端から見た者と当事者の感じ方のズレ

「そうか。ならもうあの二人の事については終わりだな」
「えぇ、それでいい・・・と思ったけどその前に、最後に一つ聞きたいことを聞いていいかしら?」
「何だ?」
それでジューダスが納得して終わりと口にした事に聞きたいことがあると返した園子に、何かと問い返す。
「あの動画でジューダスは英雄について色々と言っていたけど、そのそもそも英雄についてを考えるきっかけになったのって誰なのか気になるっていうのもあるけど、その誰かは結局どうなったの?話の中身的にその誰かは英雄になる事を止めたとか諦めたみたいに聞いたから、その後の事を聞きたいんだけど・・・」
「そのことか・・・」
そこで園子が切り出したのは話の中に出て来た誰かのその後を知りたいということで、ジューダスはそっと目を閉じる。
「・・・もうあいつと会ったのは相当前の事であってあいつとは会うことは出来ん状態にいるから、どうしているのかを僕は知る術を持たん。その上で別れる前の事までを話すが、あいつは時間が経っていく内にそういった自分の中の憧れといった英雄になる気持ちは変わっていき、一人の為の英雄となるようになった」
「一人の為の英雄って、それって彼女ってこと・・・?」
「概ねそんなものと認識して構わんが、あいつがその存在の為の英雄となって望まれたことを成し遂げた後に僕はあいつと離れる事になったから、以降はそいつがどうしているかにどうなったかは分からんが・・・僕はあいつの事は心配していない。あいつは何かあってもそれを乗り越えられるだけの強さを持っているからな」
「・・・ジューダス・・・」
そうしてジューダスは目を閉じたままで話をしていくのだが、その相手を思い出しているのだろう柔らかい微笑を浮かべる姿に園子はただ名前を口にする。付き合いが長い園子でも滅多に見ないジューダスの穏やかさを感じさせる微笑に、触れてはいけない何かを感じて。
「・・・まぁその点では新一は大衆の求める探偵という英雄としてこれからも存在することは出来るだろうが、新一は探偵としてという枕詞を外した上で一人の人間として蘭の為の英雄となることなど到底出来んだろう。例えもう新一がいくつも解決してきたような厄介な事件は二度と起きない状態に出来たとして、空いた時間を蘭の為に使えなどと言った所でそんな探偵に戻りたいといった気持ちを捨てきれず、結果として蘭の不満を始めとしたものに向き合う事は結局ないといったようにな」
「あぁ・・・確かにもう事件が起きないってなったんだからで、新一君が普通の探偵としての依頼だけで満足なんて光景は絶対に思い浮かばないわね。一応というか言葉では事件が起きないんならそれでいいみたいに言いそうではあるけれど、絶対に内心で愚痴るだけで収めるだなんて出来ずに態度に出しそうだし」
「だろうな。そしてそうなったなら蘭が我慢出来るなんて想像は出来んが、同時にそうなるよりは今の状況の方が断然にマシとも言える。何故ならそういった英雄としての探偵というように動く新一の事を、何だかんだといった形で好きであるからこそ不満はありつつも共にいたのに、そういったような新一らしくない姿と発言に晒されるとなれば蘭の気持ちは確実に今より離れるだろうからな」
「うわぁ・・・そう聞くとそうなりそうだとしか思えないわ・・・蘭は新一君が探偵としてカッコいい姿に惚れてる部分は間違いなくあったけど、それが全く無くなったら蘭も蘭で新一君に対する気持ちが無くなりそうなのは・・・」
ただジューダスが目を開けて微笑を消して新一もそうだが蘭についても話をしていくと、園子は二人に対して引いたようになりながらも納得していった。いざ新一の周りから事件が無くなったら無くなったで、一層今の状態より悪くなる可能性が高いということになりかねないと。









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