正しいから許されると誰が決めた?
「ただこれも、一応は前世の記憶に知識があってのことですからね・・・今更ではありますが、僕にLとしての記憶があってよかったですよ。そうでなければ今頃父さんがどういう立場に立っていたか、よくない状態しか想像できませんでしたからね」
そんな安室に対しての言葉から、頼人は普段なら口にしないだろう事を口にする。Lという記憶についてを。
・・・他人には信じてもらえないだろうという理由から誰にも話してはいないが、頼人には秘密があった。前世の記憶があり、それが全世界において最も有能な探偵であったLという前世の記憶が。
この事に関してはLは何故という気持ちもあったが、折角こうして再び生を得たのだから毛利頼人として生きる事にした。起きたことは仕方無いことだと、動きすぎる頭で冷静に考えてだ。
それで最初は色々と煩わしいことも多かった。ちゃんと甘いものだけじゃなくふつうのご飯を食べるようにだったり、姿勢をちゃんとして生活するようにといった教育をしてくる小五郎達の事が。
ただそれが子どもである自分の事を思い、その上で自分一人になってもちゃんと子どもに向き合ってくれる小五郎の事を親として頼人は好きになっていった。前世では才能ある孤児として引き取られ、親としての愛情になど触れる機会も知る機会も得られなかったことからその愛を身に受けた為に。
そんな小五郎に報いるよう、せめて小五郎達や場を考えた上での人前では前世の癖は出来る限り見せないように振る舞っていた。普通に出される物は量は多くないにしても食べるし、甘いものは基本的に理解のない者の前では多少しか食べず、椅子への座りかたも人前では矯正し、一人称も日本人として生まれたことから偉ぶってると思われないよう私から僕へと統一した・・・以前のLを知っている者からすれば、すごい変化だと思うことだろう。
・・・そんな頼人だが、一応は前世の記憶があることからおんぶにだっこでずっと小五郎に甘えるのは小五郎の負担になるから早く自立しようと飛び級でアメリカの大学に行こうと考えた。自分を育てるという負担がなければ小五郎も楽になると、そう思って。
その際に心配した小五郎達との話し合いがなされたが頼人が引く気を見せず、しっかりと話をした上でその大学に合格したことから頼人は日本を離れてアメリカの地を踏んだ。いずれこの為に出してくれた資金も小五郎に何倍にもして返す・・・そういった気持ちを胸に。
ただそうしてアメリカで暮らしてもう大学も卒業間近に迫った今になり、小五郎から体について異常があるとの連絡を受けた時は頼人の頭の中は非常に冷静でいて、論理だてた推測を猛スピードで組み立てていく中・・・江戸川コナンに対して、気持ちのよくない想いが沸き立っている事も感じていた。前世での最後に関わったある事件での戦いでもほとんど抱かなかった、怒りという想いを。
その最後の事件の時に抱いているのは正義感やそんなものではなく、頼人自身自分で理解していたが単純にその犯人に負けたくないという意地から来る気持ちだった。稚拙な負けず嫌いだというように自分自身を評した事もあるが、その時はその事件の犯人との争いを制したいという気持ちが強くあった。そこに犯人に対する正義感もそうだし、ましてや怒りなどはなかった。
しかし小五郎の健康状態を著しく損なわせた上で、出るわ出るわの小五郎を利用していく江戸川コナン・・・いや、新一の行動には怒りを感じてしまっていることに頼人は次第に気付いていった。自分の父に対し、なんてことをするのかと。
ただそう考える自分の以前との心境の変化に戸惑いもしたが、却ってその想いがなんなのかと気付いた時・・・新一達に対してどのようにするべきか、その踏ん切りが頼人の中でついた。もう決して、小五郎を新一達と深く関わらせるべきではないという考えに至る踏ん切りが。
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そんな安室に対しての言葉から、頼人は普段なら口にしないだろう事を口にする。Lという記憶についてを。
・・・他人には信じてもらえないだろうという理由から誰にも話してはいないが、頼人には秘密があった。前世の記憶があり、それが全世界において最も有能な探偵であったLという前世の記憶が。
この事に関してはLは何故という気持ちもあったが、折角こうして再び生を得たのだから毛利頼人として生きる事にした。起きたことは仕方無いことだと、動きすぎる頭で冷静に考えてだ。
それで最初は色々と煩わしいことも多かった。ちゃんと甘いものだけじゃなくふつうのご飯を食べるようにだったり、姿勢をちゃんとして生活するようにといった教育をしてくる小五郎達の事が。
ただそれが子どもである自分の事を思い、その上で自分一人になってもちゃんと子どもに向き合ってくれる小五郎の事を親として頼人は好きになっていった。前世では才能ある孤児として引き取られ、親としての愛情になど触れる機会も知る機会も得られなかったことからその愛を身に受けた為に。
そんな小五郎に報いるよう、せめて小五郎達や場を考えた上での人前では前世の癖は出来る限り見せないように振る舞っていた。普通に出される物は量は多くないにしても食べるし、甘いものは基本的に理解のない者の前では多少しか食べず、椅子への座りかたも人前では矯正し、一人称も日本人として生まれたことから偉ぶってると思われないよう私から僕へと統一した・・・以前のLを知っている者からすれば、すごい変化だと思うことだろう。
・・・そんな頼人だが、一応は前世の記憶があることからおんぶにだっこでずっと小五郎に甘えるのは小五郎の負担になるから早く自立しようと飛び級でアメリカの大学に行こうと考えた。自分を育てるという負担がなければ小五郎も楽になると、そう思って。
その際に心配した小五郎達との話し合いがなされたが頼人が引く気を見せず、しっかりと話をした上でその大学に合格したことから頼人は日本を離れてアメリカの地を踏んだ。いずれこの為に出してくれた資金も小五郎に何倍にもして返す・・・そういった気持ちを胸に。
ただそうしてアメリカで暮らしてもう大学も卒業間近に迫った今になり、小五郎から体について異常があるとの連絡を受けた時は頼人の頭の中は非常に冷静でいて、論理だてた推測を猛スピードで組み立てていく中・・・江戸川コナンに対して、気持ちのよくない想いが沸き立っている事も感じていた。前世での最後に関わったある事件での戦いでもほとんど抱かなかった、怒りという想いを。
その最後の事件の時に抱いているのは正義感やそんなものではなく、頼人自身自分で理解していたが単純にその犯人に負けたくないという意地から来る気持ちだった。稚拙な負けず嫌いだというように自分自身を評した事もあるが、その時はその事件の犯人との争いを制したいという気持ちが強くあった。そこに犯人に対する正義感もそうだし、ましてや怒りなどはなかった。
しかし小五郎の健康状態を著しく損なわせた上で、出るわ出るわの小五郎を利用していく江戸川コナン・・・いや、新一の行動には怒りを感じてしまっていることに頼人は次第に気付いていった。自分の父に対し、なんてことをするのかと。
ただそう考える自分の以前との心境の変化に戸惑いもしたが、却ってその想いがなんなのかと気付いた時・・・新一達に対してどのようにするべきか、その踏ん切りが頼人の中でついた。もう決して、小五郎を新一達と深く関わらせるべきではないという考えに至る踏ん切りが。
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