは始末に取り掛かると判断する所もいてもおかしくないということです」
「そんな・・・っ!」
「信じたくないでしょうし僕も進んでそういったことはしたくはありませんが、可能性として十分に有り得るということです」
そうなる理由は何かに加えて、一番危険なのは英理でどういった事態になりうるか・・・安室から語られるそれらに蘭は戦慄したような声を上げるが、否定出来る要素はないと強く言い切る形で告げる。
「さて、新一君。君に始めから毛利さんに病院送りにするだけのダメージを与えるつもりがあってそのようなことをしたのではないことは、付き合いがあるから理解はしている・・・しかし故意ではない過失とは言え、君のやってきたことが毛利さんに多大な被害を与えたことは事実だ。だが・・・君に蘭さんや優作さん達は、事実を言うことを許されない立場にいる。それは今までの話から分かるだろう?」
「・・・それは・・・でも・・・」
「自分が動かなければあの組織は壊滅させられなかったし、自分も元には戻らなかった・・・そう思うのは君の自由だが、そもそもを言うなら君が麻酔の副作用についてを考えず毛利さんを黙って利用するだけしてきたからこその結果だ。なのに理由があるから許されたいか、もしくは蘭さんから言わせれば新一君が戻るために必要なことだったと毛利さんに尚言いたいと言うのであれば・・・最早、君達に毛利さんに謝る資格はない。許さなければ許すまでなどと自分達からしての大義を盾にしながら言うのは、傲慢でしかないよ」
「「っ!!?」」
・・・そして安室から告げられた傲慢との言葉に、新一と蘭は今までで一番衝撃を受けたよう体を後退りさせてしまっていた。謝る資格すらないと、そこまで言われてしまった事もあり。
「・・・今言われた事実を受け入れられるかどうか、それは今すぐには難しい事だろう。だがあれだけ言っても諦めがつかないと言うのであれば、君達の行動を看過することは僕には出来ない。だからこそ言わせてもらったが、自分達の選択が間違ってないと行動に移すのなら・・・僕はすぐさまに君達を拘束しに行くし、毛利さん達の身柄の拘束かそれ以上の事を行う。それだけは肝に命じておいてくれ」
「「っ・・・!」」
その上でもしもの場合は自分は容赦はしないと暖かみなど一切ない鋭い視線を向ける安室に、新一と蘭の二人はたまらず苦い表情になってうつむき口をつぐんでしまった。安室が本気であると感じたこともそうだが、傲慢と言われたことが重くのしかかってきた為に。









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