正しいから許されると誰が決めた?
「ですから僕は二人の事を嫌いではありませんが、これからの事を考えれば父さんの事は二人には言いませんしもし何らかの動きがあってバレるとしても、もう彼らの為には父さんを動かすようにはしませんし無理に日本に戻すような事にはさせません。父さんの体をあの状態にしたことは事情があったからなどという言葉で許せる物ではありませんし、戻して父さんの事を就職も含めて生活の面倒を見るなどと二人が出来るはずありませんからね」
「だから君が毛利さんの事を助ける、と言うのか・・・」
「えぇ。母さんには少し申し訳無くは思いますが、この辺りは僕からすれば父さんの方に世話になってきたからこそ父さんの方を優先させてもらいます。それに今回で少し仲は戻ったかもしれませんが、これからの事を考えれば下手にそれを新一君達に悟らせることにまた同居となってもあの二人の事ですから、喧嘩別れをまた起こすことも有り得ます。ですのでどちらかを選ぶなら僕は迷わず父さんを選びます。蘭は母さんの方がどちらかと言えば尊敬しているでしょうから、何だかんだでうまくいくでしょうしね」
「・・・何だろうね、君は・・・毛利さんへの気持ちが強いかと思えば、蘭さんへの割りきり方は冷静でいて気持ちがないとも取れる・・・妙にアンバランスな気がするな・・・」
「これが普通とは言いませんが、僕にとっての優先すべきを優先した結果ですよ。それだけです」
「そうか・・・」
そんな二人の事は嫌いではないと言いつつ小五郎の事を優先するとハッキリ言い切る頼人に、安室はまた何とも言いがたい表情を浮かべて立ち上がる。
「・・・取りあえず僕は帰るよ。話したいことは話したし、君は明日からまた事務所の片付けに入るだろうから忙しいだろうしね」
「えぇ。そして片付けが終わればアメリカに戻ります。もうやることもなくなりますからね」
「そうか・・・多分僕はもう君や毛利さんと会うことは余程でないとないだろう。組織が壊滅した以上は公安としてまた別の事件を追うことになって、時間も取れなくなるだろうからね。だから毛利さんには君から伝えておいてくれ・・・今までお世話になりました、そして騙してすみませんでしたと」
「えぇ、分かりました。どうぞ元気で」
そして帰ると言い出し伝言を頼むと安室は言い、頼人も立ち上がって頭を下げる。今まで世話になったと。
・・・そして安室が帰り一人になった部屋で頼人はクローゼットに隠していた甘味の袋達を取り出す。
「・・・ふぅ、ようやく一息つけました。やはり正解だったようですね、安室さんを焚き付ける方が新一君達や赤井さんの牽制役になるとの見方は」
それでチョコの袋を開け口に含んだ後に落ち着いたと口にするが、その言葉は安室当人が聞けば愕然とするような中身だった。言ってしまえばそれは安室を操ってこの結果を導きだしたと言うものであるために。
・・・別に頼人は安室に対して嘘をついたつもりはない。赤井が新一達の方に寄った判断をするのではないかということも、安室にとってもメリットがあると言ったことは。ただ・・・さりげに頼人は会話の中で赤井への対抗心を燃やすなどするような言い回しをする形で、こちらへと安室を引き込んだのである。
赤井ならどうするか、赤井ならこうしないだろう、人道的にはどうするべきか・・・周りの状況が色々と作られた事もあり、選択の自由として与えられたように見える頼人からの言葉だがその実は赤井への気持ちをさりげに煽られた物だった。そして安室はその誘導にまんまと引っ掛かったのである・・・頼人達の協力者となるための道筋への誘導に。
.
「だから君が毛利さんの事を助ける、と言うのか・・・」
「えぇ。母さんには少し申し訳無くは思いますが、この辺りは僕からすれば父さんの方に世話になってきたからこそ父さんの方を優先させてもらいます。それに今回で少し仲は戻ったかもしれませんが、これからの事を考えれば下手にそれを新一君達に悟らせることにまた同居となってもあの二人の事ですから、喧嘩別れをまた起こすことも有り得ます。ですのでどちらかを選ぶなら僕は迷わず父さんを選びます。蘭は母さんの方がどちらかと言えば尊敬しているでしょうから、何だかんだでうまくいくでしょうしね」
「・・・何だろうね、君は・・・毛利さんへの気持ちが強いかと思えば、蘭さんへの割りきり方は冷静でいて気持ちがないとも取れる・・・妙にアンバランスな気がするな・・・」
「これが普通とは言いませんが、僕にとっての優先すべきを優先した結果ですよ。それだけです」
「そうか・・・」
そんな二人の事は嫌いではないと言いつつ小五郎の事を優先するとハッキリ言い切る頼人に、安室はまた何とも言いがたい表情を浮かべて立ち上がる。
「・・・取りあえず僕は帰るよ。話したいことは話したし、君は明日からまた事務所の片付けに入るだろうから忙しいだろうしね」
「えぇ。そして片付けが終わればアメリカに戻ります。もうやることもなくなりますからね」
「そうか・・・多分僕はもう君や毛利さんと会うことは余程でないとないだろう。組織が壊滅した以上は公安としてまた別の事件を追うことになって、時間も取れなくなるだろうからね。だから毛利さんには君から伝えておいてくれ・・・今までお世話になりました、そして騙してすみませんでしたと」
「えぇ、分かりました。どうぞ元気で」
そして帰ると言い出し伝言を頼むと安室は言い、頼人も立ち上がって頭を下げる。今まで世話になったと。
・・・そして安室が帰り一人になった部屋で頼人はクローゼットに隠していた甘味の袋達を取り出す。
「・・・ふぅ、ようやく一息つけました。やはり正解だったようですね、安室さんを焚き付ける方が新一君達や赤井さんの牽制役になるとの見方は」
それでチョコの袋を開け口に含んだ後に落ち着いたと口にするが、その言葉は安室当人が聞けば愕然とするような中身だった。言ってしまえばそれは安室を操ってこの結果を導きだしたと言うものであるために。
・・・別に頼人は安室に対して嘘をついたつもりはない。赤井が新一達の方に寄った判断をするのではないかということも、安室にとってもメリットがあると言ったことは。ただ・・・さりげに頼人は会話の中で赤井への対抗心を燃やすなどするような言い回しをする形で、こちらへと安室を引き込んだのである。
赤井ならどうするか、赤井ならこうしないだろう、人道的にはどうするべきか・・・周りの状況が色々と作られた事もあり、選択の自由として与えられたように見える頼人からの言葉だがその実は赤井への気持ちをさりげに煽られた物だった。そして安室はその誘導にまんまと引っ掛かったのである・・・頼人達の協力者となるための道筋への誘導に。
.