千夢一夜の終わりに見る実像

この辺りはマユリが言ったように新一が名誉を築き上げることが本来はどれだけ難しいかもだが、時間がかかるのかを考えていないことにあった・・・新一が見ていた夢では組織を壊滅するまでの数ヶ月の間で、然程時間もかからず小五郎は名探偵と呼ばれるようになったと思っていたようだが、現実ではそう上手くいかなかった。

といっても名探偵とまでは言わずともある程度腕のいい探偵というくらいまでは、優作達が戻って来るまでは小五郎の名誉を上げるくらいには行っていた。だがそれも夢の中ではなく現実的な時間の流れから見てみると、一月に多くても二つ事件を小五郎が解決したと見せるのが精々の状況での半年という程度の時間では、ハッキリ言って新一程ではなくともそんな依頼が常に来て千客万来なんていうような程の名誉になる筈がなかった。それこそ夢の中での名探偵毛利小五郎といったような皆が皆誰もが知っていて、その名誉を頼りに数多の依頼を人々がしてくる程までではないと。

だがあくまでそれは本質的な物ではないというか、一つの原因でしかないとマユリは言っている。まだ他の原因があると・・・






「衝撃を受けているようだが次に言わせてもらいたいこととして、そもそもの話としてその男達とやらが裏社会に属する者達だということくらいは最初から君も分かっていただろうが・・・そんな裏社会の人間達が自分達に繋がるような何かについて、そうそう安々と外部に漏らすような愚か者ばかりだと思っていたのかネ?」
「え・・・?」
そんな反応を見た上でマユリは続けての問題点についてを挙げた上で問いを投げ掛けるのだが、新一が不安げに困惑の様子を浮かべた事に気に入らないとばかりに表情を歪める。
「・・・呆れた物だ。君からしたら夢に見ていた中身が盛大に尾を引いているという言い分はあるのだろうが、その組織とやらを追っていて君と協力したという各機関とやらも何年もかけても組織を壊滅させることが出来なかったというのに、そんな組織が一般人に情報を漏らすだとか漏れるといったようなミスをそうそう簡単に起こすかもだが、探偵に組織の事を中からか外からかもだが組織の事を知ってか知らずかもともかく、組織の事に関しての何らかに繋がるものを誰かが依頼してくるなんてまず有り得んだろう。君が現実の半年という時間で精々知れたのがその男達のコードネーム程度だった事も踏まえて考えれば、すぐに分かると思うがネ」
「っ!!」
そこから隠しもしない侮蔑を盛大に含んだマユリからの言葉に、新一は更に衝撃を受けて息を詰まらせる以外になかった。夢と現実の違いをまざまざと突きつけられる形になったことに。






・・・夢の中で新一は小五郎の元にいながら組織に関する依頼が舞い込んでくるだとか、組織の人間に偶然からでも近付く機会を待つ形でいた。これは組織を追いたいと思ってもどこが拠点であるのかが分からないことだとか、仮に拠点が分かっても故あればその拠点を証拠隠滅をする形で破棄する事を聞かされたから、そういった千載一遇の機会を待って徐々に動く以外にないと見たからだ。

そしてそういった活動の末に半年程の時間を雌伏しながらも動いていった結果として、組織を壊滅させて元の体に戻ることが出来たというように思っていた新一だったのだが・・・現実から見てみれば到底有り得ないというのがマユリからの言葉なのである。









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