過去と分岐した道への想い 後編

「・・・シャアさんがアクシズ落としを成功させた世界のシャアさん・・・でもそのシャアさんはアムロさんを倒すという目的も共に達成した筈なのに、全く喜べなかったと・・・」
「二人の話の中でも出てきたが、手段が目的になってしまっていたからだろうな。そしてその目的を果たしてしまったからこそ、本来の目的だと思っていた事が体のいい理由付けになったと・・・」
・・・そうしてまた同じように四人で集まったルルーシュ達。
そこでカミーユ達からの話を受けてシンジもルルーシュも複雑そうな様子を浮かべるしかなかった。聞いただけでも感じたあまりのシャアの体たらくに。
「・・・あそこまで言ったからにはもうあの人も余程面の皮が厚くないなら僕達には接触はしてこないだろうとは思うけど、あんな風になった姿を思い出すと本当にあの人は環境に左右されて判断を下したんだって思ったんだ。周りもそう言ってるんだからというように行動し過ぎて、そしてその結果として目的を果たしたのに何も残らないという結果になったっていう風に・・・」
「・・・それも間違いではないとは思うが、復讐を果たせば今まで無くした物がプラスになって戻って来るというよう、どこかしらでシャアという人物は考えていたからこそそうしたんじゃないかと俺は思うよ」
「・・・何?どういうことだ?」
カミーユは続けてシャアに対しての盛大な嘆きを重い表情を浮かばせながら口にしていくが、ルルーシュがそこで返した言葉にハマーンが何を言っているのかと問い掛け、カミーユもシンジも同じような疑問の顔を向ける。
「俺は最近こういう言葉を見聞きしたんです・・・復讐はマイナスをゼロにする為の物だとか、ゼロに近付けるための行為だと。それらの言葉を受けた時に俺は納得の気持ちが浮かびました・・・シャルル達の真の目的だったり俺の周囲の状況だったりと様々に異常としか思えないような状況下だったからとは言え、それを差し引いてもシャルル達を消した時の俺の中には奴らへの復讐を果たした事に対するゼロから上に上がる程の喜びなんて物はなく、精々が母の死の真実を知れたことによる胸のつかえが取れたくらいでした。と言っても最悪の形であって、とてもゼロに戻るような物ではありませんでしたけれどね」
「・・・復讐はマイナスをゼロにするか、それに近付けるためのモノか。その点で言えばシャアはアムロ=レイを殺して連邦の人間を始めとした地球の者達を粛清すればマイナスをゼロにするどころか、プラスにまでなるというように感じていたのかもしれんが・・・あのシャアの様子を思い浮かべるとマイナスからゼロにするどころか、更にマイナスになったとすら感じるな。気に入らない物を全て消してしまえば心地良い世界になるかと思いきや、いざそうなってしまって残ったのはシャアからすればやり甲斐も何も無い世界になり、死んだ後にこの世界に生まれ変わって私にすら救いを求めるという始末だったあの姿を思い返すとな」
「失って初めて気付く物があるというように言われる事がありますが、俺の場合は真実を知ったからこそ母さんの為にもと思っていた気持ちは一転して、マリアンヌという存在もシャルルと共に許せるものではないという考えに変わりました・・・その点で話の中でも出て来ましたが、シャア=アズナブルという存在は誰か分かりあえる者か敵視してもいいと思えるような者が欲しかったんだと思います。けれど地球も連邦も、そして最大のライバルにして理解者だった筈のアムロ=レイという存在を自らの手で潰し、殺して失ってしまったことで自分の生き甲斐という物を失った・・・だからこそ虚脱感が強くなり、ここで見つけたハマーンさんにカミーユに希望を見出したんでしょうね。前のようになれるのではというように考えて」
「・・・そう聞くと難儀な物だというように思うが、それも自分でどうにか出来なかったのかと感じるよ。これだけの時間が経ったのに自分の中での折り合いをつけられていないそね情けなさにな」
そうしてルルーシュが自身が見聞きした言葉から自分の体験も交えてシャアについて話をしていき、ハマーンは納得はしつつも呆れを浮かばせていった。改めてあのシャアの情けなさを感じたと。









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