千夢一夜の終わりに見る実像

そんな風に辛さを滲ませながらも理解をしたといった新一の姿にもう『工藤新一』という存在を終わらせると共に、もう新一が『江戸川コナン』として生きていくと決める分水嶺である事もだが、限界の時に差し掛かっているのだと優作達は告げた。そして米花町近隣にいることもそうだが探偵として活動したいという気持ちについても、止めるべき時だと。

新一はそんな言葉に米花町近隣にいることはともかく、探偵として活動したいのを止めろと言うのはどういうことかと不安げな様子で問い掛けた。今までの話の流れから明らかに新一からして聞きたくない理由であると共に、否定したくとも出来ない何かではないかという予感を感じた為に。

そしてその予感通り優作が返した理由は新一にとってあまりにも受け入れ難く、そして理解せざるを得ない物だった・・・今の時点ですら『江戸川コナン』として度々事件に出会い解決していく事について、周りの友達と共に少年探偵団といったように認知されていっているが、そんなことが続けば成長した体と顔も見せることになっていき・・・早ければ成長期が来た頃にはもう『江戸川コナン』と『工藤新一』を結び付ける者達が出て来る可能性は大いに有り得るからこそ、もう探偵としてもだが他のことでもメディアに顔出しするといったことはとても歓迎出来る物ではないということは。

そう聞かされて否定はしたくとも探偵としてでなくどんな形でも、これからメディアに顔を出すこと自体がリスクになる事は理解せざるを得なかった。特に中学生になる頃には完全にとは言わないまでも『工藤新一』としての肉体にかなり近くなっていて、声変わりも果たしている事からもうその時には『工藤新一』と『江戸川コナン』を結び付けられる可能性が俄然高くなることについては。

そんな風に新一が嫌でも納得せざるを得ない状態になっているのを見た上で、もうここで『江戸川コナン』・・・いや、『工藤コナン』になると本当の意味で選択してくれないと、戸籍だとかパスポートを作ることが出来ずに海外に出ることもだが、以降の行政の何かしらに引っ掛かる可能性についてを優作が言うと、新一はたまらず顔を引き攣らせてしまった。

何せ『江戸川コナン』は新一が元の体・・・つまりは『工藤新一』に戻るまでに仮に名乗るだけに作った立場であり、目的を達成すればさっさといなくなったで済ませようと思っていたモノなのだ。だから戸籍といった物なんか当然作ることなく今まで何となくの雰囲気で流してきたのだが、それがいつまでも続くかどうかなんて保証されていない上にパスポートが作れないとなれば外国に出ることはまずまともな手段では無理であって、現にこの一年は優作が仕事で海外に行く時は有希子は基本的に新一と日本に残ることにしていたのである。

だから新一としても色々歯痒い思いをしていたのだが、今までの話の流れを統括するように『江戸川コナン』は『工藤コナン』として優作達の養子となり、戸籍を作る形を取って海外に出て大人しく暮らす以外に穏便に済ませる事は出来ない・・・そう優作達から言われて新一は相当に葛藤して数日程の時間を考えることに費やすことになったが、もう『工藤新一』に後数年で戻れる可能性がほとんどないということが一番の重荷となって、最終的に『工藤コナン』という人間になることを受け入れると返した。もうこれ以上元に戻ることを諦められないと言うのは止めると、心が折れたというのを隠しきれていないというよう・・・









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