いつかを変えることの代償 中編

「・・・意外ですか?私が言ったことは?」
「い、いや・・・あ~、正直に言えばそうだ。今まで話してきた感じからして明智は新一達と同類に感じたもんだから、つい誰に何と言われようが組織と戦うなんて道を選ぶもんだと思ってな・・・」
明智がその反応に首を傾げながら問うと、小五郎は迷いはしたが正直に思ったことを返す。新一達のようにすると思ったと。
「・・・今毛利さんは彼らと私を同類と言いましたが、そうではないと私は思っています。いえ、もっと言うなら・・・私は彼らと一緒にされたくはないとすら思っています」
「は・・・?」
その疑問に対し、いっそ新一達を嫌ってるのではと言うほどの否定の答えで明智は返し、小五郎は呆気に取られた。何故そんな答えが返ってくるのかといったよう、理解出来ないとばかりに。
「・・・何故、と言いたいような表情をされていますが、単純に前から工藤君のことを聞いていた時からあまり好ましくないと思っていただけですよ」
「何でだ?あいつが解決してきた事件は数も多く、警察も大分助けられてきたはずじゃねぇのか?」
「・・・そうですね・・・それを説明するには、私の事をお話した方が早いと思いますからまずはそのお話をお聞きいただけますか?」
「あぁ・・・説明出来るってんなら、そっちの方がありがてぇが・・・」
その表情に明智は率直に気に入らないと言ったように返すが、小五郎が納得出来ないと口にする様子に自分のことを話すと切り出して一先ずは戸惑わせながらも了承させる。
「・・・私は逆行前の世界において、ある少年と出会いました。その名前は金田一一・・・かの金田一耕助の孫になります」
「金田一耕助の孫?・・・なんつーか、すげぇサラブレッドに感じる肩書きだな。そんな有名人の孫だなんてよ」
「えぇ。その言葉通り彼はいくつもの事件に出会い、それらのことごとくを解決していきました。おそらく推理能力においては金田一君と工藤君の二人は然程変わらない程の能力があると私は見ています」
「・・・じゃあ何で新一の方は気に入らないなんて言うんだ?話を聞く限りじゃその金田一って奴の方は気に入ってるというように聞こえんだが・・・」
そこから明智は金田一といい人物と新一との対比を口にするが、小五郎はたまらず口を挟む。似たような二人が何故差が現れるようになるのかと。
「・・・私も金田一君に会っていなければここまで考えるようになっていなかっただろうと思いますが、金田一君が普通の子どもだったからこそ工藤君の探偵とはかくあるべき・・・と言った気持ちを話に伝え聞くだけでも感じたことにあります」
「・・・かくあるべき?」
「簡単に言うと探偵は正義の味方・・・ヒーローであるのが当然といったような考えが工藤君にはあったのではないかと私は感じたんです。現実のと言うか、現代の探偵がいかなものか・・・その仕事にはまるで目を向けていないような考えを」
「現代の、探偵・・・っ!」
明智は新一がどんな風に考えていると感じたのかについてを言葉にしていくのだが、その中身に小五郎はハッとする。何かに気付いた、と言うよりは心当たりを思い出したといったように。









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