帝丹小学校教師冴島大河

「結局の所として江戸川達は毛利達との関係もあって、利用しとることはすまんっちゅう考えはあってもそこに甘えとる気持ちが強いと俺は感じたんや。バレることなんぞ考えとらんかった様子やったのはお前らもよう分かったやろうが、その上で蘭ちゃんが江戸川の事をどうかっちゅうように言った時に本当に衝撃を受けとった姿を思い返すと、確実に心の中の結構な部分で蘭ちゃん達なら何だかんだ許してくれるやろうとか、もうここまで来たのなら江戸川のやろうとしとることに協力してもらおうみたいに考えとる部分はあったやろうとな」
「あぁ・・・そう言われるとそんな風な雰囲気でしたね。蘭からあんな風に言われるなんてみたいな気持ちは新一の様子から感じました」
「そう思うんなら話を続けるが、江戸川にそういった気持ちを感じたからこそ・・・そしてそんな風に自由にさせ過ぎた藤峰達の親としての無責任さを考えたからこそ俺は怒ったんや。自分の決めたもんを張り続けることも出来んし毛利達にどう思われようともなんちゅう意志を持たんアイツらに対してな・・・」
「「「っ・・・」」」
そうして冴島は自分から見て新一達の甘さがあまりにも酷かったとを話していくと共に、斜め上を見ながら遠くを見るようでいて何か悲しげな様子を浮かべる姿に、三人は息を呑むしかなかった。今までにない冴島の姿であることもそうだが、迂闊に何か踏み込んではいけないと思わせるだけの想いがこもっていると感じた為に。






・・・冴島がこのようになる理由は、ある一人の男だった。恩人であり友人である存在の龍が如き男の、かつての行動についてを思い出したのだ。自分の名前も親しい者達との縁も全て消すことを選んで、自身らに姿を見せた時も頑なに名前を口にすることすら拒んだ行動を。

その行動がどんな理由からだったのかを後から聞いて、冴島もだがその周囲もらしいというように理解した上で必要以上にその男に関わるようにしないようにした。それはその男の立場もあるが、それ以上にその男自身が望まない事だと思ったからだ。自分の決めたことをそうそう容易に覆すような男ではない事はよく知っていたことから。

そしてそんな男の事を知っているからこそ、新一達の行動であったり意識という物と比べるとあまりにも稚拙であると共に、それが数多の人々を騙して利用する物であったことを比較してしまい、冴島の気持ちが酷く沈み込む物になったのである。名前も立場も消していないしあくまで伏して活動しているだけというように新一達は思っていたのかもしれないが、あまりにも都合がいいとかそれどころではなくただ好き勝手やれていることに満足しているとしか思えないと。

その上で冴島は教師という職業になりたいという気持ちを一時は諦めて生きてきたのだが、そうなる機会を身がまっさらに漂白された形でやり直しという形で得られたことで教師になると選択したのであるが・・・元々から情に厚い上に担任している生徒と向かい合う気持ちを持っていたからこそ、新一達の事を許せないとなるのは当然だった。

だからこそ冴島は小五郎達と共に動き新一達をもう放っておける訳が無いと思い、小五郎の元から排除する為に動いたのであるが、その男との違いを思い出しながらあまりにも情けないと思わざるを得なかったのである。頭やら能力は常人より遥かに高いのは確かではあるのに、それが故にという形で本当の意味で強い意志に決意を持って人を巻き込まないように動くことだとか、自分達が悪く見られようが覚悟するように動けていなかった事に・・・









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