千夢一夜の終わりに見る実像

「どうやら信じたくなくともそれが真実だと感じたようだネ。ただそんなことを言わずにずっと甘美な夢を見させてほしかったというように君からしたら思った事だろうが、君がこうであったら良かったというように見ていた夢を君につけた装置から映像に興して見ていると、お節介に思っただろうが現実を思い返させねばならんと思ったからあぁしたのだヨ」
「げ、現実って・・・」
「まぁ色々言いたいことはあるのだが、まず一つはローマは一日にしてならずという言葉が指し示すのと同じように、名誉という物は一朝一夕に築ける物ではないのだヨ」
「え・・・?」
そんな反応を見た上で何故現実を見せたのかということについてを話していくマユリだが、一つ目というように称された言葉に新一は戸惑いを浮かばせる。
「君からしたら探偵活動をしていたら自然と高校生探偵というように呼ばれるようになっていった事から、名誉を苦労して築き上げたなんて自覚はないのだろう。だがネ、名誉という物は余程大きな事をしなければ一度では名誉というように思われないが・・・それが何なのかと君は思うだろうから言ってやるが、君達が毛利小五郎を名探偵に仕立て上げればどうにかなると思っていた事がそもそもの間違いだったということだヨ。君みたいな実力がある探偵というような名誉がないどころか、むしろマイナスの方面の評価しか下されていない閑古鳥が鳴くような存在が何個か事件を解決した位で、組織とやらに繋がる可能性の何かを精々が半年程度といった時間くらいで手繰り寄せるだけの信頼と名誉を簡単に手に入れられる訳など有り得る筈がないとネ」
「っ!?」
だがマユリが続けた新一と対比した上での小五郎の名誉がどんな状態だったのかという言葉達に、新一も瞬時に顔を青くするしかなかった。とてもではないがマユリの言った事を考えるとそれだけの名誉がすぐに手に入れられるとは思えないというよう。






・・・マユリは遠慮など一欠片たりとて入れる事なく言ったが、新一が小五郎の元に転がり込む事になった時の小五郎の探偵の評価に関しては、どう控え目に言った所で普通の探偵として見ることも出来ないというような物だった。これは新一という存在が近くにいて活動していたこともあるが、新一が潜り込んでくる前から昼間から酒を飲んでいるだとかしていて、普通に見てろくでもない探偵としか思えないといったような立ち居振る舞いをしていたからだ。

だから友人などと接する時はともかく探偵としての小五郎は周りからは頼りない人物として見られていて、新一が探偵として有名となっていったことも加わる形で米花町では頼るような存在というように見られる事は一切無かった。それこそへっぽこ探偵と新一にも心中で見られ、頼れるはずが無いと言われる形でだ。

しかしそんな存在である小五郎を阿笠からがきっかけとは言え、新一は利用することを選んだ。探偵という立場にあることや身近でいて探偵という存在が小五郎だということで、『江戸川コナン』の隠れ蓑の存在としてちょうどいいとだ。

それで小五郎の元で時折来る依頼を解決しながら組織に繋がる何らかのモノを手繰り寄せようと新一は考えていた訳だが・・・まぁそもそもその考えが行き当たりばったりといった事によるいくつもの弊害もあるが、その最もたるものがマユリの言ったようにろくな評価を得られていない小五郎を利用する事を選んだ事であった。そんな存在が都合がいいというように選んだことが。









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