一方的な正しさは許される物ではない

「妃弁護士の性格を考えるならそうなるのは僕の目から見ても確かでしょうが、そもそも蘭さんの発案は毛利さんの体調よりも新一君が許される事の方に重きを置いた発言と同義と取れる物です。勿論組織の事を知っていたかそうでないかの違いはありますが・・・その部分を差し引いたとしても、先程の本当に毛利さんの身を案じる妃弁護士に頼人君の姿からそれなら許すと簡単に首を縦に振るとは僕は思いませんよ」
「だ、だったら何度でも説得を・・・」
「生憎だが何度も説得をして納得してもらうつもりは僕にはありません。と言うよりは事実を知った時点で毛利さん達の立場が僕が仮に何もしないと仮定したとしても、一気に不自由な物に不利な物へと転落するのがオチですよ」
「えっ・・・!?」
それでいかに英理と頼人の説得が難しいかを語る安室にならと蘭は諦め悪く言いかけるが、不穏な流れが出来るというような返しにたまらず声を上げた。何があるのかというよう。
「・・・一体何が起きるというのですか、安室さん?」
「組織の事については決して関係しなかった人々の前では話さないようにと厳しく言われているのは貴殿方もご存知でしょうが、もし事実を明かしたとして毛利さん達が納得しないとしたなら・・・僕達公安もそうでしょうが、赤井達のFBIに水無達のCIAが動いて最低でもその行動を自身らの監視下に置くか、最悪な場合は・・・機密漏洩を防ぐためにと、始末に取り掛かる事を選択することも有り得ないとは言いきれません。そして貴殿方も最低限監視下に置かれることも覚悟しなくてはならなくなることは避けられなくなる可能性が一気に出てきます」
「「「「っ!?」」」」
優作は慎重にその先についてを聞くのだが・・・毛利一家も工藤一家も全てを巻き込んで酷い状況に陥る可能性があると告げる安室に、四人は一斉に驚愕の表情を浮かべた。一番冷静で頭が回りこういったことには知識がある筈の優作までもがだ。
「組織の情報漏洩は組織が壊滅して五年が経った今でもご法度だということです。貴殿方は組織の壊滅に協力をしてくれた上でその事は表沙汰にしないと言ってくれたことから特例としてそういった監視下に置くといった事はされなかったのでしょうが、それを自ら打ち破った上で秘密を明かしかねない存在を作ったとなれば貴殿方にも当然その責が及びます。秘密漏洩の責が」
「そ、それが安室さんが動かなくてもって・・・」
「赤井に水無達はそうしたくはないとは言いつつも、貴殿方に対して何らかのアクションをするのは間違いありません。ただまたFBIやCIAの奴らを日本に来させるような事にはしたくはありませんので、そんなことになれば僕は率先して動きます。そして優作さんに有希子さんは海外の拠点に戻ったとしても、公安の目はともかくとしてもFBIとCIAの目は確実に貴殿方に向くでしょうね」
「・・・私達にも責任があるから、ですか・・・情報漏洩の責が・・・」
「えぇ。そして新一君に蘭さん・・・特に蘭さんはその一挙一足に注目され、以降は自由に行動出来なくなる可能性が高くなります。それは僕がどうにかと陳情した場合でもそうですし、FBIにCIAが先んじた場合でもです」
「そん、な・・・」
「繰り返すようですが、それだけあの組織の機密が漏洩することは避けたいと思われる物なのです。そして事実を知ってしまったなら毛利さん達は同じよう・・・いえ、貴殿方以上に過酷な目に合うことは間違いないでしょうね」
「そんな・・・何でお父さん達が・・・!?」
安室はいかに情報漏洩について自分達や赤井達が厳しくいくかについてを話していき、その内容に蘭が戦慄していた所に更に小五郎達がそれ以上の目に合うと言われて何故と声を大きくした。そうなる理由が分からないと。









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